訓練
まだマサハル目線だぜ。
次回はちょっと視点が変わるかも。
次の日、俺達は城の外にある訓練場に並んでいた。
みんなの前には一人四十代ぐらいのガタイのいいおっさんがいた。
赤い髪が短く切られており、見るからに暑苦しそうな人だ。
「よし、みんな揃ってるな!
先ずは自己紹介しよう!俺はガウェイン!この国の騎士団長をしている者だ。
これからお前達には魔王討伐を目的としてもらうわけだが、いくらみんなが強いとはいえ、流石にLv1で魔王に挑もうとするなんて無謀も無謀だ。
そこで!お前達には一ヶ月の間、我が騎士団と共に訓練を行なってもらう。
訓練はお前達一人に騎士が一人付きっきりで行ってもらう。
所謂マンツーマン体制ってやつだ。
では、これからその騎士団に登場してもらおうと思う。
入ってこい‼︎」
野太い声でガウェインさんがそう叫ぶと、訓練場のドアが勢いよく開き、続いて沢山の騎士が訓練場に入ってきた。
「こいつらがこれからお前達の教官になる我が騎士団のみんなだ!よろしくな!!」
そう言ってガウェインさんはガッハッハと笑っていた。
この人は結構豪快な人のようだ。
騎士団員が現れてから、生徒達は結構ざわついていた。
何故なら!騎士団の!全員が!美男美女だから!
これからこんな人達に手取り足取り教えてもらえるなんて!ここはどんな天国だ!?
「あぁ、ちなみに生産系の職業のやつはまた別の奴らが教えるからな。」
ガッデム!!
なぜ上げて落とした!(錬金鍛治師は生産系)
「ともかく!これからお前達の教官役を発表する!
まず岡山翔太!お前は俺がつく。いいな?」
「はい!」
「いい返事だ。続いてー」
そんな感じで発表が行われていた感じなのだが、
「次が…御影陽斗!お前は副団長のロロアがつく!」
「ほい」
「よし。それじゃあロロア!出てこい!」
「は!」
そう言って出てきたのは女騎士を絵に描いた様な凛とした空気を纏っている、所謂超美人さんだった。
綺麗な金髪の髪がポニーテールでまとまっている。
それでいてスレンダーな立ち姿!
正直に言おう。ハル!今はお前が憎い!
「君がハルト君か。私はロロア。よろしく。」
「御影ハルト言います。よろしゅう。」
そう言ってハルとロロアさんは手を握った。
「よし、生産系以外全員呼び終わったな。
では「ちょっと待ったぁーー!」む?」
ガウェインさんが締めくくろうとしていた時に田中が口を挟んだ。
「おかしいだろ!?なんでハズレ職に副団長が付くんだよ!普通俺とかにつくんじゃねーの!?」
「ふむ、お前はこの決定に異論があると言うのか?」
「あぁ、あるね。だからその美人さん俺に着かせてよ。」
その言い方から、田中が邪な考えをしてるのがよくわかった。
「この決定は君達との職業と照らし合わせた結果最も効率が良いと思われるものだ。
しかもこの決定は王が下しておられる。
俺の一存で変える事はできんのだ。
ただ、一週間後の功績によってつく奴が変わるかも知れんから、頑張るんだな。」
「……チェ。分かったよ。」
流石に田中もあの威圧感満載の爺さんにたてつく気は無いらしい。
「さて、じゃあこれから生産系の奴はそれぞれ修行を行う職場について話そう。
明日には職場に行ってもらう。日帰りの奴も居るにはいるが、殆どが泊まり込みなので今日中に持ち物整理をしておけよ!」
そうしてガウェインさんはそれぞれの職場を紹介していった。
俺の職場は『鍛冶屋バロック』
鍛治に関わるありとあらゆる事をしている所らしい。
そして聞くところによると、親方は女性らしい!
まぁ工房で働く女性は……何というか母ちゃんを思い出してあんまりね……。
「ーよし。以上だ。これから戦闘系の奴は今日はここで訓練をする。生産系の奴は帰って荷物の整理などをする様に!それでは、解散!」
ガウェインさんがそう声を掛けるとみんなはそれぞれ行動し始めた。
俺はもちろん泊まり込みなので準備をしなければならない。
準備に向かう直前にハルの方を見たが、何やらロロアさんと端の方で話し合っている。
一体何を話してるんだ……?
何にせよハル、お前超羨ましいぞ。
翌日、俺はガウェインさんに鍛冶屋バロックに連れてきてもらった。
「おし!ここが今日からお前が働く場所だ。
仕事内容は昨日確認した通りだ。くれぐれも迷惑をかけないようにするんだぞ。」
「はい、ガウェインさん。短い間でしたが、ありがとうございました。」
そう言って一礼してから俺は鍛冶屋バロックに入っていった。
鍛冶屋バロックは城下街のメインストリートに店を構えている、この街の代表的な鍛冶屋らしい。
棚には盾や片手剣、中にはブーメランなどのいろんな種類の武器が綺麗に整列してある。
俺は中に入り、一番奥の気弱そう人に声を掛けた。
「すいません。今日からここで働かせてもらうことになっている西河正晴です。」
「おぉ、君がマサハルくんか。ちょっと待っててね。
今妻を呼んでくるから。」
そう言ってその人は店の奥に入っていった。
人妻かよ……。ハル、お前やっぱ羨ましいぞ!
そんな事を考えていると、ふと棚に置いてある一つの武器が目に入った。
それは一振りの刀だった。
一目見てそれが素晴らしいものというのはすぐに分かった。
なぜこの世界に刀があるのか不思議だが、そんなことはどうでもよかった。
この刀は完成され過ぎている。
多分俺の今の技術の全てを持ってしてもこれと同等の物は絶対に作れないだろう。
俺がその刀に見入っていると、
「気にいってくれたかい?」
横から女性の声が掛かった。
振り返ってみると、一人の女性が腰に手を当ててこっちを見下ろしていた。この人の肌が炭で煤けている感じとか見ても、この人がこの店の店主なんだろう。
「あ、えと、初めまして。俺は、じゃなくて私は…」
「あぁ、そういう堅苦しいのいいからさ、気楽にやっておくれ。」
「あ、はい。じゃあ、俺は西河正晴。ここで働きに来ました。あの、この刀は……?」
「あぁ、そりゃあたしが打った物さ。」
そう言いながら
更新期間どうしよっかなと悩み中。