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『七行詩集』

841.~850.

作者: s.h.n


『七行詩』



841.


歳月と呼ぶには 少し短く


ひとときと呼ぶには 大きく膨らんだ


五十ニ週間は 私たちを どう変えたでしょう


間違い 壊してしまいそうになった


駆け出せば 貴方が立てた壁にぶつかった


しかし いつか二人を出会わせた音楽が


最終的に それぞれを 正しい道に立たせたのです



842.


聖なる夜の宴には


祈りも 歓喜も 祝福も


全てが色となり 灯りとなる


貴方にも 鐘の音が聞こえますか


この鐘は ピアノが奏でているのです


さあ 蝋燭に火を点し グラスをその手に


小さな家族達とともに 食卓を囲みましょう



843.


旅をして人に出会うのもいい


ここに居て旅人を待つのもいい


出会った皆で持ち寄った


タイムツリーが 繋がり 延びて広がってゆく


この樹は 私だけのものではない


私の変化も 私だけのものではない


出会うことで 変わり続ける未来と 今の一部になる



844.


どんな星のような存在でも


私たちと同じく年を取り


さらに輝きを増す人だっているでしょう


意志を持ち 強く生きることで


人は誰かの光にだってなれる


その光を得た人たちがまた


足場に迷わず 強く踏み出していけるのでしょう



845.


気に入り この手に欲しくなり


掴み取る欲には 愛がない


小さな籠の中に留めれば


蝶は 美しいその羽を痛めてしまう


見る者を魅了し 気ままに舞うための その羽を


貴方がどのような姿に 見惚れたのかを思い出せば


奪うことは止め 優しさがそこに生まれるはずです



846.


宝物は 私の中で時を止めている


私が変わる度 鮮やかになり


古びていくことはないでしょう


あの時は 私の中で足を止めている


私を見捨てることができずに


今も傍で在り続けている


私の一歩を 支えようとしてくれている



847.


涙は流れていく


それは どんな悲しみの時にでも


此処に留まることをしないのです


年は流れていく


まっさらな土壌に降り積もり


その年の色の 層となり重なってゆく


それは 忘れても 失われぬ形として残るのです



848.


繰り返し 勝負の季節は訪れて


フィールドに 足を踏み入れた瞬間から


ゴールに向かい合っている


どんなに遠くても 見失わず


倒れても立ち上がることができる


背中にいつも 大切な声を感じるから


振り返らず 戦い抜いて また会いに行こう



849.


不安のない人なんていない


貴方には 見せられないような顔があり


貴方にしか 見せられない顔だってある


全てを解ることはできない


それは必要のないことで


繋ぎ止めるために 必死になり


ようやく貴方の傍に居られるのです



850.


古い映画を見て泣いていた 


輝かしい賞を受けたドラマがあった


人の心は いつの時代も変わらずに


同じものを 求めて彷徨い


同じものに 辿り着いては 涙する


もしも明日の朝食が 一人でないと知ったなら


優しさの中で 眠ることができるでしょう



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