当主の覚悟
シム、蟲の神の顔を出す。魔界で一番の恐怖と言われている蟲の神になんのようなのか?
シムはその覚悟した目を受けても、見下すように睨み
「余に頼むということは、それ相応の代償がいることはそなたにもわかっているはず、そなたは余に何を捧げるというのか?」
また頭を下げ
「私が死した時、ベッケンバウアー家当主たる我が身、そして我が魂を蟲の神に捧げます。」
神気が蠢き
「・・・よかろう。それほどの覚悟、それとその場で代償を持って、汝と余の契約を受け取ろう。そなたは余に何を望む」
ハーハーと荒い息をしながら
「明日の就任式に、私はベッケンバウアー家に伝わるある契約を我が跡継ぎに施そうと思っております。そのときに邪魔が入らないようにしていただきたい」
「その契約時に、一番の危険人物は」
すかさずシムが訪ねると、当主は少し口よどんで
「多分三候の一人、ゴブリン帝キンジャー様だと思います」
そこでシムが何やら気づいたのか、当主の顔を持ち上げて、当主の顔をみて
「そなた、もしやあれをする気ではあるまいな」
すると苦しそうにしながらも、とてもいい笑顔で
「私からベックにやれるものは、もはやこれしかありません。
お願いします。蟲の神よ」
「・・・・・」
あのシムがしばし悩んだようだったが、ジャックの目を見て
「わかった。余が必ずキンジャーを抑えよう。しかし今の余のなりでは、他のものまでは手が回らぬぞ」
当主はまた頭を下げ
「ギリギリのタイミングで、他の皆様に通知しようと思っております。それで他の方々は納得はしないかと思われますが、止めには入らないかと」
「なるほどの、じゃがキンジャーは動くと」
「はい。あの方は自分以外の全てに甘いですので」
「そうよな、ま、それでこそキンジャーと言えるかも知れぬが・・・、ま、そなたの頼みは請け負った。何があろうともキンジャーの横入りはしないようにしてやる」
「ありがとうございます。」
シムは神気を抑えて、鋼糸を操り
「ではジャックはもう休め、明日まではなんとしても持たせなければならないのだろう?」
「すいません。」
シムの鋼糸に持ち上げられ、ベットにゆっくりと寝かされた。そこで当主は一息ついて、俺を見て
「レオ君、君にも頼みがある」
俺にも何やら頼みがあるみたいだ、無言で頷くと、また棚から三通の封書を取り出し
「ふー、この三通の封書、俺が死んだときに直接宛先の人物に渡しては貰えないだろうか」
その封書を受け取り、宛先を見ると、一人はベック、もう一人はキンジャーそして残りの一人は白黒の権力者ベイ・ホーマーの名が記されていた
このところ法事と入ったばかりの仕事に終われて暇が全くない!この話も、朝の三時に書いている。ふー、暇が欲しい