5レグルス
真っ暗で何も見えない状態だった。
どこまで続くのか解らずにいたらようやく光が見えた。
「ぶほっ!」
地面に落ちた凪は腰をぶつけどこかの森であることに気づく。
「どこだここ?」
「キュー」
「あーウサギさん」
凪を見つめて耳を動かす。
「こっちに何かあるの?」
まるでついて来いと言っているようだった。
ウサギに導かれるようにして森の奥に行くと綺麗な花が咲く場所にたどり着く。
「わぁー綺麗。蓬もある!」
綺麗な花よりもまずは食べられるものが先行していた。
「キュー!」
「それにハーブも…離宮の庭にはないものばかり」
香辛料に使えそうなもの木の実もありテンションが上がる。
「沢山摘んでジャムを作ろう…でも砂糖ってあるのかな?まぁいっか」
鼻歌を歌いながら花束を摘んで行く。
上機嫌で花を摘んでいると。
「誰かいるのか?」
声が聞こえた。
「あっ…」
金色の髪の毛に青い瞳の綺麗な男の子だった。
「君は‥‥」
「こんにちわ」
「あっ…こんにちわ。俺はレグルス・ポール。君は?」
「凪…」
風にそよぐ髪はとてもきれいでお日様のよう髪と透き通るような青い瞳がとても綺麗だった。
「ナギ…ナギ…覚えたぞ」
「私もレグルスの名前覚えたよ」
「そうか」
二人して微笑み合う。
似たような年頃の二人はすぐに打ち解けた。
「ナギはどうしてここに?」
「えっと穴から落ちた」
「穴から落ちた!?」
何気なく言った言葉にレグルスは驚く。
よく見ると平民とは思えない上等なワンピースだったが裾が泥だらけだった。
「大丈夫?」
「うん、平気」
「わぁぁぁ!!」
裾を上げようとする凪にレグルスはギョッとなる。
この世界では露出を避けた洋服が多い。
踊り子や夜の店で働く女性は別として普通は露出が少ない服装をしている。
ギルドの中には露出度の高い服装をしている女性もいないことはないが純情可憐なレグルスは真っ赤になる。
「あー、ごめん。つい」
「ダメだよ女の子が」
「うん、ごめん。いつものノリで」
(いつも!)
村の女の子とは正反対の凪に困り果てる。
レグルス・ポール17歳はまだ初恋すら知らず純真だった。