大蛇
俺と鳳凰は互いに得物を持って、九尾の狐こと玉藻前に向かって走っていく。玉藻前も俺達に向かって走ってくる。俺達は向かっている途中で左右に別れる。
左右に別れたあと、俺達は挟み込んで玉藻前に攻撃しようと俺は刀を横薙ぎに振るう。鳳凰は小刀を左斜め上から振るう。
「チッ・・・!」
俺達の攻撃は、玉藻前の9つの尾によって防がれる。俺の方に5つの尾が、鳳凰の方に4つの尾が俺達の武器を止める。思った以上に止める力が強く、俺達はそれ以上刃を進ませることができない。
すると、玉藻前はまず俺の方に前足の鋭い爪を振ってくる。俺は咄嗟に刀を引いて自分の方に戻してから、その爪に向けて刀を当てる。
俺と玉藻前は、刀と爪で少しの間鍔迫り合いになるが、俺が右腕を振り上げて後ろに下がる。
俺が刀を引いたら、5つの尾は鳳凰に方に向かっていき、鳳凰の小刀を押し返す力が強くなる。そのためか、鳳凰の小刀がだんだんと押し戻されており、表示も少し辛いように見える。
玉藻前はその隙をついて、後ろ足を使って鳳凰の横腹に回し蹴りをする。鳳凰はそれにより、体を飛ばされるがすぐさま体勢を整えて着地する。しかし、思った以上にダメージがあったのか左手で当てられたところを抑えている。
「大丈夫か?」
「少し痛いですが・・・問題ないですわ。それこそ、私は1回が大きいだけですが・・・神威は擦り傷とかが多いですしね。私はそちらの方が不安になりますわ」
「まぁ、それほど苦じゃないからな」
俺達は軽く、魔術と魔法で玉藻前に向かって攻撃しながら会話する。玉藻前は俺達の攻撃はなんなく躱し俺達に向けて言ってくる。
「そんな余裕があるのですか?」
玉藻前が俺達の魔術と魔法を躱しながら、魔法を俺達に飛ばしてきながら言ってくる。俺はその魔法を刀で斬りながら、鳳凰は躱しながら玉藻前との距離を詰めていく。
俺達はお互いに距離を詰めて、玉藻前の前に辿り着く。俺は右斜め上から、鳳凰が左斜め下から得物を振るう。
「「これで終わりだ/ですわ!!」」
俺達はそう言って、玉藻前に攻撃されるよりも先に刀と小刀を振るって玉藻前を斬る。
どうやら、俺と鳳凰の刀と小刀は深く入ったようで玉藻前の動きが止まる。
「・・・・・・これは序章にしか過ぎないのです。これで終わったと思わないことです!!」
玉藻前はそう言いながら塵となって砕け散っていった。俺達はそれを見届けて空に飛び上がる。そして、お互いに憑依している朱雀と青龍を模倣して炎の鳥と水の龍を作る。
俺達はそれに飛び乗り、暴れている八岐大蛇に向かって進んでいく。オロチは4つの頭を振り、辺りに火や水、雷に土の魔法であろうものを散らしている。本来のオロチにはそんな能力はないが、誰かが強化でもしたのであろう。
「荒れてますわね」
「あぁ・・・。先輩達が防いでくれてはいるが・・・・・・やっぱりたまに間に合ってないな。まぁ、その分攻撃してるから仕方ないのはあるけどな」
「そうですわね」
俺達はそんなオロチの魔法の被害を抑えようと飛び回り、魔法や自分の武器で対処している先輩のことを見据えながら話す。
俺達は飛んでゆくスピードを早めて進んでいく。
「それに・・・先輩達よりも少し傷ついてますが、ルー達もいますわね」
「あぁ・・・。俺達が最後のようだし・・・派手に行こうか」
「はぁ・・・仕方ないですわね・・・。方法は?」
「これらをそのままぶつけたらいいだろ」
「・・・分かりましたわ」
俺達はオロチの方へと向かっていきながらどうするかを決める。
俺はそうすると決めてから水で作った龍を凍らせていく。ちょうど全てを凍らせたところで、オロチとの間合いがちょうど良い位置になる。
俺達はお互いに氷の龍と、火の鳥から飛び降りながらコントロールして両サイドのオロチの頭に当てる。俺達はそれを確認しつつ、無事地面に着地する。
俺達が着地すると、先輩達が俺達の方に向かってくる。
「どうやら倒せたようだね」
「あぁ・・・。客が玉藻前とは思わなかったけどな」
「まぁまぁ。あとは八岐大蛇だけだからね?」
「そうですわね。あともうひと踏ん張りですわ」
俺達は、俺達が当てた左端のオロチの首が燃え続けていることと、右端のオロチの首が氷漬けになっていくのを見ながら話す。
「それにあの調子ならすぐ終わりそうだしな」
「だね。鳳凰と神威のおかげで残りが2つだけだし」
「そうだね。大分気持ちが楽になったよ」
「まぁ・・・・・・それでも中々気を抜くことはできませんけどね」
俺達は自身の得物を持ちつつ、オロチに向けながら話を続ける。
その場は、まるで普段の日常の延長線のような雰囲気であった。
「・・・・・・終わらせよう」
俺がそう言うと、今までの少し緩くなった雰囲気が固くなる。俺が先陣を切るようにして、今の状態に更に《疾風迅雷》をかけて走っていく。
俺が真っ先に辿り着き残った2つの首の片方に刀を振るう。オロチの首が分厚いためか、あまり刀が深く入った感じはしない。それでも、1回だけでなく何回も斬る。
俺の傍ではゼロ先輩が俺と一緒の首を攻撃している。隣の首では、ルトとアリャン先輩がメインで攻撃している。ミーシア先輩は両方の首を両手の短剣で攻撃しては引く、ヒットアンドアウェイで攻めている。
オロチは俺達に攻撃されるのをやめさせるために首を振ろうとする。しかし、後ろに待機していたルーシャとアーシャ先輩が魔術と魔法を使って首を動かないように拘束させる。
それをされたことにより、オロチは今度魔法を打って俺達に攻撃しようとするが、鳳凰が後ろから矢を射て魔法陣ごと破壊する。
それによりオロチの攻撃は俺達にあたることはなく、攻撃一辺倒で進めていけている。
「ゼロ先輩!こっち、終わらせましょう!」
「分かったよ。神威は離れて!僕がやるから!」
「分かりました!」
俺はゼロ先輩を置いて咄嗟に鳳凰達後衛組の方に下がる。ゼロ先輩はチラッと俺が戻ったことを確認して首を見る。
そして、槍先を上にあげる。ゼロ先輩はまた振り下ろすのかと思ったけど、それはしなかった。ゼロ先輩は変わりに声を発した。
「《太陽》!!」
ゼロ先輩がそう言うと、先輩の真上・・・より正確には槍の真上に球体が現れた。その球体は赤く燃えている。ゼロ先輩はそれをオロチの首に向けて落とす。隣ではミーシア先輩がアリャン先輩の槍に火の力を付与したようで、それを首を斬るように横薙ぎに振るう。
オロチの首は同タイミングで攻撃を加えられる。片方の首は鳳凰の時と同じように首ごと燃やされる。もうひとつの首は槍によりスッパリと斬れる。
すると、ここにある首と各地にあった首が空に浮いていく。俺は万が一に備えて刀身にすぐさま消せるように闇の力を纏わせる。
各地に散らばっていた首がここの首に集約される。そして、さらに高く上がっていき黒い球体になっていく。そしたら、憑依していた青龍が慌てた声で俺に訴えてきた。
『神威!?あヤツを早く倒せ!このまま放置すると・・・この場所が更地になるぞ!?』
「んなっ!?」
「神威?」
鳳凰が怪訝に声をかけてくる。俺はそれどころじゃないので、一旦無視をして青龍に続きを促す。
『我の力を使って今刀身に纏わせているやつを強化する。それなら倒せるであろう!』
「・・・・・・それは絶対だな?」
『あぁ。それは断言できる』
「・・・・・・分かった。悪い、鳳凰。先輩達・・・・・・言ってくる」
鳳凰が慌てた声で引き止めてくるが俺はすぐさま空に飛び上がっていく。後衛組も止めてきたが、先輩達はさっきので対処に間に合っていない。
俺はオロチが集約された黒い球体と同じ高さまで飛翔する。俺は同じ高さに来ると刀を左前にかざし両手で柄を持つ。
「青龍、頼む」
『あぁ。任されたり』
青龍が俺の体を媒体に力を流してくる。俺はそれを刀に流す。すると、闇の力を纏わせていた刀の刀身が3メートル近くまで伸びる。
「・・・・・・持ってくれよ・・・!」
刀身は闇の力を纏わせているため、いつもの銀色の刃から黒色の刃になっている。
「ハァァァァァァァァァ!」
俺はそれを黒い球体に向けて思い切り振り切る。まだ力が足りなかったため、ほとんど遠心力任せになってしまった。そのため刀を振り切ったあと、綺麗に止めることが出来なかったが、《質実剛健》で力を底上げして強引に止める。
───パキンッ
俺の振るった霊剣は強大な力に耐えられずに刀身が粉々に砕け散った。
「やっぱりか・・・」
黒い球体は俺が振るった闇の力によってその場で塵にならずに消滅した。黒い球体があったところからは小さな光が形成されてやがて大きな光となり俺の目の前にやってくる。
俺がそれを手に取ると、光は形を形成していく。光は形を形成したところで収まる。俺は形成したものを見て驚く。禍々しく紫色のオーラを纏っているがその形は正しく・・・
「・・・天叢雲剣・・・・・・」
三種の神器の1つの剣。別名〈草薙剣〉とも呼ばれる神器であった。




