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【完結】1000年後に目覚めた転生勇者が、もふもふ毛玉になって少年と旅をするお話  作者: すくらった


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第17話 忘れられた遺跡へ

 ホリーは脱いだコートを再び着込み、フードを整える。表通りの街灯の明かりが裏路地にも差し込み、三人の影を長く引き伸ばしている。


「で、あなた、この街で何をしてたの?」

 ヴィーノが好奇心丸出しで訊くと、ホリーは肩をすくめ、薄く笑った。


「あたしがやってたのは、『材料探し』……『フェイドゥーラレーダー』のためのね」


「フェイドゥーラ……レーダー?」

 ヴィーノは首をかしげる。


「簡単に言うと、フェイドゥーラの影や関連する奴らの居場所を探し出す装置、よ」


 ホリーは言いながら、豊満な胸の谷間から黒光りする小さな破片を取り出した。ヴィーノの顔が少し赤らむ。

「このオベリスクの外殻を使うの。これを、ある特殊な石と組み合わせるのよ」


「特殊な石……?」

 トレセルが尋ねる。


「『フェローストーン』っていうの。探したいものとピタッとくっつければ、それと同種のものを特別な地図上に投影してくれる魔法の石。簡単に言えば、地図の上で影の居場所が光るってこと」


「す、すごい……そんなものを作ろうとしてたんだ!」

 ヴィーノの目が輝いた。両手を胸の前で組み、まるで伝説の宝の話を聞いたときのようにうっとりしている。


「オベリスクの破片と、フェローストーンを組み合わせれば……フェイドゥーラの影たちがどこにいるか、かなり正確に把握できるはず」

ホリーは言いながら、光を透かして破片を観察した。


「ていうかあなたたち、そういう道具もなしに、どうやって影を追ってたの?」


ヴィーノとトレセルが目を合わせ、トレセルがもごもごと答える。

「適当に放浪して、出会ったやつをボコってた。っていうか俺らの場合向こうから襲ってくるんでな」


ホリーは一瞬眉をひそめ、次にため息をつく。

「は?効率わっる……あんたはいいけど、ボクちゃんを巻き込まないでくれる?」


「ほ、ボクちゃん?」

 ヴィーノは耳を赤くして目を丸くした。


「うん、可愛いからボクちゃん。いいでしょ?」

 ホリーは小首を傾げ、微笑む。ヴィーノはドギマギして手をもじもじさせる。


「わ、わかった……ボクちゃんって呼んでいいよ」

 と小声で答えるヴィーノ。


 トレセルは毛玉のまま眉を寄せ、尻尾で軽くホリーの肩を叩く。

「あんたやっぱり変わったやつだな。次に会う時は敵同士ねー、なんて言ってたのにこの変わり身の早さよ」


ホリーは肩をすくめ、軽く舌を出してみせた。

「だって、私だって影に狙われる身よ。一人で動いて無駄に危険を増やすより、協力してくれる味方を増やす方がいいじゃない。前の自分の発言なんていちいち気にしてらんないわ」

「まぁ一理ある」

「んで、どうせ仲間にするならかわいい子がいいし。そんなわけでボクちゃんはかなり条件通りってわけ」

「そ、そう……」

 ヴィーノは恥ずかしそうに体をもぞもぞさせる。


「……話を戻すぞ。で、そのなんとかストーンはどこにあるんだ?」

 トレセルが訊く。


 ホリーは破片を谷間にしまい、路地の奥を指差す。

「あそこから街を出て、まっすぐ行ったところにある『忘れられた遺跡』よ。普段は危険で誰も近づかない場所。でもフェローストーンがあるのはそこなの」


「危険ってどのくらい?」

 ヴィーノが訊くと、ホリーは少し考え込み、軽く肩をすくめる。

「まあ……厄介な罠がゴロゴロ、強いモンスターがウヨウヨいるけど、あんたたちなら大丈夫でしょレベル」


「ふ、ふぅん……」

 ヴィーノがちょっと怯え気味に言うと、ホリーはにやりと笑った。

「あらボクちゃん、怖い?それともワクワクしてるのかな?」


「ワ、ワクワクだよ!」ヴィーノは胸を張り、大げさに頷く。


「うんうん、そういう反応、いいぞ男の子」

ホリーは笑顔を浮かべて言った。

「じゃあ、行こっか。フェイドゥーラに一発カマしてやる!」


 三人は歩き出す。ヴィーノは胸を高鳴らせ、トレセルは慎重に周囲を警戒しながら、ホリーの後ろに付き従う。夜の街の魔力の光が三人を照らし、路地の曲がり角や空中の灯りが長い影を落とす。


「レーダーが出来たらそりゃ便利だけど、そう上手くいくかな……」

 ヴィーノが呟くと、ホリーは小さく笑った。

「あたしも調べただけだから、よくわかんない。これと組み合わせれば、たぶん……影の居場所が見えてくるはず」


「えらくぼんやりした話だが……今は乗るしかないか」

トレセルは静かにうなずき、尻尾をぴんと立てた。


 三人の影が長く伸びる路地の先に、遠く古びたダンジョンが見えた。古びたその石の遺跡は、遠くからでも分かるほど異様な存在感を放っていた。


「……いよいよ、だね」ヴィーノは小さく息をつき、胸を押さえる。

「そうね。慎重に、でも急がないと」

ホリーは鋭い目を光らせ、バッグを握り直した。


 トレセルはふわりと浮き上がると、ゆっくり前に出た。

「二人とも準備はいいな……行くぞ」


 三人はダンジョンの方角へと歩みを進めた。次なる試練が三人を待ち受けていることを覚悟しながら。

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