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4.

最近暖かいですね。




どうも、アシュリーテ・オルコットです。

5年が経って、16歳になりました。分かりますか、この少女と大人の微妙な境目、そう、いうならば美しくもまだ青く固い蕾だった花が、ようやくその花弁を綻ばせ、大輪の花を咲かせようとしているのですよ!つまりですね!もう日課となった鏡前クルクルを披露しますね!美少女バンザイ!ヒャッホイ!!ってことですね!



これは間違いない、前世であれほど熱望していた人生イージーモード、とやらだ。ktkr。野郎どもを千切っては投げ、千切っては投げの百人斬りをする時がきたに違いない!!







そう思っていた時期が、私にもありました。

えぇ。色々あった。本当に色々あった。



いや…ね、もしかして…?とは思っていたんだよ。でもね、まさかそんな訳ないかって。いやだって、あり得ないよね。そんなまさか。



前世の記憶を思い出すだけならまだしも、まさか前世の特性まで引き継いでる…とかねぇ?




いやぁ、実は、もう何の仕様だかわっかんないんだけど、完全に遭遇率がおかしいんだよね。限界突破して突き抜けちゃってるんだわ。エンカウントしまくりなんだわ。



序盤から確かにそんな空気が出ていたのは気付いてたんだ、アラン様(笑)の段階から嫌な予感はしてたんだよ。

でもね、お兄様は普通の優しくてカッコよくて王子様で素敵な美青年だったし、私の身の回りのお世話をしてくれるメイドさん達だって、少し着替えの時間とかお風呂の時間にボディタッチが多いぐらいで、ただちょっと寝起きに距離が近いだけで、ほんの少し息が荒いだけで、とても優秀なメイドさん達だった。

執事長もそう、これぞダンディなおじ様って感じで、何回かポケットから私のパンツが見えただけで、特に変な所は無かった。



私が前世の記憶を思い出してすぐぐらいに一度だけ、朝起きたら手足を拘束されて身体中をまさぐられていた事があったけど、その時のメイドさんはお兄様の素敵な笑顔と共に別室へ連れて行かれて、その後おめでたで実家に帰ったと聞かされた。赤ちゃん見たかったなぁ。

この世界では、確かに多くは無いけど稀にある事だってお兄様も仰られていたから、特に珍しいことでは無いはず。リーテはなにも気にしないで良いんだよって言ってらしたもの。




だから、きっとそんなことは無いって信じてた。

でも最近、前世の記憶が訴えかけてくるの、「いやちょまって懐かしいやろこの感じ」って。




昨日、お兄様とお出掛けしている時にすれ違ったワイルドなおじ様に、

「やぁ可愛いお嬢さん、性奴隷は如何かな?」

って声掛けられて確信した。

間違いない、このスキル前世引き継ぎだわ。変態属性(餌)リターンズ。だって他の人はこんな声掛けられてない。この人真面目で有名な子爵よ、ごめんなさい、完全に秘められし何かを目覚めさせてしまった。


そのおじさまはお兄様に暗い店と店の間の路地に連れていかれて暫く帰って来なかったけれど、それから声を掛けてくる事は無かったからきっとお兄様が解決してくださったのだと思う。






数々の事件を乗り越えて、リーテのお兄様への信頼度がグングン上昇していくのと反比例して、ドM執事アランへの好感度だけが飛ぶ鳥を落とす勢いで、もはや地面に叩きつける勢いでグングン下降していきました。もはや体が受け付けない。だって気持ち悪い。







本日のおやつのミルフィーユをゆっくりと咀嚼する。

これが人前ならば、それこそ侯爵家の意地に掛けて、パイ生地の一欠片足りとも落とす事なく美しくて食べる自信がある。これも淑女教育の賜物である。

でもまぁ今は誰もいないのである程度の食べこぼしは見逃して貰おう。



割とボロボロパイ生地をこぼしているのに気が付き、これは後でメイド長に叱られそうだなぁと、視線を下に下げドレスを眺めいると、




目があった。





…?




「いやぁぁぁぁ!?」



「お嬢様どうかされましたか?」




(どうかされましたか?じゃねぇわ!)




アランが、机の下、リーテの膝の上あたりからこちらを見上げていた。



「お嬢様の御召し物を汚すわけには参りませんので…」


「黙りなさい、この駄犬が。常識的に考えておかしい事にまず気付きなさい。」


「は…っ、だ、駄犬などと…、!

このアラン、興奮のあまりお嬢様への愛を抑えきれません…!この感情をお嬢様にお伝えする為にも、是非一度思い切り私を踏み付けて下さいませんか…!?」


「何故踏みつける事で貴方の感情が伝わると考えているのか甚だ疑問だわ。そもそもあまり伝えて欲しくないのだけど…」


「お嬢様…ッ、ぜひ、そのまるで夏の日のゴ○ブリを見るかのような視線のままこれで私を打ってください…!お嬢様の為にとある筋から入手した特別製にございます…!」


「……」



鞭だ、紛う事なき鞭だ。黒光りする相貌もさることながら持ち手のイボイボの用途が不明だ。若干予想は出来ないことも無いが気付きたくない、もし伝えられたら持ってられない。そもそもなんだ特別製って。



「特別な素材でできておりまして、何度打っても血で汚れる事も、鞭自体の強度が落ちる事もなく、なんと弱い力でも従来の鞭の1.5倍の痛みを与えることが出来るのですよ」



心を読むな、心を。

どこのテレビショッピングだ。ジャ○ネットか?ジャパ○ットなのか?



「お嬢様…

私も、少々口に出すのは憚れるのですが、そちらの持ち手も特別でして…なんと男s…アァッ」



思いっきり踵で踏み付けてやった。ざまぁみやが…うわ泣いてる…うっわ…




ハラハラと涙を零しながら机の下で蹲る執事なんか最初からいなかったし、荒い息の音とか何も聞こえないし、とりあえず残りのミルフィーユを食べ切ってから色々考えよう。





最近、私生活で、「流行に乗ろうとして悉く全部失敗した人」との評価を頂きました。春の陽気ですかね。

欲張りはいけないようです、気を付けます。

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