旦那ちゃんと嫁ちゃん~誰がティッシュを使ったのか名推理編~
嫁ちゃんに、さらなる難事件っ!
休日、それは旦那ちゃんにとって、マーベラスな自由時間。
嫁ちゃんは仕事で留守、週に一度のエンジョイ、ホリデイ。
旦那ちゃんは、適度に家事を済ませ、己のやるべきことを片付ける。
部屋に戻りドアを閉めれば、誰もいない一人だけの空間、文を書くのも良し、ようつべを観るのも良し、趣味に興じるのも良し、だが、まずはコイツだ。
取り出したるは、ROLL PINK てっしゅ PAPERいわゆる桃色トイレットペーパー、疑惑の行為を限りなく黒に近づける証拠物品なのだ。
だが、旦那ちゃんは数ある嫁ちゃんとの戦いの中で経験と知恵を養っている。
(ぬかりはないっ!)
ベッドに、ごろんちょ。
スマホを起動っ!Goo〇le音声検索で優しく囁く。
「X〇IDEO(えっくす〇でお)」
これより我は悦に入る。
数多の男の欲望と夢の世界が、小さな液晶画面に広がる。
(・・・今日はおかずはコイツだ)
それ~それ~それ、よっしゃあああ!
旦那ちゃんの初老槍にて、御座候。
・・・・・・。
・・・・・・。
・・・・・・。
お見苦しい、想像をしたみなさんごめんなさい。
ここは真摯にお詫び申し御座候。
「ふう」
恍惚の悦後、我へと返る旦那ちゃん。
「さてと」
ピンクテッシュをトイレへぽん。
「あばよ。相棒」
人差し指と中指を立て、グッバイ・アディオス。
ゴーゴゴー。
渦の中から、ピンティッシュが、
(アイル ビー バック)
と言っているようだ。
旦那ちゃんは親指を立て、サムアップする。
後はシャワーで、ふふふーん、これで完全行為の成立也。
「俺は天才だ」
両手を広げアミバる旦那ちゃん。
・・・数日後。
夕食後、嫁ちゃんと一緒にテレビを観ている団欒時、CMへ入った。
いつもは、このあたりで、嫁ちゃんから何らかのリーサルウェポンが飛んでくるのだが、ν(ニュー)旦那ちゃんにはぬかりない、悠然と身構えるのだ。
我、無敵。
「旦那ちゃん、さぁ」
「ん?」
「また、またまたまたまた、シコったでしょう」
「なんですとう!」
嬉々と目を輝かす嫁ちゃんの、ゼロ距離からの波動砲の発射に、目が泳ぐ旦那ちゃんであった。
しかし、まだ小破っ!カマをかけただけかもしれない、なにしろこちらは、一片のぬかりもないのだから。
「何を根拠に・・・」
「いや、だって」
「何だよ」
「あったもん」
「何が」
「ピンクテッシュ」
「なんですとう!どこに~」
(いや、まさか、そんなはずは・・・旦那ちゃんの理論的かつ打算的およびに、証拠隠ぺい工作には、寸分の狂いもないはずだ・・・まさか、嫁ちゃんはエスパーなのか、いや、隠しカメラでも仕掛けているのか!)
「・・・証拠は」
旦那ちゃんは声を絞り出す。
「あるよ」
どきゅーん!
「・・・まさか」
「ふふふ、旦那ちゃん、嫁ちゃんは丸っとお見通しだよ。では、答えましょう。あなたは、お風呂場でおちん〇んを洗いましたね」
ずきゅーん!
「はひっ?」
「今日、お風呂場を掃除しました。そしたら、排水溝の流れが悪くて、排水栓を清掃したのよ。そしたら・・・」
ばびゅーん!
「あわわわわ」
「ピックテッシュでてきましたっ!」
「そんなバナナっ!」
「はーい、見破ったり~!」
「よもやよもや」
「で」
嫁ちゃんは旦那ちゃんの首に腕を巻きつける。
「今回は何でシコったの?」
嫁ちゃん今度は、ドSの表情で笑っている。
「・・・笑ってらあ」
彼は自らの敗北を悟った。
「ん?」
「・・・俺の圧倒的敗北だ」
「よろしい。で?なに観たの?」
「言わないっ!」
かくして、旦那ちゃんの完全内緒秘密のひとときは、嫁ちゃんのお風呂場掃除により、脆くも崩れ去り明るみとなった。
だが、旦那ちゃんにも男の維持がある、熟女モノでイタしたなどと決して言う訳にはいかない。
ネタは言うまい、言えまい、それは譲れないのだ。
男の矜持を守りつつ、次の勝利へと意欲を燃やす旦那ちゃんであった。
100万回だめでも100万1回目には勝利すると信じて。
フレーフレー旦那ちゃん。
ぐっすん。
原点回帰+マンネリ=すなわち是、王道也・・・な~んてね。
旦那ちゃん、またしても暴かれる。
だか、それがいいっ!