消えるべきクズ
残酷な描写があります。ご注意ください。
俺がもてはやされ、1日が過ぎた。プシカは俺の隣で寝たいといったので、一緒の布団に入って寝たが、その時腕を掴まれたせいで、彼女が起きるまで体をあまり動かせない。時間はどの位たったのだろうか? 異世界なので時間の流れも分からないだろうし、何より時計がない。
「はぁーあ」
まったく、人気者ってのも考え物だな。テレビに出ている人気者とかと同じ気分だ。昨日、救世主はまずいからユウイチと呼んでくれと頼んだが、納得しなかったようで皆ユウイチ様と俺の事を呼ぶ。少し照れ臭いが、救世主よりかはマシなので納得している。
「おはようございます。ユウイチ様」
村人の1人が、俺に挨拶をしてきた。この人は俺が怪我を直した人のうちの1人だ。少し困った様子だったので聞いてみると、どうやら火の調子が悪く、料理が出来ないようだった。
俺は火の魔法を持ってるので、それを使い火をつけてやる。すると村人は喜んだ様子で俺に何回もお辞儀をしてきた。
「いやぁー、ユウイチ様ありがとうございます」
俺はお礼なんていいよと言った様子でその場をやり過ごした。ここまで目立つなら助けなくてよかったかもしれないが、俺は困ってる人や助けを求めている人にやさしくしてしまう性格なのだからしかたがない。
「お……おい! 盗賊が来たぞ! このままだと村が終わっちまう!」
何気なく歩き回ってると、村人のうちの1人がやってきて、敵襲を知らせてきた。村人の皆は叫びまわり、家の中に閉じこもってしまった。
やれやれ、また揉め事か。仕方がない、俺が行くとするか………………っと、足元に赤い宝石があった。えっとどれどれ?
<実績:情報を獲得しました。情報:宝石を集めることで、能力強化が行えます>
なるほど……昨日の悪党共を倒せたのもこれが理由か。ただの高校生だが、宝石を集め続けた結果、戦闘で勝つことが出来たってことか。
「おいおい、お前が救世主とかいうやつか? なんだ弱そうじゃねえか。おい! お前ら! やっちまおうぜ!」
リーダー格らしき人がそう合図すると、盗賊どもは一斉に襲ってきた。まったく、頭が無いのかこのクズ共は。俺はそれらをよけながら、自分の拳で一掃していった。すると周りのやつらは綺麗に吹き飛んでいき、残すところ1人となった。
「く、クソが!」
やつはこっちをずっと見つめてくる。それにしてもあいつ、スゴイムカツク。何だろうか、この不快感は。あの目と言い口と言い話し方といいすごいムカツク。今にでも殺してやりたい。
「この俺、トオル=オカジマを舐めるな!」
「あ? 舐めるなって? こっちのセリフだ。馬鹿め」
俺はこのクソ野郎の殴ってきた手を掴み、そのまま上にあげた。すると奴はジタバタし始めた。見ていてすっごい滑稽で面白い。
というより、このゴミは何なんだ? 集団でしか行動のできないクズ野郎だ。そして何といっても名前だ。その名前が俺を不快にする。
「お前、トオル=オカジマとかいうんだっけ。何てムカツク名前なんだ。反吐が出る。人間様と同じ空気をすってると考えると、本当に不愉快だ」
「お……おい! 何を……はがぁ!?」
俺はやつの口に向かって炎を放った。するとやつは叫び続けるが、それらは単語として成り立ってすらいない。
「ん……おはようございます、って何ですか? そのゴミは」
「ほ……ほい! ははれ!」
「はい? 何でゴミが堂々と私に話しかけてんですか?」ドン!
ゴミが話しているので、プシカはたばこの吸い殻を踏みつけるようにそいつの背中を踏みつけた。見ててすっきりするし、悪人だから別に心が痛くならない。プシカは善行を行っているんだ。やっぱりこの子は天使だ。悪人を裁き、善人に従う。ちゃんとしたいい子だ。
「はぁ……ユウイチさんはこのゴミ掃除をなさったのですか? まったく働き者でいい人ですね。ユウイチ様は」
「いや、人間として当然の事さ。ゴミは処分しなくちゃいけない。それが義務さ。さて……」グイッ!
「は……はばばばばばばばばばば!」
俺はやつの首を絞め、じっくりと殺していくことにした。罪を償わすためになるべく力を入れ過ぎないように、かつ苦しみが続くように……
「惨めなやつですね! まったく!」
しばらく経つと、プシカはそうつぶやいた。俺もその通りだと思うし、このクズがいなくなっても別に困ったりしないだろう。
あぁ、なんていい気分なんだ。絶対にこいつに負けるわけがねぇ。こいつの命は俺のものだ。これはそう思っていたのだろう。それが逆に俺に命をもてあそばれているんだ。俺の手1つで奴は息の根を止めるのだ。こいつはもう、俺の支配下なのだ。さて、あとどのくらいもつのかな?
☆
「おら! 死ね。死ね。あっもう死んだか。耐えることもできないなんてな」
首を絞め続けていると、ゴミはそのまま倒れこんでしまった。あぁ、なんて清々しい気分だ。やつの犯した罪はこの程度で償えるとは思えんが、この大地が一層綺麗になった気がする。
「さて、行きましょユウイチさん。あなたの善行は村で噂になるでしょう」
プシカは俺の袖を引っ張り、俺を誘導した。なんていい子なんだ……俺のために従順でいてくれるなんて。この子と一緒でよかった。
「あの……ちょっといいか?」
「ん? どうした」
村に帰ろうとすると、村人の1人らしき人に出会った。何かお願いがあるそうだ。一体なんなのだろうか?
それにしてもこの世界はいい。盗賊も、この自然も、村人も、プシカも、異世界の様で俺は安心感を覚える。あぁ、本当に天国のようだ。
「いや、盗賊を倒した英雄様と話したくて……いいか? ユウイチ」
「あぁ、もちろんだ」
話し合いか、まぁいい。1人1人でも幸せになってくれるのなら、俺はそれで幸せだ。少し違和感を感じるが、このまま話してやろう。
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