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Scene7.



 私は廊下を歩いていた。

 だがしかし視線をものすごく感じる。時々陰口も。

 まあ、こいつらから見たら私は『魔女』なんだから仕方のない事だと思っているけど。

 投げつけられた石を投げ返していると突然、私の前に人が飛び出してきた。

 私は石を投げ返す真っ最中。当然前なんか見てない。そんな訳で正面衝突してしまった。

「大丈夫ですか!?」

 私は慌ててぶつかった人の所に駆け寄った。

 するとその人はむくりと起き上がり、拳銃を私の額に当てた。

「誰かー、ここに銃刀法違反がいます。警察を呼んでください!」

 私がそう叫ぶと銃刀法違反はバカにしたような顔で言い放つ。

「残念だったな、魔女!この国にそんな法律はない!今すぐに狩ってやる!」

 私は言われた通り両手を挙げて、それから反論する。

「でも殺人はさすがに罪になるでしょ?私を殺して狩られてきなさいよ警察に」

 その人は悔しそうな顔をして拳銃を私の額に更に押し付ける。

「魔女のクセにこの俺にそんな口を聞いていいのか?しかと聞け!俺の名はシグマ=アーサーズ!『魔女狩り同好会』会長だ!」

 そう言って彼はビシッ!とポーズを決めた。

「だからといって別にあんたにどんな口を聞こうが私の勝手のような気がするんだけど気のせいかしら」

「お前は『魔女』なんだから『勇者』の俺に生意気な事を言うな!黙って狩られればいいのだ!」

「なるほど。つまり『魔女』の私は『勇者』のあんたに狩られなきゃいけない訳ね。あんたみたいなアホに狩られるの嫌だ」

 自称勇者は硬直した。私は続ける。

「だってそうじゃない?自分の事勇者って言う時点で残念な人確定だし、武器振り回す奴がマトモだと思えないし。

 それとも、あんたの脳はそんな一般常識も分からない位小さくて可愛い脳なんですかー?」

 自称勇者の方をちらりと見ると彼はブチ切れ五秒前な顔をしていた。

「ま……魔女のクセに……魔女のクセに……!」

「だから何よ。言論の自由はこの国で保障されてないのかしら?」

「お前ヨソモノだろうが!ヨソモノに憲法なんか関係ない!」

「『郷に入れば郷に従え』って言うじゃない。分かんないの?やっぱりあんたの脳は小豆粒サイズなのね」

 あ、ブチ切れ一秒前になった。青筋浮いてるしそろそろまずいかな?

「い……今すぐ狩ってやる!俺の手で狩ってやるんだあああああ!!」

 自称勇者は拳銃の安全装置を外してトリガーに指をかけた。

 撃たれる!と思ったその瞬間、ベキッという音とともに自称勇者が足元に転がった。

 五、六人の生徒たちが彼を縛り上げる。

「……校則第十八条より『危険物の持ち込みは原則禁止』。……風紀委員によって違反者の『回収』は完了いたしました」

 眼鏡をかけた三つ編みの少女が私の前に来た。彼女がこの集団のボスらしい。

「危ない所をありがとうございます。ところであなたは……?」

「……フィオナ=リンデンと申します。……風紀委員をしております」

 フィオナさんは淡々と自己紹介してくれた。表情は全く変わらない。

「……先ほどの違反者――アーサーズは校則第十八条の違反常習者です。……主に拳銃や剣、爆弾を持ち込んでいます。

 ……今回は学生牢に授業終了まで『回収』――収監しておきますのでご安心ください」

 そんな危ない人に私、目つけられたのか……。あんな口叩いて大丈夫だったかなと今更ながらドキドキしている。

「……それでは、次の仕事がありますので。……何かあればまた『回収』に参ります」

 フィオナさんはぺこりとお辞儀をし、集団を引き連れて病院の総回診のごとく去って行った。

「にっくき魔女!今回は引き下がってやるが、次会う時が年貢の納め時だ!首を洗って待ってるがいい!」

 自称勇者シグマはずりずりと引きずられながら捨て台詞を吐いた。

「……言い回しが古いわよ。江戸時代か」

 遠く見えなくなっていくシグマに冷ややかな視線を送りながらつぶやいた。

 ああ、どこいったスクールライフ……。

 To Be Continued? 

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