プロローグ
処女作v(´・ω・`)v
大切なモノとは、失ってから気付くのである。
腹を痛めて俺を産み、育ててくれた母も。
寡黙ながらも厳しく、俺たち家族を養っていってくれた父も。
お世辞にも姉弟仲が良いとは言えなかったが、家族で一番俺という人間を理解していた姉も。
人間関係はうまくいかず、数々の非行を起こし、碌でもない職業に就いて荒れた生活を送っていた俺を支えてくれていたのはいつも家族であった。
そんな彼らを日々の疲れとストレスで老いぼれめ、尻軽女め、死んでしまえと罵っていた自分は、何か家族にしてやれた事はあっただろうか。
今から恩を返そうなど、もう遅い。
なぜなら彼らはもういない。
交通事故だ。
原因はよく覚えてない。頭の中が真っ白になり、話が頭に入ってこなかったのだ。
それを聞いた俺は、とてつもない喪失感と自責の念に追われた。
どうして家族に迷惑をかけることしかできなかったのか。少しは気の利いたことも出来たのではないだろか。
いくら後悔してももう遅い。
もう生きる事に疲れてしまった。
ここで死んだら一体どれだけの人間の迷惑になってしまうのだろうか。
しかし、このままダラダラと生き続けることなど俺にはできない。
いっそ、今すぐ死ねば家族と一緒に親戚が処理してくれるのだろうか。いずれ死ぬにせよ、それが一番迷惑がかからないだろう。
もしも、もしも来世があるとしたら。
俺はその時こそ、必ず恩人には恩を返そう。
そう思いながら、俺は自らの生涯を自ら閉じた。