娘は見知らぬ言葉で寝言を呟く
もうすぐ4歳になる娘はおしゃまでお喋りが大好き。
幼稚園で覚えた歌も振り付きで元気よく歌ってくれる。
音程は難ありだけど、それもまた愛おしい。
今もおやつを前にして歌い始める。
「ママー、見てて、トントントントン手は上にー
キラキラキラキラ手はお膝ー いただきますっ。」
「上手~ でも、いっぱい飛ばしたでしょ。」
私は拍手しながら突っ込む。娘はペロッと舌を出す。
「えへへ~、みいちゃんお腹空いたんだもん。」
もう、可愛いんだから。
今日も温めたミルクを飲みながらお喋り。
「あのねー今日ねーこうちゃんみいちゃんのことペンしたの。」
「そっか、それは悲しかったね。痛かった?」
「うん。みいちゃん泣いちゃった。」
叩かれたという背中を大丈夫大丈夫と撫でる。撫でている内に娘はウトウトし始めた。
眠ってしまった娘をソファーに寝かせ、起こさないようにそっと毛布を掛ける。
と?
「#*○▲…」
聞き取れない寝言を呟いた。私はソファーの横に座って娘の顔を覗き込んだ。
「#*○▲…」
眉間にしわを寄せて娘が繰り返す。ん?耳を澄ます。
「ひろちゃん、ボールで遊ぼー」
今度は可愛い寝言がこぼれて拍子抜けする。
翌朝、娘を起こしに行くと、娘はもう起きていた。
「みいちゃんおはよう。偉いねー、一人で起きられたね」
私が声を掛けると、娘は驚いたように顔を上げた。
困惑、と言う言葉が合うような大人びた表情で娘が私をじっと見た。
「ママー、おはよー。」
いつもの顔に戻って、いつものように元気に挨拶する娘。
でも、何かが違う気がして不安だった。
見知らぬ寝言を初めて呟いた日から、娘は度々居眠りをするようになった。
そして、居眠りの度に謎めいた寝言を言う。
「※☆■〆∞∥…」
不思議な音を発する娘にどうしたらいいのか分からなくなる。
その日も娘は寝ながら聞き取れない音を発したと思うとガバッと起き上がった。
そして、3歳児とは思えないほど静かな目で私を見た。
「どうした?怖い夢でも見たの?」
敢えてあやすような言い方をする。娘はちょっとだけ躊躇ってから喋り始めた。
「ママ。あのね。私ね?異星人の生まれ変わりです。
そして、生まれ変わる前の星の人から接触があります。
でも、大丈夫。ここの星は、まだ未熟だから共存するのは難しいと返事したから。
彼らはやって来ない。」
一気にそう言うと娘は意識を失った。
次に目覚めたとき、娘は3歳児らしい子どもに戻っていた。
夢だった?未だ私は不安を拭えない…。




