意味深な事を言って去っていくキャラってかっこいいよね
部屋をもらったおかげで最近はぐっすり眠れている気がする。みんなも部屋にいることが多くなったが、基本的には朝昼晩はリビングに集合していたので、コミュニケーションは取れていた。
ある日、私の部屋の草原でゴロゴロしていると、誰かが外で名前を呼んでいる気がした。
「誰だろ?」
私は笛を取り出して勢いよく吹いた。
「あ、ゆき?」
亜空間の前に立っていたのはゆきだった。
亜空間のビー玉はリビングに並べて保管されており、元々自分たちの部屋だった場所は客間にしていた。
「最近あまり話してないからな。魔王様が直々に来てやったぞ。」
「へー?じゃあ入って良いよ?」
私はゆきの隙をつけるような部屋の構造を考えながらゆきを部屋に入れた。
「どう?ここが私の部屋!」
「草原に家…?部屋じゃねえじゃん。」
「乙女心わかってないわあ…。」
ゆきは私の話なんか聞かずにすぐに草原に横になった。
「話聞きなさ…」
「こうやって耳を澄ますとさ。」
私の話に割り込んでゆきは話し始めた。目を瞑って真剣な顔で。
「聞こえる風の音が本物じゃないみたいだったり、太陽があるはずなのに目に光が入って来なかったりして、現実とは異なる世界なんだなってしみじみ思うんだよな。」
「それが何よ。亜空間だからそうに決まってるんじゃない?」
「でも、元の世界ではないと解釈したこの世界がこんなに元の現実世界と似通っているのはどうしてか。考えたことはある?」
ゆきにそう言われてハッとしたがすぐに不可解な点が出てきた。
「なんでゆきがそんな事知ってんの?」
私の質問に答えないでそのまま話を進める。
「勉強しただろ?太陽、月、そして酸素などが元の世界と同じような数値だと。」
確かにそのようなことは勉強したが、そんなに気にならなかった。
「ぶっちゃけ言うと、元の世界と違うのは生物や能力、魔法があるくらい。そんなに共通点があるってのは異常だと思わないのか?」
ゆきは起き上がって魔法を使って遊び始めた。
「憶測だが、元の世界とこの世界は繋がっていて、魂が行き来しているんじゃね?とは思っている。」
ゆきは私の背後ら辺を真正面から見て言った。何もかも見透かしたような目で。
「誕生日まであと8日だな?明日から1週間、お前にクイズカードを送るから解いてみろ。ものの見方が変わるかもしれないぞ。」
そう言ってゆきは笛を吹いて去って行った。
「結局…え、どゆこと…?」
何も理解していない私を置いて。