第17話 sideミゼッタ=リーン4
──とても整然と整理されている。ソルト様って、見た目通り几帳面なのね。
ミゼッタは茶器をお借りしながら、台所の使いやすさを確認していく。そうやってソルト様の情報を新たに仕入れたことに、興奮が抑えきれないミゼッタだった。
──少し、洗い場に汚れが残っているところとか、とても人間らしくていいな。時間があったら、この洗い場をピカピカになるまで磨きあげたい……
細かく台所をチェックしながら、ミゼッタは加熱の魔導具から片手鍋を下ろす。
──茶葉は……たぶん……ソルト様ならここに二、三種類ぐらい。──ふふ、やった。一発で見つけちゃった。
ここまで目に焼き付けてきた、ソルト様の部屋の作りと家具の配置から、ミゼッタが想像した通りの位置に茶葉が仕舞われていた。
種類も想像通り、三種類。
その茶葉は、どれもミゼッタの見覚えのあるものだった。おかげで、味の想像もつく。
──さっきまでの青ざめてたソルト様の顔色と頭痛、そしてこの茶葉のレパートリーから推測されるソルト様の好みと体調の兼ね合い……
脳をフル回転させて、最適解を推測していくミゼッタ。
このミゼッタの圧倒的な記憶力と、相対した相手から五感を通して得られた情報をもとに推測していく力。
それは、ミゼッタの魔導騎士としての実力を裏打ちするものだった。
そんな、普段は戦闘で使うことが多い力だったが、ミゼッタにとってはそんなものに使う何倍もの喜びを、今まさに感じているところだった。
──ああ、頭の中がソルト様でいっぱいになっていく……ああ、だめ。これ以上はっ。抑え、ないと。何か、粗相しちゃう……
そしてミゼッタは普段からこの力を使っていたので、自身の弱点も十分に把握していた。
夢中になりすぎて、よく失敗するという弱点だった。
ソルト様へ、そんな感じで何か粗相をしている姿をみられる訳にはいかないという強い自制の心が、ギリギリのところでミゼッタを保つ。
そのある意味、極限状態で淹れたお茶は、今、ミゼッタが取りうる可能性の中で、最高の出来だった。
最も今のソルト様の体調に適した茶葉を使った、最適な温度と濃さの一煎。
その自身のお茶の出来に密かに自信を漲らせながら、ミゼッタはソルト様の元へと戻るのだった。
15話 お家へ が抜けておりました。
申し訳ございません。




