新しいクラスと小さな一歩
新しい高校生活が始まり、数日が過ぎた。クラスメイトたちはまだお互いを探り合っている最中。一哉は、相変わらず少し控えめな様子で過ごしていた。
「なあ、一哉、あいつらと仲良くなろうぜ」
そう言って太一が指さしたのは、楽しそうに談笑する男子グループだった。社交的な太一とは対照的に、一哉は人見知りなところがある。
「俺は…まあ、太一がいればいいかな」
そう答えると、太いは笑って肩を叩いた。「もっと積極的に行けよ!」という言葉に、一哉は苦笑いを浮かべる。
そんなある日、放課後の教室で、一哉は思わぬ出来事に遭遇する。藤井明日香が、数学の問題について教えてほしいと尋ねてきたのだ。
「え、あ、うん、白鳥…ですけど…」
緊張しながらも、一哉は丁寧に問題を解説した。明日香は彼の説明を真剣に聞き、笑顔で感謝の言葉を述べた。
「全然大したことないよ、俺もそんなに得意じゃないし…」
「そんなことないよ!私、本当に数学苦手だから、助かっちゃった!」
明日香の明るい笑顔に、一哉は少し安心した。そして、自分にも何か貢献できたという小さな喜びを感じた。
その日、一哉は一人で帰り道を歩いていると、今日の出来事を何度も思い出していた。明日香との会話は、彼にとって小さな一歩だった。
「ただの会話…だよな。でも、なんだろう…この気持ち」
一哉は、自分の中に芽生えた新たな感情に戸惑いながらも、同時に小さな期待を感じていた。
翌日、屋上で太一と話をしていると、昨日の出来事を思い出した。
「昨日、明日香と話してただろ?羨ましいなあ。あんな子と俺も話してみたいぜ」
「そんなことないよ、ただちょっと数学を教えただけ…」
太一は笑って、「お前、モテるんじゃねーか?」と言う。一哉は照れながら否定するが、内心では、少しずつ自信を持ち始めていた。
高校生活は、まだ始まったばかり。一哉は、この小さな一歩を大切に、自分だけのペースで成長していく。




