6トリアノン村
レグルスと一緒に村に向かうことになった。
森から少し歩いてすぐに到着した村は小さいが活気がある。
「ここが俺の住んでいるトリトン村だよ」
「すごく素敵な村だね!」
「ありがとう」
かなり小さな村で決して裕福とは言えなかった。
村長はかなり高齢で教会も古く親を亡くした子供も少なくないがレグルスはこの村が好きだった。
例え貧しくても助け合い生きている。
「お?レグルス。ついに嫁さんを見つけたのか!」
「違うよ!!」
村に戻るとミルクの運送をしている男にからかわれる。
「お嬢ちゃん見ない顔だな」
「こんにちわ!」
「おお…元気だな。それにしてもその髪の色」
珍しい色なので食い入るように見る。
この世界では黒髪は珍しかったので村の人も驚いていた。
「お嬢ちゃんは聖女様か?」
「え?違いますよ。私の育った国では黒髪なんて普通だし。日本人はみーんな黒髪ですよ」
「違う国から来たの?」
「うん、そうだよ」
まだ幼さが残る少女が一人で他国に来るなんてよっぽどの訳ありかと思い涙ぐむ男ジョニー。
「そうか苦労したんだな。よかったらミルクをやるよ」
「わぁーい!ありがとうございます」
「今瓶にとりわけ…おい!」
積んである缶を一気飲みする。
「あー…いや、それはそのまま飲むんじゃなくてだな」
「ちょっと!お腹壊すって!」
飲むようは瓶に入れているもので、凪が飲んでいるミルクは薄めなくてはいけないのだが。
「ぷはぁー!!」
まるで風呂上がりのおっさんのようだった。
「うまい!お代わりください」
「「うそぉー!!」」
普通は胃もたれするのだが凪は余裕だった。
「あー私、近所で羊のミルクをそのまま飲んでたことあるから平気」
「羊の乳?」
「そうそう。この牛乳すごくおいしいね!」
新鮮さはもちろんのことだが甘みもある。
離宮で出された牛乳は水臭くて味がしなかったのでこっちの方が好きだ。
「くっ…くくっ!!嬢ちゃん気に入ったぜ」
「おじさん!」
「俺のミルクを一気飲みしたのは嬢ちゃんが初めてだ!いい飲みっぷりだじゃねぇか」
バシバシと背中を叩きながらすっかり上機嫌のジョニー。
「どこかのお嬢さんにしては元気だな」
身なりからしてどこぞのお嬢様だと思ったが中身は反対だった。
「お代わりならやるぜ」
「本当?ありがとうおじさん!」
気分を良くしたジョニーは小瓶に分けた牛乳にチーズも分けてもらい凪はご満悦気味だった。