7/18
7
九曜は洋服に着替え、祖父に連れられ、上村家が管理する神社へやって来た。
九門からさんざん説教されていたせいか、一応外見は見れる神社となっている。
「あのお祖父さま、上村のおじさんは何と言ってきたんですか?」
「神社で管理しているご神体が盗まれたそうです」
「そうですか…って、えええっ!?」
本殿を前にして、九曜は絶叫を上げた。
「ご神体って…あの鏡ですよね?」
「ええ、お前にも見せたことがありましたね。あの鏡です」
九門は眼鏡の奥の眼を、スッと細める。
「今朝、この神社にきた上村さんが気付いたそうです。本殿の扉が何者かに破壊され、中のご神体が無くなっていることを」
賽銭箱を通り、本殿の扉の前に来る。
遠目では分からなかったものの、近くに来ると、確かに扉は壊されていた。
足元には南京錠が落ちており、扉の鍵の部分も変形している。
「あの、警察には?」
「一番に連絡したそうです。警察の見解では、そういうのを専門にした窃盗犯だろうとのことです」