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窓際の魔導師~ブラックな職場から転職して、のんびり雑用の日々を満喫中……えっ、この雑用、国家存亡案件?またまた~  作者: 御手々ぽんた


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第4話 天魔

「久しぶり、グリンハイム」

「ヒヒーン」


 お昼休憩を終えた私はその足で天魔たちがいる厩舎へと来ていた。

 天魔はその名のとおり、空を飛べる騎獣となる魔物だ。


 リリーさんの天魔のグリンハイムは、馬のような見た目に翼が二対生えた天魔で、リリーさんの髪色に良く似た銀の毛並みをしていた。


 これまでも、リリーさんから頼まれた仕事で何度か乗らせてもらっており、私はグリンハイムとは顔見知りだった。


 そんなグリンハイムはどうやら人懐っこい性格のようで、今も厩舎に訪れた私の方に首を伸ばすと、甘えるように頭を擦り付けてくる。


 よしよしと、私もグリンハイムのことをなで返してあげる。


「あ、ソルトさんっ! リリー課長から伺っております。グリンハイムの準備は万全です!」


 私がグリンハイムをなでていると、厩舎を管理する魔生課の女性職員さんが顔を真っ赤にしながら話しかけてくる。


 言われてみればすでにグリンハイムには鞍がつけられていて、たしかにいつでも乗れそうに準備が整っていた。


 するとグリンハイムが急に甘えるのをやめて、見下ろすようにその職員さんの方へと顔を向ける。

 刺々しい雰囲気が、グリンハイムから漂ってくる。


「ひっ……あ、あのご出発にあわせて……ゲートを、解放します」


 人懐っこいグリンハイムだが、職員の方に鞍をつけられるときに、少し、ごねることはあるのだ。


 この職員さんが顔を赤く上気させているのも、たぶんグリンハイムへの鞍の装着に奮闘してくれたからだろう。そしてそのせいでグリンハイムの機嫌を少しだけ損ねてしまったに違いない。


「はい。準備、ありがとうございます。すぐに出ます」


 そう私は感謝をのべ、さっさと出発することを告げる。機嫌を損ねた天魔の近くにいるのは職員さんも居心地が悪いだろうと思ったのだ。


 そのまま、私はさっさとグリンハイムに騎乗する。


「はっ! 開門っ! 開門!」


 私の騎乗を視認した職員さんが声をあげる。それに合わせて、厩舎の壁の一部に作られた大型の門が開いていく。


 天魔は人に慣らした騎獣とはいえ、魔物だ。

 その扱いには規制も多い。

 このやや大袈裟な一連の手順も、出立の際の規制の一つだった。


 完全に開いた門に向かって、私を乗せたグリンハイムが軽やかに駆け出す。

 さっきまで職員さんに向けていた刺々しい雰囲気は跡形もない。すっかり機嫌を直した様子で、翼を広げるグリンハイム。


 上昇に伴って、体が下へと押さえつけられるような慣性を感じる。


 次の瞬間、私は空の上にいたのだった。







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