第九話 恭介と王国と勉強の話
前回までの話で、おかしな切れ方をした文章や、内容を若干修正しました。
ラスタール王国との非公式の会談?から一週間が過ぎた
俺は今ラスタール王国が用意してくれた二階建ての一軒家に住んでいる、この一軒家は宰相が王国軍の代わりに魔王軍を撃退したお礼(‥)って事になってるんだが…家の前が憲兵兵団の兵舎って警戒しすぎだろ…
「信用無いなぁ~」
「主殿も人が悪い…あのような事をしておいて…」
と、人を悪人のようにのたまうシルバーヘアーのオールバックでイケメン執事服のこの男…
パイインである…何か俺契約したことにより人化が可能になったそうだ…テンプレだなぁ~
で、俺たちが一週間何をしていたかと言うと…勉強です…
この世界の事、通貨、文化形態などを、なんと宰相自らが教えて下さってるのだ…そして今日もお勉強である
「では財前殿、前回の復習です…ラスタール王国近隣の国を挙げて頂けますかな?」
「え~と、ラスタールを中心に東に同盟を組んでるパルドニア公国があって、南にバルバ商業連合、それから北にあるのがシュタール王国ですねよ、西のゼルマード帝国はこの前魔王軍に侵略され無くなったってとこまでは聞いてます」
「ふむ、お見事ですな…財前殿に御助力頂いた先の争いも、ゼルマード帝国に進軍した魔王軍の一部がそのまま進行してきたことによって起こった事です…
では、今回は通貨に関してお話ししましょう
他の大陸ではわかりませんが、この大陸では大陸憲章で定められた大陸通貨が存在します」
また新しい単語が出やがった…
「大陸憲章って?」
「おぉ、そうですな先に説明しましょう、我が国もあるこの大陸はイスト大陸と呼ばれています、約300年前この大陸に存在するすべて国が参加した大陸戦争が起こりました
多くの国が亡び、その国が発行した様々な通貨が使えなくなった為、終戦時大陸内で基準となる憲章が制定されました
それが大陸憲章です…大陸戦争終結後、国同士の争いはあるものの、概ねこの憲章に違反した国はありません」
「へぇ~、そりゃすごい」
「さて、話が反れてしまいましたが通貨の話でしたな……この大陸で流通している通貨は、ミダス黒金貨、ミダス白金貨、ミダス金貨、ロドール黒銀貨、ロドール銀貨、カールトン銅貨と、六種類の通貨が存在します
通称は黒金貨、白金貨、金貨、、黒銀貨、銀貨、、銅貨ですな
通貨の価値は黒金貨1枚で白金貨10枚、白金貨1枚で金貨10と一つ上の1枚が下の通貨10枚に当たります、銅貨だけ特殊で銀貨1枚に対して銅貨100枚になります」
「一応十進法なんだ…、国民の平均的な月収っていくらぐらいなんですか?」
「そうですなぁ、一月働いて大体黒銀貨4枚ぐらいですかな」
「大体4万ぐらいで生活できるのか…ちなみに国の税収ってどうなってるんです?」
「財前殿は異世界では一般人と申しておったな…一国民が税収の事まで考えるようなくにだったのか?」
「まぁ、詳しい事まではわからないですけど大体はわかってたかな…識字率は赤ちゃんなどを除けばほぼ100%でしたね」
「そ、それは凄いですな!!
ふむ、税収じゃがラスタール王国では王国税と貴族税、入管税の三種類を使っておる
王国税は王国臣民にかかる税と臣民ではない者にかかる税に分かれる、臣民には臣民用のカードが旅人や行商人など王国に訪れた者には渡民用のカードが渡されている、これで管理されておる
貴族税は領地運営を任している貴族に対して領地に対して税が燃え受けられておる
入管税は物品に対して変動する税じゃの
これに加えて各ギルドから国に対して一定の金額が毎月支払われておる
大まかにはこのぐらいじゃの」
「税の支払いが滞ったりしたらどうなるんです?」
「その場合は金銭奴隷となるの」
「うわ…奴隷になるんですか!」
「財前殿の国には奴隷はおらなんだのか?」
「そうですね、俺の生きていた時代にはいなかったです」
「まぁ、奴隷と言っても犯罪奴隷や強制奴隷・戦時奴隷ではないからのそこまで悲観する物でもない」
「そんなに種類があるんですか?」
「無論だ、金銭奴隷の場合、奴隷の持ち主は国王陛下だからな、臣民には変わらんので無理をさす事はない、国営事業の労働などがほとんどだな
犯罪奴隷も同じじゃがこちらはキツイ仕事が待っておる、国有の鉱山であったり戦場であったりだな
強制奴隷は奴隷商が関わっており、国は基本関知する事はない、個人間での借金の返済が出来なかったりだが、基本は労働力として売買されておる
戦時奴隷はまぁ、なんと言うか敵国の兵や民などが奴隷になった形じゃの」
なるほどねぇ、奴隷か…スラムもあったよな…税金は少ないし…
できるかな?
俺はこの一週間で考えていたこれからの目的を宰相に話し始めた…
一時間ほど話しただろうか、最後に宰相はこう答えてくれた
「なるほど、これは面白い話を聞かせてもらった、急ぎ陛下の裁可を頂いて来よう…貴族の一部がうるさいかもしれんが何とかなるじゃろう」
「じゃ俺はとりあえずその奴隷商ってのを見てくるよ」
「うむ、かしこまった三日ほど時間を頂きたいが構わんか?」
「了解です、ダメって場合でも問題ないぐらいに抑えとくよ」
それではまた…と言って宰相は出ていった
「さてパイイン、ちょっと王国観光に行きますか」
「畏まりました我が主、お供いたします」
そう言って俺は今後の展望を考えながら外に出ていくのだった