子供扱い
ゆきと美桜さんと私は真夜中の街を駆けていた。
夜二十三時半。
ぼんやりと光る街灯は、今にも消えそうだった。
「もう時間がないからここから二手にわかれるぞ。」
「三手じゃないの?」
近くの公園のベンチに座りながら私たちは作戦会議をする。
「お前はすぐ迷子になるから俺と一緒だ。美桜は大丈夫だよな?」
「めんどくさ〜。サボろうかなあ?」
小声で美桜さんが言ったが、くろにはバリバリ聞こえていた。
「もし罰金になったら小遣いなしな?」
「喜んでお探しいたしましょう!!」
美桜さんが必死に即答した。
…て言うか…。
「私子供扱い??」
「子供じゃん。」
「二歳差!!」
「ちーび。」
そんな会話をゆきとしていると、美桜さんが私たちを下に見るような言い方で。
「どんぐりの背比べ…ね。ちーび!子供〜!」
と言った。
「@%#$*<!!」
私は言葉が聞き取れないほどに大きく怒鳴った。
「お、おい。近所迷惑だぞ…。」
そう言った瞬間に公園のドームの中から女の子が出て来た。
「なに?うるさいんだけど。こっちは寝てんだから、少しは考えろ。ぼけ。」
「は、はい!すみません!!」
3人で必死に頭を下げて謝ったら、そのまま少女は公園のドームの中に再び入っていった。
「最近の世の中って女の子はドームで暮らしているのか…。」
「めちゃ大変だな。」
「家に泊めてあげることはできないのかな…。」
みんなでそんな会話をしていると3人とも声を揃えて
「って…ちっがーーーう!!」
と小声で言った。
「なんで子供がこんな時間に外で歩いてんだよ!!」
※8歳で魔王になって一人暮らしをしている人の発言です。
「もしかして家出少女かな?もしも危ない人の家とかに行っちゃったらやばいのでは…?!」
※家族を殺した魔王の家に住んでる人の発言です。
「て言うかこの子!ひったくり犯の子じゃない?!気づけた私って優秀!!」
※ひったくり犯のクエストを忘れてダンジョンで遊んでいた人の発言です。
確かに、そういえば私が見たひったくり犯の特徴と一致してる。そう気づいた私は、ギルドで貰った縄をポケットから取り出した。
「2人共!!この縄を使って捕まえるから、良い感じにドームから出させられない?」
「むず。」
「やってみるか。」
三人で肩を組んでよく作戦会議をした。
「よし、この作戦でいいな。」
「って!もう二十四時になっちゃうじゃない!」
「急いで実行しよう!何個かの手順はすっ飛ばしてやろう!」
そうやって作戦は実行されたのであった…。