女神と職業
名前をいちいち漢字表記するのがめんどくさいので
カタカナ表記にします。
例)陽斗→ハルト 等
今回は大方のあらすじ説明回です。
なお、まだハルトは主人公ムーブをしません。
「……サ……、マサ、しっかりせいや。」
「⁉︎」
「やっと起きよった。」
「ハルか…。あ!怪我は?大丈夫なのか?」
「それはもう大丈夫や」
「良かった。それにしてもここは…。」
「一体どこなんやろなぁ。」
ハルトとマサハルはそう言いながら、辺りを見回した。
そこは不思議な空間だった。
まず、明かりがどこにも見当たらないが、不自由ないくらいには明るかった。
それなのに、足下に影が映らなかった。
次に、床や壁が無かった。
だが、自然に立つことができた。
踏みしめている感触はあるのだが、床がない。その感じは少し気持ち悪かった。
そんな不思議な空間の中に白柏高校の生徒達全員が倒れていた。
側には素人でも分かるくらいオシャレなレトロな家具がいくつか置いてあった。
綺麗に手入れしてあるので、恐らく人はいるだろう。
そんなことを思っていると、生徒達が次々と目覚め始めた。
座席の数が足りなかったため、クラスを分けて飛行機に乗っていたので、ここにいるのは1〜3組の120名だけである。
最初はその不思議な空間に全員見惚れていたものの、自分達が飛行機の墜落事故にあったことを思い出すと、少し全体がザワつき始めた。
するとマサハルの正面の空間がグニャリと歪み、黒い楕円形の穴がポッカリと開くと中から女性が出てきた。
その女性は顔立ちや背格好は十二分に整っており、控えめに言っても美人であった。
更に、身に纏う服も神秘的でいっそ神々しかった。
ただ、唯一不自然なのは、背中に三対六枚の大きな羽が生えていて、それが生き物の様に動いていることだった。
しかし、そんな不自然さなどどうでもいいと言わんばかりの美しさに、白柏高校のほぼ全員が彼女に見惚れていた。
少しすると、女性は申し訳なさそうに、
「皆さま、この度はあの様な不幸な事故に遭われてしまい、大変心苦しく思います。
ここは神界と呼ばれる、神達が住む場所でございます。
私は女神、名はメアリムと申す者です。」
そう綺麗な声で生徒達に告げた。
最初こそその声に聞き惚れていた生徒達だったが、「事故にあった」という現実を突きつけられて再び全体がザワつき出す。
すると、
「あの、一ついいですか」
と三組の岡山翔太が発言した。
彼は容姿がとても優れており、その上成績優秀スポーツ万能というスーパーマンである。
いつもみんなの中心に位置しており、彼に告白する女子は後を絶たない。
そんな彼が声を発するだけで、全員は一気に静まり返り、彼に注目した。
中には、彼に向かって蕩けるような顔を向けている女子もいる。
「はい、なんでしょう?」
そんな中、メアリムは、にこやかな笑顔で返す。
一瞬驚いた顔をしたショータだか、気を取り戻すと質問を始めた。
「僕たちは死んだのでしょうか?」
「はい。そうなります。」
憂いがあるような目で即答するメアリム。
「死んだ」という事に少し動揺する生徒達だが、またショータが発言を続ける姿勢なので直ぐに静かになる。
「では、何故俺達はこの様な場所にいるのですか?」
メリアムは考える様な仕草をした後、申し訳無さそうな様子で、こう告げた。
「実は、皆様には、お願いがあってこのような場所に来てもらいました。
あなた達に私達の世界を救って欲しいのです。」
その言葉を聞いた途端、一部の男子達は動揺を見せたが、他の者達はキョトンとしている。
ショートは質問を再開した。
「それはどういう意味ですか?」
「つまり、あなた達には、元の世界とは違う、別の世界を救って欲しいのです。
その世界は、魔法が使える世界です。
しかし、一部にはその魔法を悪用し、その世界を支配しようと考える者がいるのです。
あなた達にはそれを倒して貰いたいのです。」
「俺達はただの学生ですよ。そんな事できますか?」
「そこはご安心下さい。貴方様達には、特別な能力をお授けします。」
「能力?」
「はい。」
そう言うとメリアムは、パンパン、と手を叩いた。
すると、先程メリアムが出てきた穴から、神官っぽい格好をした人物が、握り拳一つ分くらいの大きさの水晶玉を手に持って現れ、その空間にあった大きなテーブルの上に綺麗に並べた。
そして、
「この水晶玉にはそれぞれ特殊な力が封じられています。
この水晶玉を割って頂くと、"職業"と言うものが得られるんです。」
メアリムはそう水晶玉の事を説明した。
「職業?」
「はい。職業は今から行って頂く世界では全ての人が生まれた時から持つものです。
しかし、今回ご用意したのは、その中でも強力な物や珍しい物ばかりです。
これを使って、この世界を支配しようと企む者、魔王を倒しては頂けませんか?」
ショータは考えるように下を向く。
生徒達はショータに期待するように全員がショータに視線を向けていた。
ショータは顔を上げると、
「俺たちを元の世界に帰すということは出来ないんですか?」
そう質問した。
その手があったかと大半の生徒は期待するようにメアリムに視線を向けた。
それに対してメリアムは、
「…申し訳ありませんが、あなた達はあちらの世界では既にお亡くなりになっているので、それは厳しいかと…。」
その言葉を聞くと生徒達は諦めるように暗い顔をした。
ショータは続けて質問した。
「そう…ですか…。
なら、この提案を拒否した場合、俺達はどうなるんですか?」
「元の世界の輪廻の輪に戻って貰います。しかしその場合、次に貴方が生まれ変わるのが人間なのか、はたまた昆虫なのか、私達には分かりません。」
そうメアリムは真面目な顔で言い切った。
その言葉を聞いた途端、生徒の全員が明らかに怯えた表情となった。
その様子を見て、ショートは、
「…分かりました。僕達は異世界に行きます。」
そう告げた。
「そうですか。ありがとうございます。」
メリアムは感動したように腕を胸の前で組んだあと丁寧にお辞儀をした。
「それでは、皆さん。これから各々自分が『これだ!』と思う職業を選んでいただきます。」
長いお辞儀をした後、ゆっくり頭を上げたメリアムはそう告げた。
「一度その職業を選ぶと変えることは出来ないので、慎重に選んでくださいね。
職業の説明は机の隣にいる神官さんにしてもらいましょう。」
そう言って机の横の、やはり神官だった、人を指し示すと、その人は、
「では、僭越ながら、私が説明させていただきます。」
そう渋い声で言いながら、頭を下げた。
「まず説明するのは、一番奥のあの水晶玉です。」
そう言いながら一番奥にある一番重要そうにされてある水晶玉を指し示した。
「あれは職業『勇者』の水晶玉です。
勇者の能力は、
全ステータス強化(大)、全属性適性、全属性耐性、
指揮効果アップ、パーティメンバーの経験値2倍
でございます。」
「すいませーん。『すてーたす』とか『てきせい』とかってなんですか?」
「これは大変申し訳ございません。そこの説明からでした。
ステータスというものは、自分の体力、魔力、速さと言ったものでございます。
体力は、自身の生命力です。これが尽きると死亡します。
魔力は魔法を使うための力です。魔力の減り方は、魔法によって異なります。
他にも、攻撃力、防御力、使える魔法等の様なものが含まれます。
これらにはランクが振り分けられており、高い順に
S,A,B,C,D,E,F,G,Hまであります。
そしてステータス強化はそれらを強化することを表し、(大)はその度合いを表します。
具体的な例で言うと、
勇者の『ステータス強化(大)』は最低でも現在表示されているステータスランクの二つぐらい上に自分のステータスを持っていくことができる、
と言うものです。
次に、適性についてです。
適性は、魔法の分野においての得意属性を指し示すものです。
属性とは魔法によって大きく分けて
火、水、風、土、光、闇に分けられます。
他にも属性はあるのですが、それらはこの六つの属性から派生したものです。
適性の説明に戻りますが、例えば、『火属性適性』がある場合、他の人よりも火属性の扱いが上手くなります。
そして『勇者』の全属性適性は全ての属性の扱いに長けているということです。
他に質問は有りますか?
無ければ次の職業です。この職業は――」
その後、順調に職業の説明が行われた。
生徒達も必死に聞いて、分からないことがあれば質問していた。
今後の生活に関わることだ。当然だろう。
そして説明は終わりを迎えた。
「―以上が全職業の説明です。
ご清聴、ありがとうございました。」
そう言いながら神官さんはお辞儀をして一歩後ろに引いた。
そして、
「はい、皆さん気に入った職業は見つかりましたか?
それでは各自、選んでください。」
とマリアムが元気いっぱいに言い放った。
そこに
「はい、質問ー。」
ハルトがニコニコしながら手を挙げた。
(ハルト?)
マサハルはこのタイミングで質問をしたハルトに疑問を抱いた。
「なぁ、なんでここにある職業って全部で119個なん?僕らは全員で120人やで?」
そう聞いた途端生徒全員の動きが止まった。それはつまりこの全員のうち誰か一人は職業が貰えないということになる。
さっき説明してもらった話によるとこの世界はどうやら、その人の職業の分野がそのままその人の仕事に繋がっている。
つまり、職業が貰えないということは、知らない土地でサバイバル生活(補助なし)を行うということである。
それを聞いたメリアムは
「困りましたね〜。レアな職業の水晶玉自体は物凄く貴重で予備はないですし〜、う〜ん…。」
そう言いながら悩んだ挙句、
「よし、そこの君、名前は?」
「僕?僕は御影ハルト言うもんやで。よろしゅう。」
「ハルト君ね。
君、好きなもの動物でしょ。」
「そうや、よく分かったな。」
「フッフ〜ン。神様なんだから、これくらい当然よ。」
そう言いながら部屋の隅にある箱から一つの水晶玉を取り出した。
「これはレア職業って訳ではないんですけど、結構強い職業なんですよ。
職業名は『テイマー』。
動物等を使役する職業です。
これをあなたの職業にしていただけませんか?」
「うーん…。」
(珍しいな、ハルが動物のことで躊躇するなんて)
そうマサハルは思った。
ハルトは大の動物好きで仲良くなってすぐの頃はよくハルトの家の裏にある山に登って珍しい生き物を見つけては観察したりしていた。
そして今でも、ハルトに生物の話をすると必ず1時間は喋りっぱなしになる。
そんなハルトなら即答しそうなものを何故悩むのか疑問に思ったマサハルだが、
「うん、まぁええよ。」
そう言ってニコニコと嬉しそうに水晶玉を手に取るハルトの姿に、
(…気にしすぎか。)
そう思って気にしないことにした。
後ろのメリアムが薄く笑ってるのも気付かずに…。
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・登場人物紹介
・西川正晴
・性別:男
・身長:171cm
・体重:65kg
・血液型:B型
・:誕生日:10月6日
・好きな物:鍛治、母ちゃんのシチュー
・紹介説明文
ハルトの幼馴染み。
有名な鍛治職人の後継ぎで、自身も天才鍛治師
両親と自分と弟、妹と一緒に暮らしている。
成績は良いとは言えないが、スポーツは得意。
容姿にかなり優れている。
明るい性格で、男子だけでなく女子にも気さくに話しかけられる。
少し短気で考えるより行動を先にしてしまう。
趣味は彼女探しだが、本人曰く、
「こう『ビビッ‼︎』てくる人がいないんだよな〜」
と、いつもハルトにボヤいている。
ハルト×マサハルの腐的関係を妄想する「暗黒集団」があることをハルトとマサハルは未だに知らない。
いかがでしたでしょうか。
今後とも、活躍を応援して頂けると嬉しいです。
そしてそれに関する「なろう」のアレコレ何卒、何卒宜しくお願い申し上げまするで候