Boy's side
Twitterに上げた創作小説です。
まだ文章の構成が稚拙で読みづらいところもあると思いますがぜひ他の楽しんででいただけたら嬉しいです。
女の子の視点からの物も書こうと思っているので連載形式にしました。
駅のホームに1人佇む女性。よく見れば僕と同じ塩原高校の制服を着ている。
時刻は9時過ぎであるから察するに塾の帰りだろうか。そんな事を考えながら階段を登りその女の子がいる2番線ホームへと向かう。
今、目が合っただろうか。
今日は部活の夜練があり疲れていたので階段を降りてすぐの場所で電車を待っていた。
ちょうど女の子の斜め後ろに英単語帳を持って立っていると遠くから電車のライトがこちらに近づいて来るのがわかった。
単語帳をポケットに仕舞いつつ顔を上げると女の子が線路方へとふらつくように歩いていた。
周りには僕しかおらず電車も見える距離とは言えまだ到着していない。
彼女は俯いたまま少しずつホームの端へと歩いていく。
僕は嫌な予感がした。
最近は暖かくなってきたと言うのにどこか寒気を感じた。
女の子の右足が黄色い線を踏んだ時、駅のアナウンスが流れた。
その瞬間、僕の背中に汗が流れるのがわかった。
「2番線、貨物列車が通過いたします。危ないですから黄色い線の内側までお下がりください」
ぞわりとした感覚とともにこれはまずい、と大きな焦りを感じた。
そして、女の子の左足が黄色い線の外側についた瞬間、僕は大きく足を踏み出し右手を伸ばした。
前へと傾く女の子の身体。
さらにもう一歩踏み出す僕。伸ばした手が女の子の左手掴み引き寄せたと思った瞬間……
女の子は消えた。
そして、僕は浮遊感を感じた。
それもつかの間、同時に制服の襟をグイッと引っ張られる感じがした。
ハッと顔を上げると目の前を貨物列車が通過して行った。それによる風圧を顔面で直に感じた。
圧倒的物質量の塊が目の前を通過していた。
僕が現状を理解するよりも先に後から鋭い声が聞こえた。
「あんた何やってるの!?」
僕は驚き後ろを振り返った。
すると、そこにはさっきホームから飛び降りようとしていた女の子が僕の襟を掴んだまま恐怖と怒りに満ちた目で僕を見ていた。
驚きと混乱で戸惑う僕は間抜けな声で尋ねた。
「え、なんで君がいるの?」
女の子は眉をひそめてそれに答えた。
「貴方がいきなりフラフラと歩き出したから線路に飛び降りるんじゃないかと思って引っ張ったのよ!」
そんなはずはない。
「違うよ、君が線路に向かって歩いたから僕が君の手を引っ張ったんだ。
そしたら君が消えて、あれ?と思った瞬間には僕が線路に落ちる寸前だったんだ!」
女の子はすぐに言い返した。
「あなたこそ違うわよ!私が電車を待っていたら急にあなたが後からフラフラと歩いてきて、貨物列車が通過しますってアナウンスがあったのにそのまま歩いていこうとしたのよ。てっきり目の前で自殺するんじゃないかと思って私が手を伸ばして引っ張ったのよ。」
僕らは互いに疑いの目を向けながら自分達が乗る予定の電車が来るまで口論をした。
結局、どちらの言うことが正しいのか分からず、駅の防犯カメラを確認しようにも駅員になんて説明すればいいのか分からないので真相は闇の中だ。
それから僕らはたまに駅のホームで会うと言葉を交わすようになった。
そして、何度か2人でその時のことを話し合いひとつの疑問が生まれた。
それは、どちらが正しいとしても、もしあの時お互いに相手を助けなかったら今頃どうなっていたのかという事だ。
そんな僕らに関係なく、今日も電車は走っている。
読んでいただきありがとうございます。
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