トラウマ
「あら?神威じゃない」
俺が神界で珍しく一人で鍛練していると後ろから声をかけられた。
神威はその声を聞いて体をピシリと固めた。そして、ギギギという効果音が付きそうな感じでゆっくりと声をかけられた方へ振り返る。
「ふ、フレイヤ姉・・・・・・」
「ふふっ。そうよ。相変わらず励んでいるのね」
「そ、そりゃあな・・・」
俺はフレイヤ姉から目を逸らしながら会話する。フレイヤ姉自身とは確執はないけど、個人的に気まずく思っている。
「まだあのこと気に悩んでるのかしら?」
「うぐっ・・・」
「アレはあの時にいいって言ったじゃない。それにあの子達も本望とも言えるのよ?」
「だ、だとしてもこっちからしたらな・・・」
俺はあの日の出来事を思い出しながら言う。確か、あの日も今日のように一人で鍛練しているとフレイヤ姉がやってきたんだっけ・・・。
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「神威、戦乙女の1人と戦わないかしら?」
「・・・・・・え?」
僕はその言葉に困惑する。確かワルキューレといえばフレイヤ姉の軍隊みたいな存在のはず。その中にいる1人と戦う・・・。
「なんでって顔してるわね」
「そ、そうだよ。なんで急に・・・」
「ただの善意よ。それと・・・個人的な興味ね」
僕はその言葉にさらに困惑する。なんとなく言いたいことは分かるけど、なんでわざわざ自分の身内ともとれる中から1人出すの?
いいのかな・・・?
「いいのならお願い」
「えぇ」
そう言うとフレイヤ姉は1人を目の出した。僕はその人に軽く会釈をして軽く打ち合いを始める。僕の武器は刀。相手は西洋剣でお互い近接が得意なためウォーミングアップも兼ねて打ち合っている。
僕がある程度問題がなくなったタイミングで一度距離をとる。僕は改めて刀をワルキューレに向ける。向こうも僕が纏う雰囲気が変わった事が分かったのか、向こうの雰囲気も変わる。
思えばこの日のあとから少しの間荒れてたな。この後、自分が起こしたことが原因で。今でもその時のことがトラウマで本気だけど全力でやれないんだよな・・・。
お互いにウォーミングアップが終わって距離を置いてから距離を詰めて武器同士を当てた。それからあの場を縦横無尽に動き回って攻撃を当て続けた。ワルキューレからの攻撃に対して俺は刀身にあてて受け流したり、躱すためほぼ無傷である。
フレイヤ姉はそんな僕達のことを少し離れた空の上から見届けている。そのため僕は周りへの被害を気にせずにバチバチにやりあっている。
やりあっているといえども殺し合いじゃないから、本気で全力でも殺せるほどの威力じゃない。僕はそんな感じでワルキューレを倒そうと攻撃を何度も何度も繰り出す。
基本、僕が優勢で攻撃をし続けて次の攻撃で倒そうと僕は刀を振り下ろす。
僕は刀を振り下ろしていくと、ワルキューレは僕の刀を防ぐようにして刀の進行方向の前に剣を横にして出す。僕はそのまま振り下ろした。
刀は出された剣を真っ二つにし、その先にいたワルキューレまで斬った。
「ぇ・・・・・・?」
僕は自分でやったことが信じられずに声を呟いた。斬られたワルキューレは驚きつつも微笑みながら消えていった。
僕はワルキューレのことを倒した。いや、殺した。殺してしまったと。
その日はこれ以降のことは覚えていない。どう帰ったのか、どうしたのか。フレイヤ姉とあの後どんな会話をしたのかさえも。
ただ確実に言えるのは・・・・・・あの日以降、時々夢でこの日のことが蘇るように、忘れさせてくれないように見るようになったことだ。




