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9約束



日が暮れる時間になりそろそろ帰らなくてはいけない。


「レグルス、私帰る」


「え?もう?」


「抜け出して来たから。バレたらまずいし」


監視役は食事の時間帯に様子を見に来るかもしれないので一度戻った方がいいと思ったのだ。


「どういうこと?」


「んー…私ね無理矢理この国連れてこられたの」


正確には違う世界から召喚されたがそこは言わなかった。


「つれてこられた?」


「うん。間違えてらしいんだけど。でも帰れないって言われて」


亜美を召喚する時世になった凪はもう帰ることはできないと言われてしまいどうしていいかわからない。


今はこの世界で生きていくことだけを考えなくてはならない。


「そんな酷い…だったらここにいればいいよ」


もしかしたら凪は本当にお姫様なのかもしれないと思った。

レグルスの想像するお姫様とはかなり違うが、服装もいいしどこか浮世離れしている。


小さな国のお姫様で無理矢理連れてこられて、耐え切れず抜け出して来たんじゃないかと想像を膨らませる。


「何処にいるの?」


「お城」


「え!お城!?」


他の村人も驚く。

もしかしたらひどい仕打ちを受けているんじゃないか?と心配になる。


「別に酷いことをされてるわけじゃないよ。だからまた抜け出してくるから」


(いいんだ…)


囚われのお姫様と思いきや、凪はまた抜け出す気満々だった。



「たぶん森の穴から繋がっていると思う」


「そっ…そうなんだ」



何で穴?とも思ったが、レグルスも細かいことを気にしない性格だった。



「レグルス。また来ていい?」


「うん!今度は俺が会いに行くよ!」


平民が宮廷に出入りするなんて普通は無理だが、他の大人たちは何も言わなかった。


レグルスの目が本気だったから。


「じゃあげんまん。約束」


「うん、約束だ」


二人は仲睦まじく指きりをして別れた。




しかしその後、レグルスは正式に宮廷に行くことになることを誰も知らなかった。




「レグルス、いい人だったな」


「キュー!」


「だよね!なんか絵本に出て来る勇者みたいだったよね!」



夜に満月を見上げながらすっかり仲良くなったウサギと一緒にお団子を食べながら思った。



「聖女様召喚されたなら勇者はセットだよね。レグルスだったりして」


「キュー!」


偶然の中の必然の出会いはやがて大きな運命の歯車を動かすきっかえになっていた。





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