この思いは
仕事を受け宿屋に!見つけられるか!宿屋
後ろから俺に渋い声がかかった
「おい!そこの若いの‼」
ビクッ‼
(俺か?もしかして、お馴染みの新人への洗礼と言うやつか?違う人であってくれ!)
声のかかった方を見てみると、黒色のヒラヒラした服を着ている女性のピクシーを肩に乗っけてる、これまた黒色のローブを羽織っている魔術師風ぽいオッサンが此方に向けて怒鳴っていた。
キョロキョロ?
周りをみたがどう考えても俺に声をかけている。
「そこのキョロキョロしてる、お前だ!魔界初めてなんだろう?この村の宿屋の場所もわかるまい?」
(あれ?洗礼とは違う?)
どぎまぎしながら
「はい、そうですが?今から探そうと思いまして」
「なら、わしが連れてってやる!どうせ今から宿に戻る所だ!」
「嘘つき」
肩に乗っているピクシーの小さな声が、かろうじて聞こえた。
「何を言っているピア、どうせ、もう夜だ!」
「いつもなら、あっちこっち行ってから宿に戻る癖に。素直じゃないんだから。」
「ふん!」
なんか照れてるような
「で、ついて来るのか?来ないのかどっちだ!」
なんか良さげな、オッサンだ!
「ついて行きます。ついて行きます。わざわざありがとうございます。」
なんか魔界に来て、素直に礼が出来るようになっていた。
「礼なんか言わんでいい!ついでだついで、ならついて来い‼どうせ宿はすぐ側だ。」
回りの冒険者達の雰囲気を見ると、ついでとはどう考えても思えなかった。
冒険者ギルドから七軒位隣にある木造の二階建ての建物に着いた。
「ここが、この村ただ一つの宿、ボリンカじいさんの宿だ。」
肩のピア(ピクシー)が
「偏屈じいさんだよー、でもご飯は美味しいんだけどね」
「そうだな、では中に入ろう。一階は酒場にもなっている。」
入るとまだ夜も早いのに酒盛り状態だった。
酒盛り中のボブゴブリンの兄ちゃんが
「ソーム、今日は早いじゃねえか?どうだ?ちょうどまとまった金が入った所だ!奢るぜー。」
魔術師風のオッサン(ソーム)はすまなそうに。
「ちょい用がある。後でな」
「おう!待ってるぜ」
ソームさんはホブゴブリンの兄ちゃんに断ってから、宿屋の受付のじいさんの方に向かった。
「『魔瘋』、いつもよりか早いじゃねえか!また旅でも出るんか?」
(あれ?周りの人はソームさんっていってるよな?)
「二つ名で言うなよ。今日は客を連れてきた。」
(へー二つ名があるんだ!実力者かな?)
朧気に考えてたら、じいさんは私を見て。
「客か?こんなボロ宿だが、それでもいいなら泊まるか?」
(今の私に選択権はない。例えこんなボロ宿だろうと眠る場所を確保しなくては!)
「お願いします。一人部屋はありませんか?」
ニヤっとして
「あるぜ!身分証次第で値段が変わるがな!」
(どういう事だ?)
思いながら、身分証権冒険者カードを出した。
「やはり、外の人間か。ここ魔界では魔界の住民以外は売買価格に税金が10%つく。一人部屋なら前払いで1日大銀貨五枚銀貨五枚だぜ」
(金貨一枚しかないのに1日でこの金額なのか。)
急に隣のソームさんが口を出した。
「こいつは初めて魔界にきたやつだぜ!少しはサービスしろや、昔の二つ名『激風』の名が泣くぜ!」
ソームさんの肩に乗ってるピアも
「そうだそうだ!いつも偏屈なんだから優しさをみせろー!」
何故かこの話題に酒場にいた客達も乗ってきた。
「そうだぜじいさん。どんな事情があって魔界にきたかは知ろうとも思わねえが、少しは魔界人の太っ腹を見せようぜ。」
「「「そうだ!そうだ!」」」
渋い顔してじいさんは
「皆でのりやがって!わかった出世払いにしてやるよ。
おい!兄ちゃん周りのバカどもに感謝しろよ。兄ちゃんが儲かるか、この宿屋を引き払うときに、払ってくれればいい!だが、飯代はその都度払えよ。」
照れ臭そうに吐き捨てた。
なんか今まで生きてきた中で初めて、言い様のない感情がわいてきた。
わからぬまま、いつの間にか回りの皆に頭を下げていた。
「ありがとうございます。ありがとうございます。」
目から何か流れる感触がしたが、それでも頭を下げ続け、そこにいる人達に礼を言い続けた。
小説書いて、八月に入った!いつまでも続けるぞー