第3話 そもそも立たないフラグ
衛兵に連れられる道すがら、盗賊に襲われる! 魔物が出たぞ! なんてイベントが起こることもなく、ただただ平和に時が過ぎていった。
いやいやいや、なんか起きてよ! 主人公さんいるなら助けて下さい、お願いします!
まぁ出てきていたら来てたで死んでいただろうからホッとしたっちゃしたけどさ。
夕方にもなろうとするぐらいには大きな壁のようなものが段々と見えてきた。
城壁だろうか、こんな状況でもなければハシャイでいただろうけど、そんな気持ちにはなれなかった。
「###%%$」
「%%$#」
なんか言い合いながら僕に水を渡してくれる。何も飲まず食わずだったので正直たすかった。 ――めっちゃぬるかったけど。
日も沈もうかというぐらいで漸く大きな城門に辿り着く。
その大きさに息をのむが、すぐに衛兵に連れられ門の横にある鉄格子でできた扉の中に入れられる。
衛兵同士が何か言い合った後奥の扉から騎士の格好をした人がやってくる。
どうやらここからはこの人に連れていかれるらしい。
連れられるまま地下の方へと移動していき周りよりも小奇麗な部屋に案内される。
「####$」
何か言いながら騎士の人は机の上にある水晶へ手をかざす様な仕草をする。
こ、これはあれか!ここで一発逆転なのか!
ここへの溜めのための今までのイベントだったのか!
よかった、まだ主人公になる目は摘まれてなかったんだ。
いや、この際脇役でもいいから頼む! ここでテンプレ的反応よ、来てくれ!
――スッ
「……」
………シーンとしている。
終わった、なんも反応しなかった。
残念!あなたの冒険はここまでです! ハハッ
ええ、当然そのまま牢屋にぶち込まれましたよ。