青龍と応龍
俺達、4人は兄弟と茨木童子に運ばれていると茨木童子が唐突に後ろに飛び下がった。酒呑童子はそのまま走ろうとしたが何か透明な壁にぶつかったように弾かれた。
「イデー!?」
「な・・・!?どういうことだ?」
俺は後ろに下がった茨木童子と、弾かれた酒呑童子のことを見ながら問いかけた。俺とルトは弾かれた際におろされたので立っている。痛がっている酒呑童子の代わりに後ろに飛び下がった茨木童子が代わりに答えた。その両隣には既におろされて立っている鳳凰とルーシャがいた。
「その先は私たち鬼は入れない結界みたいなものが張られてるのよ」
「え?」
「いてて・・・。あぁ、さっきオレもぶつけたから分かるがありゃ神に近い存在が張った結界だな」
俺達はそれを聞いて驚愕する。普段、どの神々も人間界・・・おもに現世には干渉してこないからだ。それこそ結界を張るなんてのは以ての外だしな。
「天鈴達なら入れるかもしれないけどね。少なくとも私達妖怪や怪物は入ることは不可能よ」
「・・・・・・試してみるか」
「えっ!?神威君!?」
「それなら僕もやるよ。試すだけなら問題ないだろうしね」
「それなら私もやりますわ。2人だけにやってもらうのは違うと思いますしね」
「えー!?なら、ルーもやるよ!」
同調圧力・・・じゃないんだけどな。まぁ、全員がやるのならそれはそれでいい。俺達は横一列になって、さっき兄弟が弾かれたところに行く。
「意外と弾かれる力強いから気をつけろー!」
「流石、体で体感した奴は言うことが違うね」
後ろで2人がなんとも言えない言葉を投げかけてくる。俺達はそれを聞きつつも流す。そうして、結界の中に体ごと行くのではなく先に手だけを前に出してみる。すると隣とその隣からバチンッ!と音が聞こえた。
「いたっ!」
「ッ・・・!」
ルトとルーシャが結界に弾かれていた。ルーシャは声を上げて手の様子を見ており、ルトは少し目を瞬いたあと俺達のことを見る。
「どうやら私と神威は入れるみたいですわね・・・」
「そのようだな。どうする?鳳凰は行くか?」
「行きますわ。このままだと通れないですしね」
「それもそうだな。それじゃあ、兄弟、ここまででいいぞ」
俺が後ろを振り返って兄弟と茨木童子に向けて告げる。それに対して兄弟が「頼んだぞー!」と言いながら茨木童子と一緒に去っていった。
「それじゃあ、ルトにルーシャ。俺達は行ってくるな」
「2人には待っていて欲しいですわ」
「うん!行ってらっしゃい!2人とも!」
「気楽に待っておくよ」
俺はそのふたりの言葉に片手を上げて振りながら結界の中に入っていく。鳳凰は何か言葉を言いながら後を追うようにして入ってきた。
入ってからすぐに俺と鳳凰は青と赤の光に包まれて飛ばされた。ちなみに、俺が青色の光で鳳凰が赤色の光だった。飛ばされた先で目を開き、周りを確認してみると鳳凰は居なくなっていた。俺が困惑していると斜め上から声をかけられた。
「来たか・・・」
「コイツが今代の我らの器になるのか?」
「左様」
俺は声が聞こえた方に顔をあげる。顔を上げた先には2体の龍がいた。2体とも体の色は青である。その中でも、俺から見て右側にいたのは鹿の角と蛇の尾を持つ龍であった。左側にいたのは4本の足を持ち翼が生えて、足には3本の指があった。
「四神で東を守護する青龍・・・それと、応龍・・・」
「左様。神々の愛し子の言う通り、我等は応龍と青龍なり」
俺は驚いた。ただでさえ、神界以外で神と会うことは滅多にないのに今回はそれが二柱も目の前に現れたのだから。
「なぜ・・・俺を・・・・・・?」
「気まぐれだ」
「興味で」
「えぇ・・・」
俺は2人の回答に心底困惑した。なんせ、何か大きな理由があるかと思いきや適当に選ばれたなんて言われるんだから。
「というのは冗談でな」
「・・・は・・・・・・?」
「単純にオマエら4人の中から我らと波長があって、なおかつ耐えれる器となるとオマエだけだったわけだ」
「じゃあ・・・似たような理由で鳳凰もか?」
「鳳凰・・・?あぁ、あの女子のことか。その通りだ」
俺が応龍の言葉にズッコケている間に、青龍が何事も無かったかのように話を進めた。
「・・・で?どうしたら認めてくれるんだ?」
「・・・・・・」
「おい、二柱揃って何言ってんだコイツみたいな顔すんじゃねぇよ」
俺は二柱を見上げながら少し苛つきながら答える。実際、二柱共にそんな顔で俺のことを見てきている。
「我等は既に主の実力は認めておるぞ?」
「へ?」
「応龍の言う通りだ。我らは既に認めているからな。だからそちらの世界にある漫画?といつやつの戦闘に入るということはない」
「・・・・・・神って俺達の世界の俗も知っているんだ・・・」
俺はなんとも言えない感情に支配される。まさかの展開に驚いてもいるが。まぁ、実力を認めてないから今すぐここで戦え!なんてことにならなくて良かったと思うべきか・・・。
「だから神威が我らの力に耐え切れるか器かどうかを確認するだけだ」
「・・・その確認の仕方は?」
「我等の力を取り込め。我等をまとえ」
「つまり・・・憑依すると?」
「正確には違うが・・・似たようなものだ」
俺は顔を俯かせて手を組んで考え始める。
要は俺が二柱の力に耐えれるかどうかの試験みたいなもの。ここで耐えきれたら玉藻前や神託の敵を倒すのに活かせる。そして、既に俺の実力は認められているときた・・・。
「・・・どうしたら憑依できる?」
「簡単だ。我らの力を、我らのことを己の力としようとすれば良い」
「分かった。合言葉的なのはあるのか?」
「一応な。《憑依》と言った後に我等どちらかの名前を言えばいい」
「そっか。理解した」
俺は早速と言わんばかりに目を閉じて心を、気持ちを落ち着かせる。そうして落ち着いたと感じたら目を開いて言葉を告げる。
「《憑依・青龍》!」
俺がそういうと浮かんでいた青龍が俺に吸い込まれるようにして寄ってきた。俺は青龍のことを受け入れる。俺は制御するために再び目を閉じて、俺の中に入ってきた青龍の力を制御しようと意識する。
段々と体が慣れてきたのか入ってきた時よりも動かしやすくなり、完全に制御下に置くことができた。そうして俺は目を開く。
「ほう・・・。1回で成功か・・・」
応龍が感心した声を上げてきた。俺は今の自分の姿を確認してみる。俺の姿は、今まで着ていた紺の長袖、黒の長ズボンから紺色が強い和装になっていた。それと同時に体からは青色のオーラが出ていた。
「これは・・・」
『我をまとったことで姿が変わったのだ』
「な!?青龍!?どこから・・・!?」
『落ち着け。神威に取り込まれると頭の中で会話することができるようになるのだ』
「なるほど・・・。この姿でできることは?」
「水をより正確に操れたり、水のない場所でも水を扱えるようになることだ。あとは全体的にスペックが向上している」
『そして我は速さに特化しているのもあるな』
「なるほどな」
俺は納得して、試しに体を動かしてみる。すると、いつもの速さの倍くらいの速さだった。感覚的には疾風迅雷が常時発動している感じだ。
「それくらいにしておけ。解除の方法は《憑依解除》で良い」
「あぁ。分かった。《憑依解除》」
俺がそういうと和装から元の私服に戻り、オーラも消えた。それと同時に青龍も元の位置に戻っていた。
「我をまとうことは問題ないようだな」
「そのようだな。次は我のことをまとってみろ」
「あぁ。《憑依・応龍》!」
今度は応龍をまとうために再度声をあげる。そうして、応龍は俺に吸い込まれていく。俺は青龍の時と同じように力を制御下に置こうとした。
「あっ・・・がっ・・・!ガァァァァ!」
途中までは順調だったが、途端に急な痛みに襲われた。俺は耐えようと力を振り絞るが痛みは強まる一方だった。すると、《憑依解除》と言ってないのに応龍が俺から出ていった。
「ハァ・・・ハァ・・・!」
俺は片膝をついて体全体で呼吸を繰り返す。その様子を青龍と応龍が見ており、その中で応龍が声をかけてくる。
「無理があったか・・・」
「どういう・・・ことだ・・・!」
「今はまだ、我の力全てに耐えれることができない。ただそれだけのことよ」
「さっき途中で痛みがあったのがその証拠だ。主にはまだ早かったようだ」
「そう・・・か」
「案ずるな。今ができないだけでいずれまとうことはできる。だから焦らずにやっていけば良い」
俺は応龍に諭されるように言われた。俺はそれに対して少し悔しい思いをしながらも頷いた。
「さてと、向こうも終わりかけのようだしこちらも主を帰すとしよう」
「そうだな。我らをまとうのは何時でも可能だ。だが、それに自惚れるのではないぞ」
「分かってる。それじゃあ、またどこかで」
俺がそういうと俺の体は光に包まれた。心なしか、二柱は俺に微笑んでいるように見えた。
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では次回の話しでお会いしましょう!




