4小さなお客さん
一方その頃凪はと言えば。
「まいうー」
実に自由な生活を送っていた。
幽閉と言っても、決まった時間に侍女が食事を持ってきて放置な為好き勝手していた。
離宮を見て回ると、風通しも良く居心地も良かった。
小さな宮殿は派手過ぎず上品な作りで傍には古びた風水に小さな神殿もある。
敷地内はとても広く。
離宮の周りの庭もかなり広く一般家庭で育った凪からすれば豪邸だった。
「ラッキー、ラッキー!!大きなお庭に豪華なお邸もセットなんて」
一人で暮らすには十分すぎる広さで監視役もいていないようなものでかなり自由に過ごせていた。
煌びやかな宮廷での暮らしよりも離宮での暮らしの方がずっといい。
この離宮も庶民からすればかなりの豪邸で、広間もきれいに掃除すれば使える。
「いやぁー、ここの魚も茸もまいう」
ハフハフとしながら串に刺した茸や魚でバーベキューを楽しむ。
庭にはハーブの畑もあり黒い木の実は胡椒と似たものだったので色々調べていると香辛料の実ができている。
色々工夫をそれば快適に過ごせるものだ。
「さぁーてと。今日も‥‥ん?」
お腹が膨れて満足した凪は片づけをしようかと思っていると庭の抜け穴からひょっこり顔を出す野生のウサギ。
「わぁー可愛い!おいで」
手を出しだすとウサギは耳をぴくぴくさせる。
「食べるもの…えーっと」
何かないかとポケットの中をごそごそあさるとビスケットが落ちる。
「キュー!」
「あ‥‥」
地面に落ちたビスケットを食べるウサギは気に入ったのかつぶらな瞳で訴える。
「もっと欲しいの?でもウサギさんが食べられるものは…そうだ」
パンが残っていたのを思い出し差し出す。
「どうぞ」
「キュー!」
半分こしたパンを銜えて穴の中に帰って行く。
「ウサギさんの穴…もしかして不思議な穴だったりして」
凪は好奇心を抑えることができず後を追いかける。
「もふもふしたい」
悪い癖が出てしまった凪は穴の方に頭を突っ込もうとしたその時。
ズボッ!
穴に落ちてしまった。