酒呑童子と茨木童子
俺達は出雲に向けて道無き道を歩いている。本当ならば道路に出て進んでいきたいが、今までに2度も妖怪に襲われているため被害を抑えるために山道を歩いている。方向はスマホで確認したため合っている。
「想像以上に遠いですわね・・・」
「まぁ・・・出雲だからね」
「ねぇ、神威君道路に沿って行かないの?」
「だとしてもなぁ・・・。いつ襲われるか分かったもんじゃないしな・・・」
俺達は歩きながら会話を続ける。幸いだったのは全員が動きやすい服装であったため比較的素早く進めていることだ。それに、全員が神の力を使って体温調整や疲れがあまり溜まらないようにしていることもだ。
「でもまぁ、安心ではあるよ」
「道を間違うことがありませんからね」
「そうだよ!だから道路を歩こうよ!」
「・・・だな。来たらきたで被害を広めないように立ち回ればいいしな」
そうして俺達は道無き道を歩きながら目的を決める。まずは道路に出ることを目標に歩き始める。俺達は携帯で現在地を確認したあと、道路に向けて進み始める。
「先輩達はもう着いてるかな?」
「さぁな。けど、先に着いてるのなら情報収集をしておいてほしいな」
「そうですわね。それならすぐに行動に移すことができますわ」
「そうだったらいいね!よし、頑張ろー!」
ルーシャが俺達のことを鼓舞するように声を上げた。それに対して俺達は三者三様で返した。俺は頷いて、ルトは返事を返して、鳳凰は微笑み返すといったふうに。そうして、俺達が進んでいるとようやく道路にたどり着いた。
「あとはこれに沿って進んでいくだけだね!」
「妖怪が来なかったらっていうのがつくけどね」
「数体なら問題ないですわ。なにせ4人もいるのですから」
「あぁ。それでも気は抜くなよ」
そう俺が言って再び俺達4人は歩き出す。妖怪や怪物に襲われないことを願うが、来そうな感じはある。まぁ俺達がこんな立場にいる時点で仕方ない部分はあるが。
そうして考えながら歩いていると上から声をかけられる。
上?
「見つけたー!」
「ちょっと!!」
俺達は咄嗟に上を見上げる。そうして、万が一のことを考えて武器を出して待機する。上から降ってきていたのは鬼だった。それを見たルーシャと鳳凰が攻撃をしようと魔術を展開、弓矢を構えた。
「ちょっと待て!2人とも!アイツなら問題ないから。敵じゃない!」
俺はそんな2人を咄嗟に呼び止める。2人が俺のことを見て怪訝に思っていると俺の前に降ってきていた鬼が2体、着地する。
「ふぅ!危なかったぜ」
「何が危ないよ!危ないどころの話じゃないでしょ!!」
着地した2体はやいのやいのと言い合い始めた。その様子を見てルト、ルーシャ、鳳凰は口を開けてこの光景を見ている。
「・・・2人ともそれくらいで。3人が困惑してるから」
「おっ?それはすまねぇ!」
「あっ・・・。ごめんなさい」
俺が2人に呼びかけると口論をやめて3人の方へと向いて謝罪を告げた。それにより呆けていた3人は戻ってきた。
「神威!?こ、この鬼2体はアノ鬼ではないのですか・・・!?」
「え?天鈴ちゃん、何か知ってるの?」
「神威、僕も分かってないんだけど・・・」
鳳凰は分かっているようで声を少し荒らげて俺に聞いてくる。ルーシャとルトは分からないようでそれぞれ鳳凰と俺に聞いてくる。
「1人・・・俺の隣にいるのが酒呑童子。さっきあった玉藻前と同等の強さを持つ妖怪だ」
「それと・・・玉藻前同様に日本三大妖怪の1体ですわ」
「そして、その隣にいる女性の鬼が茨木童子だ」
「ですが・・・伝書の茨木童子も男のような書き方でしたが・・・」
「フンッ。それは間違いだよ。私は生まれてからずっと女よ」
茨木童子がそういうと鳳凰はとても驚いていた。ルトとルーシャはそれよりも前・・・酒呑童子のことを説明したときから驚いていた。そんな中、ルトが踏み込んだ話を投げてきた。
「3人はどういう関係?」
「俺と酒呑童子は兄弟盃を交わした仲だ。それで茨木童子とも関係がある」
「言っとくけどアンタが私は未だに認めてないから」
「分かってる」
俺は少し唸りながら茨木童子の言葉に頷く。
「神威?貴方、盃を交わしたと・・・?」
「あぁ。酒呑童子と意気投合してそのままな。な、兄弟」
「そうだぜ。いやー、まさかオレと同等の強さを持つ人間に会うとは思ってなかったからな」
「へぇー・・・そうなんですわね・・・」
「おーい、鳳凰ー?どうした?」
「神威、そこに正座してください?」
鳳凰が前のように圧をかけながら言ってくる。俺はまたもやのらりくらりでかわそうとしたけれど、強引に正座をさせられた。そこから約1時間かけて盃・・・おもに未成年で酒を飲んだことに対する説教が行われた。
「神威の奴・・・完全に尻に敷かれてやがるぜ」
「アンタも何、人間の子供に酒なんて飲ましてんのよ!!」
酒呑童子は俺が尻に敷かれているのを見て笑っている。そんな酒呑童子を茨木童子がこっちと同じように怒っていた。
ちくしょう、兄弟。覚えとけよ。
それから1時間後に俺は説教を終えた。鳳凰からの説教を終えた俺はわざわざ大江山からここまで来た訳を兄弟と茨木童子に聞く。
「なんで大江山からこっちに来てるんだ?離れているだろ?」
「いやな・・・こっちの妖怪が何か企んでいると情報をキャッチしたんだ」
「それで私と酒呑童子がきたのよ」
「なるほど・・・」
どうやら俺達が襲われたのも何か関係がありそうな話しだ。兄弟がわざわざここまで出てくるということはそれこそ、強い妖怪がトップを張ってることになる。それこそ・・・さっきの玉藻前のような奴が。
「兄弟、少し前に俺達が玉藻前に襲われた。何か関係があるかも知れない」
「あの玉藻前か?九尾の?アイツがお前らを襲ったのか?」
「あぁ。しかもそれよりも前に猫叉にも襲われている。確信はないが西日本の妖怪が同盟のように手を組んだと考えるべきだ」
俺と兄弟が2人で話している間に、茨木童子はいつの間にか後ろの3人と談笑していた。まぁ、仲がいいなら問題ないか。
「共通点としては化けるくらいか・・・。それこそ四国のタヌキは・・・組まないか。アソコはアソコのコミュニティとして完成しているからないはずだ」
「それでも一応警戒はしておくべきだろう。こちらの邪魔をしてくると言ってたから分かり次第連絡はするが」
俺達はお互いに情報を交換し合うことになった。そうして俺が聞きたいことはある程度は終えた。
「あぁ、頼む。それと言っちゃあなんだが出来ることはあるか?」
すると、兄弟は対価として何か出来ないかと聞いてきた。それならと思い俺は神託のことを伝えた。兄弟なら俺が神々の愛し子ってのは知ってるし伝えても問題無いと判断したからだ。
「だから俺達を出雲あたりまで連れてってくれないか?」
「それくらいならお安い御用だ。茨木!」
俺が頼むと兄弟は引き受けてくれてすぐに茨木童子を呼んだ。ちなみに、兄弟が童子を付けずに呼ぶ理由は茨木童子と兄弟は夫婦だからだ。
「なによ。あの3人と話していたんだけど?」
「それは悪かった。けれど、どうやらコイツらも行く場所があるようだぞ」
「えっ!?それを早く言いなさいよ!で、どこに?」
「出雲だとよ。まぁ正確には過去の出雲国だがな」
「それくらいなら大丈夫よ。私は天鈴とルーを連れていくから酒呑はソイツとルトを連れて行って」
あっという間にどっちが誰を連れていくかがあっさりと決まった。男子と女子で分けて連れていくようである程度のところまで連れていってくれるとのことだ。
「それじゃあ兄弟、頼む」
「おう、しっかり捕まっておけよ。ルトだったか?お前もな」
「はい!」
「天鈴とルーもだからね。それじゃあ、酒呑行くよ」
「おうよ!落とされんなよ!」
兄弟と茨木童子は俺達のことを抱えて道路を疾風のように素早く駆けていった。
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では次回の話しでお会いしましょう!




