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Scene12.


「いやー、まさか俺の部屋にあったなんてねえ。見つからない訳だ」

 ナイトがヘラヘラと笑っているが、何となく尻すぼまり。

「そりゃ、あのブラックホールじゃ見つかる物も見つかんないわよ」

 私もニッコリ笑って言う。気をつけたつもりだが、怒りを抑え切れてない。

「と、とりあえずさ、本見てみようよ。見つかったんだし、ね?」

「……そうね、とりあえず本見てみましょうか。あの殺人ブラックホール部屋から私が探し出したんだし、ね」

ナイトがそろそろ泣きそうなので意地悪はやめにする。

 ナイトが少々怯えた様子で本をめくった。

「あったあった。『もうひとつの世界をつなぐ魔法』」

 私は本を覗き込む。びっしりと並んだ文字列。

「『ある二つの異なる世界同士をつなげる魔法。つながった世界にはモノに限り、専用の魔法陣を利用して送り込むことができる』」

 私はモノ扱いですか。そーですか。

「……。続きがあるよ。『また、モノに魔法陣を描いて送り込めば、何かしらの強い感情を抱えた人間が

 そのモノを手に取った時に限ってこちらに飛ばすこともできる。』って。ナナちゃんはモノ扱いって訳じゃないみたいだよ」

 ごめんなさい。

 もしその魔法が原因で私がトリップしたんだとしたら私は何かしら強い感情をを抱えてた事になる。

 私は一体、どんな思いでそのモノを手に取ったのだろうか……。

「『この魔法でつながった世界は何かを送り込んだり飛ばしてきたりすると離れてしまう。


 飛ばしてきたモノもしくは人を帰すには、もう一度世界をつないだ上で専用の魔法陣を用意して、その上にモノもしくは人を乗せれば帰すことができる。詳しい魔法の使い方は……』」

 一番気になるところでナイトが言葉を切った。表情が曇る。

「どうしたのよ。続きは?」

「いや……『禁止魔法之書』っていう本に全て書いてあるっていうんだけどさ、その本は世界にたった三冊しかない博物館レベルの本なんだよ。

 確か一冊目はこの国の首都にある国立博物館に、二冊目は全世界魔法使い連盟に。三冊目はこの国のどこかの図書館にあるはずだよ。

 どの図書館かは明かされてない……だから見ようにも見れないんだ」

「そんな博物館レベルの本がどっかの図書館にあるの!?」

「確か『子供に正しい魔法知識を』的な方針で置いてるって聞いた事あるよ。まあ子供の魔力じゃ到底使えない魔法だからね」

「それなら子供しか入れない所にあるんじゃないかしら?そんな無防備に置いていたら危険でしょう」

「だとすると……どっかの学校の図書室かな……もしそうなら許可がいるだろうね。

 ……厄介だなあ。まあ、とりあえずどこの図書室にあるか調べておくよ」

 ナイトがため息をつく。私はコーヒーを入れる事にした。

「もし君が本当に魔法でこっちに来たとしたらその『三冊目の本』が使われた可能性が高いねえ。

 あと犯人は相当な魔力の持ち主だ。禁止魔法は使っちゃいけないけど、それ以前にすごく高度な魔法なんだ。そんじょそこらの魔法使いには絶対使えない。

 ちなみにこれ、法規制が厳しいから使った魔法使いは魔法使い資格剥奪はくだつ、懲役もつく」

「禁止魔法にメリットはないの?そうじゃなきゃ法で規制かけたりしないでしょ」

 私が聞くと、ナイトは本の目次を開いて見せる。

「他の禁止魔法をみてごらん。『復讐』や『呪殺』、『他人を支配する』―――悪用すれば恐ろしいことになるのはわかるだろう。

 そして『もうひとつの世界をつなぐ魔法』。つながるべきでない空間をつなぐって事だから、要するに『空間』を操る魔法なんだ。

 つまり空間をゆがませ歴史を変える事の出来る恐ろしい魔法だよ。――もし使えたらその人は『神』に匹敵する力を持つ、って事だね」

 ……つまりもし私がその魔法で送られてきたんだったらその『神』レベルの人間が存在するって事だ。

 その『神』は恐らく私を知っている。私はこれから、どうなってしまうんだろう……。

「大丈夫だよ。何があっても俺はナナちゃんを守るからね」

 振り向くとナイトが笑っていた。コーヒーカップを落としそうになる。え、それって……!

「だってナナちゃんがいなくなったら俺ゴミに埋もれて栄養失調で死んじゃうし!」

 ……ですよねー。

 To Be Continued?

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