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クトゥルフ系

シャンタック鳥の誕生

作者: 蛇月夜

 遠い昔の物語。


 どこまでも続く草原に、空を飛びたい馬が居た。


 深く暗い洞窟に、地上を走りたい蝙蝠が居た。


 荒廃した魔都に、夜天を飛びたい鴉が居た。


 三匹はこの地上で出会い、それぞれを羨ましがった。


 そこに一人の男が現れた。


 男は三匹に問う。一体どうしたのか、と。


 三匹は問いに答えて願いを言い、男は自らの混沌を使い、願いを叶えてやった。


 馬は空を飛べるようになり、蝙蝠は地上を走れるようになり、鴉は夜天を飛べるようになった。


 三匹はそれぞれの群れに戻り、そのことを自慢した。しかし、気味悪がられ、いじめられた。


 なぜならば、三匹は一頭の合成獣となっていたからだ。


 頭と胴は馬、前脚は蝙蝠の翼へ変わって左右に分かれ、後ろ脚は太い鴉の足へと変わっていた。


 この世のものではなくなった獣は途方に暮れ、男と出会った場所へ飛んだ。自分をこの姿にした男ならば、自分を必要としてくれるかもしれない。そんな淡い期待を抱いて。





◇◇◇





 どこともわからない荒野に 一人立つ男がいた。彼の名は内原(ないはら)(ふみ)


 這いよる(ナイアル)混沌(ラトホテプ)の第五十八代目の本体である。


「来たか……」


 彼が呟くとほぼ同時に彼の頭上に影が差し、象をも超える体躯を誇る名も無き獣が現れた。


 獣は問う。なぜ自分をこのような姿にしたのか、その責任をとってもらいたいと。


 文は答えた。私は最初は君の素になった三匹の願いを叶えようと思った。しかし、私は全能の神ではなく、失敗してしまった。このことを話し、責任をとって君の主になろうとしたら、私が話をする前に君は飛んでいってしまったのだと。


 獣はその話を聞き、自らの行動を悔いた。きちんと話を聞いていればあのようなことにはならなかったはずだと。


 獣と文は互いに誓約を立てた。獣は文を主として忠誠を誓い、文は獣に名前を与え従者とし、姿を変えた責任をとると。


「では、行こうかシャンタック(・・・・・・)。世界の裏で暗躍するぞ」


「ハイ、主様」


 文と獣――シャンタック――は歩き出した。


 混沌に満ちた世界の裏へ。

うちのシャンタックは優秀です。

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