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仕事をクビになったら、異世界から来た女の子を捕まえることになった  作者: 藤原・インスパイア・十四六
刀の少女
2/32

ビッグアイ

※1話目を2つに分けました。

 新しい話ではありません。

 平安神宮前まで退避してきた二人。


 「ここまでくれば…」


 そう言った大町の胸倉を掴む木崎。


 「お前の知っていることを教えろ」

 「いいですよ…」


 息を切らしながら、苦しそうに笑う大町。


 「僕たちはあれをビッグアイと呼んでいます。出現する1時間前に善行寺さん宛に出現場所の連絡が入ります。批難をさせる企業は別にあって、僕たちはビッグアイの駆除をメインとしています。ただ、現在の所駆除、捕獲の実績はありません…」


 手を離す木崎。

 首回りを痛そうに擦る大町。


 「ビッグアイの出現時間はおよそ10分。出現時間を過ぎると1時間のインターバルを踏み、また10分出現します。これが6回続くとビッグアイは出現しなくなります」


 「なら…」

 「そう。思いますよね、放っておけばいいって」


 大町が時計をかざすと、プロジェクタの映写のように空間上に画面が出てくる。


 「初めのビッグアイは出現時間が2分間でした…」


 大町が時計上の液晶をスワイプする。


 「6回出現した後、消滅。2体目のビッグアイは4分間出現しました。ここまでは全て出現場所も特定されていたので、避難も完了していて被害らしい被害はでませんでした」

 「3体目が違ったのか?」

 「ええ。3体目の6回目の出現時は場所が特定できず、避難が遅れ被害者が6名出ました。世間では通り魔犯の犯行ということで片づけたらしいですが」

 「それは、あの山科区の…?」

 「さずが木崎さん。察しが良いですね」

 「府警が頑なに情報を公開しなかったからな。なにかあるとは思っていたが…。まさかこんな事件が関わっていたとは」

 「今回が5体目です。必ず駆除もしくは捕獲をしなければなりません。府警ももう隠しきれる状況ではなくなっていますので」


 木崎が顎に手を当て、考え込むようにぐるぐると歩く。


 「おい待てよ。次は5体目の何回目だ?」

 「6回目です」


 (おいおいしゃれになんねぇぞ。あんな凶器を持ったヤツをどうやって…。そうだ!)


 「こちらも拳銃や武器を使うこともできるんだよな?」


 肩を下げる大町。表情はしょんぼりとしている。


 「僕たちも同じ発想になって、やってみたんですが、ビッグアイは拳銃の弾や刀をすり抜けるんです。いやなんだろ。幽霊とでもいいますか。とにかく当たらないんです」

 「なっ?!」


 ニヤニヤとしている大町。


 「オカルトでしょ?」


 (いや、喜んでる場合か)


 「ゴーストバスターズって映画知ってますか?」


 (あ?)


 「じゃあゴーストスイーパー美神は?」


 (は?)


 「僕たちも幽霊退治ができるんですよ!!」


 うおー!!と燃える大町。


 「しかしよ あれが幽霊ってなんで決めつけるんだよ」


 キョトンとした顔をする大町。


 「ビッグアイは普通、人には見えないですよ?」

 「は?そういえば…」


 大町が木崎に『見えるんですか?』と言っていたのを思い出す。


 「だが、俺には見えたぞ」


 大町が木崎の肩に手を置く。


 「そうだ。君は適合者だ」


 殴り飛ばされる大町。ピュ~ン


 「お前も見えてただろが!」

 「イタタタ…。僕は見えないんで特殊なサングラスを付けているんですよ」


 (そういえば…。あの高いサングラスか)


 「そろそろ届く頃ですよ」


 パトカーが神宮道を上がって、交番の前で止まる。ヒールのないパンプスをツカツカと音を立てて、長い髪の毛を後ろで結び、パンツスーツを着た黒目がちな若い女性が近づいてくる。


 (ん?どこかで見たような…)


 「あ!!お前は!」


 その可愛らしい整った顔を台無しにするかのような無表情。


 「ああ、痴漢犯か」


 女性は木崎を見下すような表情。


 (こんにゃろぉ~~…)


 木崎が前へ出ようとした瞬間、大町が間を遮ってくる。


 「まぁまぁ落ち着いて木崎さん。」

 「これが落ち着いていられるか!こいつは俺に痴漢の濡れ衣をきせたやつなんだぞ!?」

 「そんなことより、玲香さん持ってきてくれました?」


 (そんなことより…だと?)


 「ああ 持ってきた」


 玲香がカバンを探る。


 「はい」


 表情のない声から、差し出されたのは、何やら青黒いグローブと靴だった。


 「木崎さん、このグローブと靴に履き替えて下さい」

 「そんなこと言ったって、お前よ。靴ってのはサイズがあってだな…」


 ブツブツ文句を言いながらも見た目のかっこ良さにテンションの上がる木崎。

 木崎のヘラヘラとした表情が固まる。


 (ピッタリと合う…)


 木崎が継続して固まり続ける。


 (これは、サイズが合うというどころじゃない。俺の足にフィットしてやがる)


 「お、おいこれ…」


 遮るように時計を見ていた大町が。


 「さぁ 時間です。行きましょう!」

 「ちょっと、待て何も対策が…」

 「大丈夫です。いつも対策なんてないですから!」


 (なんてさわやかな笑顔を向けやがるんだコイツ…)


 空は太陽を覆うように積乱雲がたちこめてきていた。

引き続き読んでいただければと思います。

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