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フィーナ(スカーレット)編 3
そいつは明らかに怪しい風貌ながら、堂々と正面から入ってきた。
「あ、すみません。今日はもう閉店で…………す」
ドアの開く音に反応してか、ライムがそう口にして固まった。
「……」
受ける印象は全身黒。フードを被り、口元だけが晒されている奇怪な白黒の面を着けたそいつは明らかな――刺客だった。
「貴様、何者だ!」
剣を抜き、一歩前へ踏み出す。
「……」
黒いフードは答えない。
仮面で表情は見えないが此方を観察しているようだった。
この場にいるのはワタシとライム、ミント、アイリス……戦えるのはワタシだけだ。
それを確認したかと思うと黒いフードは懐からナイフを取り出した。
「下がれっ!」
他の三人に向けてそう叫ぶと更に一歩踏み出す。
そして、それに合わせてセキュリティが発動したらしく、影が二体現れた。
「……は」
それは、ため息に聞こえた。
「っ」
黒いフードがワタシに迫る。
それに向けて剣を振るい。
次の瞬間、敵は消え、ワタシの後ろを歩いていた。
「え……ああっ!?」
背中から鎧が砕け、刃が身を貫く感覚が後から湧き出してきた。
ワタシはそのまま床に突っ伏した。




