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わたしと薬と水色の魔法  作者: 結城コウ
13/32

チアキ編 4-7

翌日、オープン初日。

彼曰く「まぁ、宣伝は頑張ったけど、街の外れ、山の近くだし、3~50人くらいでも来てくれたら御の字かな」との事だったが……

「は、はい!あ……其方の商品はもう売り切れになります……」

「えっと、薬のご予約ですか?えっと、スカイさ……店長、来て下さい!」

「お待ち頂いて!はい、では此方の方にサインを……」

「……そのような症状でしたら、此方のお薬が宜しいかと」

「ありがとう、ございました……いらっしゃい、ませ」

大盛況の内に在庫切れ多数により、閉店時間3時間前に店仕舞いとなった。

「あー……疲れたぁ……」

事前に担当を割り振ってはいたものの、それでは対応仕切れず、わたし・彼・ライム・アイリスさんの四人でお客の対応に追われた。

わたしはアルバイトで店員の経験もあったのだが、一番の繁盛期以上の盛況を見せていた。

「お疲れ様です」

シアンさんがハーブティーを淹れて、わたし達の前に置いていった。

「シアン様!?お茶でしたら、淹れますのに」

「アイリスもお疲れでしょう?」

「だったら、僕が淹れるさ」

「もう、兄様こそ一番動いてたではないですか」

それだけ、盛況状態であっても、むしろだからこそだろう。

彼はシアンさんを店には出さなかった。

「お店に出れないのですから、家事くらいは致します。これでは身体がなまってしまいます」

「しかし……」

「兄様は過保護すぎます。少しは身体を動かさないと、病以前に身体が弱ってしまいます」

「……だが、シアンには立場が」

「当主である兄様がお茶を淹れられる事の方がおかしいのでは?」

「その当主の方針には従って欲しいんだけど」

「従いますよ。でも、こんな日くらいはいいでしょう?」

「……」

彼は諦めたように目を瞑った。

「……おいしい」

「ミントさんも今日は頑張りましたね。あの人数の会計をこなしてしまうなんて」

確かにそれは凄い事だ。

店員の経験があるからこそ、レジを一人で大量にこなす事は大変だとわかる。

予備のレジがあるにはあるが、他の店員は其方には回れない程に対応に追われていた。

「ミントだけじゃなく、皆よく頑張ってくれたね。今日だけで、月間の目標額を達成してしまったよ」

「凄い!でも、あれだけお客さん来ましたからね。当たり前と言えば当たり前かも」

「喜ばしい事だけど、大変な事でもある。明日も店を開ける為には今から薬を作らないと」

前述の通り、薬の殆どの在庫がない。

「間に合うのですか?」

「間に合わせるさ」

「シアンも手伝います」

「いや、徹夜仕事になるから駄目だよ」

「なら、尚の事です」

「……言うと思ったよ。なら、途中までは手伝ってくれ。その後は僕の判断で休ませる」

「その後は兄様お一人で作られるつもりですか?」

「そうだよ」

「兄様こそ、お身体を大事になさって下さい」

「この程度の事は問題ない。まぁ、明日は店には出られないけど……そういう訳だから、アイリス、明日は任せる」

「畏まりました」

「さて、夕飯にしようか」

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