スカイ編 2
時を遡る事、数分前。
スカイ=ブルーは階段の上からフィーナの敗北を見て、立ち尽くしていた。
万全を期したつもりだった。
ただ、想定以上の刺客が来た、それだけの事だ。
それでも、想定内だった事がある。
刺客は正面から来た。
それはつまり、ブルー家の結界は破る事は出来なかったという事だ。
なら、ここで結界を張れば助かる。
籠城戦になったところで何とでも方法はある。
――今、店にいる者達を切り捨てるのなら。
「アイ……リス……」
アイリスが刺客に向けて、突っ込んだ。
それは無謀だ。
フィーナに勝てない相手がアイリスに勝てる道理はない。
このままではアイリスが死ぬ。
スカイは飛び出しそうになり、此方に飛ばされた害意を感じ取った。
「!」
敵は此方を見ていた。
そして、迫りくるアイリスを片手でいなし、商品棚へと放り投げた。
敵はアイリスのナイフを持ち、視線で挑発した。
“このままだと、この女は死ぬぞ?”
罠だ。スカイを誘い出そうという罠。
だが、それが分かっていても、スカイは飛び出した。
スカイはナイフを抜き、それを敵へと振るった。
「……フ」
敵はアイリスのナイフでそれを受け止める。
それを承知でスカイは左手で『爪』を展開し、突き立て――やはり、それも敵の元から持っていたナイフで受け止められた。
「ぜあっ!」
間髪を入れず左足でローキックを打ち込む、敵はそれをガードしようとし、後退して避けた。
敵の顎があった場所にスカイの尾がフックを突き立てられていた。
「……誘ったな、オマエ」
スカイは前方に両手を出した。
「……」
敵は答えず、再度距離を詰めてくる。
「……なら!」
スカイは先程のやり取りで確信していた。
敵は自分より強い、と。
ならば、量で押し切るしかない。
展開出来るだけの影をスカイは生み出す。
敵は一体目の影の前に来て、消えた。
「……はぁっ!」
背後に現れた敵を尾が捉えた。
その場から飛ばされる敵。
スカイは振り向き、敵に向けて追撃をかけ――
「見切った」
ナイフの一閃を喰らい、スカイは床に叩きつけられた。




