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第五話 恭介と地上と戦場の話

恭介が白龍のパイインと契約してから、しばらくすると、上り坂の洞窟の先に光が見えてくる


先ほど巨体をさらしていたパイインは、契約時の能力追加により猫ほどの大きさの龍の姿に変化し、恭介の肩に止まっている…まぁこれは恭介の気分でそうしてるだけなのだが…


「なぁパイイン、この先が出口?」


「左様で御座います、我が主よ」


「堅苦しい話し方だねぇ~」


「ご容赦下さい、我が主よ…」


「はぁ…ま、良いけどね」


それからしばらく歩くと、ついに出口に到着する

その出口から外を見て、恭介は驚いた…どうやら此処はかなり険しい山のそれも頂上に近い辺りらしい…


「パイイン、此処ってなんて山なんだ?」


「この山の名はバルニカ山と申します、目の前に見える平原がバルニカ平原と呼ばれる平原だったと思いますが……


何やら、下等生物が賑わっておるようですな…」


そう話すパイインの視線の先には確かにかなりの軍勢が両端にそろっていた、今にも戦いが始まりそうだ…


「はぁ、どこの世界でも争いってのは絶えないんだなぁ…ってパイイン?」


「女神様の神殿が存在するこのバルニカ山の麓で争うなどと…粛清に値するぞ、雑兵ども…」


あらら…パイインさんは完全にお冠だわ、どうすっかな…


「我が主よ、どうかあの下等生物の誅殺をご下命下さい!!」


「ダメ」


「あ…あるじぃぃぃ…」


この場所からだと1キロチョットってとこか…


「行くよ、パイイン」


「え、行くって、あ、主?」


「我れ魔力を用いて扉を開く…我が先に道は無く、我は無限の道を征く…観測転移ジャンパー


恭介が呪文を唱えると、両陣営が向かいあっている平原の中央に巨大で厳かな扉が出現する


突如出現した扉に浮き足立つ両陣営を尻目に、恭介は自分の目の前にも出現している扉を開く


呆然としているパイインを残して…


「お~い、行くよ~パイイ~!!」


「は!!はい、我が主!!今参ります!!」


恭介が何気なく発動した魔法は、位階第十種・時空属性の神話魔法…観測転移であった…

ちなみに一回の発動にかかる魔力量は約10万である…


「なんという規格外の魔力量…我が父、東海白龍王も同じ魔法を使えるが…まるで疲れを感じさせないとは…流石は我が主である!!」


そう言いながら恭介の後を追うように扉に入るパイインなのであった…


バルニカ平原、37万平方メートルの大草原である、よくあるイメージなら東京ドーム約8個分とイメージしてほしい

その大平原に今にも開戦しそうな二つの陣営がある、東の陣営はラスタール王国の国王ウォルフォントが率いる国王軍二万の軍勢、西の軍勢は魔王軍の七大魔将軍の一人、大鬼種オーガエンペラーのガローズ将軍率いる鬼族軍勢、約5万だった


~ラスタール陣営~


「宰相よ、民の避難はどうなっておる?」


「は、現在隣国のトルネア公国に避難を行っておりますが、まだかかりそうです…それに…」


「どうした?」


「我が国の民の数は15万人、トルネア公国の住民は10万人、現在約6万人が避難していますが公国の許容量を圧迫しています…このままでは受け入れ拒否をされるかと…」


「そうか……まさか儂の代でラスタール王国が滅ぼされるとはな……」


「陛下!陛下が生きておられればラスタール王国は滅びませんぬ!!どうか此処は宰相の私と大将軍のアーゼル卿にこの地を任せ、どうかトルネア公国にお逃げください!!」


「それは出来んよ、ゼム…」


「馬鹿野郎!!テメエに死んで欲しくないんだよ!!わかれよバカウォルフ!!」


そう言って国王の襟元につかみかかる宰相……言動も行動もどう考えてもやりすぎであるが、誰もそれを止めようとはしない


知っているから……陛下と宰相閣下は立場はあるが、昔からの親友である事を…


「お前達を死なせて、俺だけ生き残れるわけないだろうが!!


俺もお前らと一緒に逝くさ、頼むから一緒に逝かせてくれ……」


荒れる会議の中、物見の兵が慌てふためきながらテントの中に入ってきた


「へ、陛下!!へ…へい…平原の!!」


「馬鹿者!!陛下の御前だぞ!!落ち着いて報告せぬか!!」


「申し訳ございません!!平原の中央にきょ!巨大な門が出現しました!!」


「オヌシ…大丈夫か?」


おかしな奴を見るように、そして心配そうに伝令兵に声をかける王国宰相


「本当です!!本当に平原のど真ん中に巨大な扉が出現したのです!!」


「何をバカな事を……そんなもの……まるで伝説にある大転移門みたいではないか……」


とまったく信用としないのは、王国大将軍のアーゼム将軍だ


ありえない、信じられないと会議は紛糾するが、結局現場を見てみようとの国王の一声で移動が決まった

まぁ、実際見れば腰を抜かしそうな巨大な門だ


「真であったか」


幅は10メートル高さも7~8メートルはあるだろか、荘厳と言って良い装飾がされた巨大な門が、確かにそこに存在していた


~魔王軍陣営~


「な!なんだあれは!!」


そう吠えたのはオーガエンペラーのガローズだった

蹂躙しようと命令の声を上げようとしたその時、突如出現した巨大な門に、凄まじい魔力を感じるのだ


「ガローズ様、どうする?」


そう聞いてきたのは参謀でもあるグレイブオーガのガガは6メートルにもなる巨大なオーガだ

通常のオーガが3メートルほどなので、その巨大さと威圧感は半端ではない


「ガガよ、どう思う?」


「俺には難しい事はわかんねぇ…俺はただ潰すだけだぁ~」


鼻息荒く答えるガガに、若干あきれるガローズだったがこちらの軍勢は5万もいるのだ、唯々蹂躙すれば良いと思ってしまう


「よし!!門だか何だか知らねぇが!!暴れるぞ!!テメェら蹂躙しろぉぉぉぉぉぉ!!!」


ガローズ将軍の激の下、総勢5万の魔王軍が進軍を開始するのであった


~ラスタール陣営~


「陛下!魔王軍が進軍を開始いたしました!」


「来おったか!ゼム!!アーゼル卿!!死出の旅に付き合ってくれるか!!」


「「御意!!」」


配下を連れて歩き出すラスタール王の顔に悲壮感はなかった

此処を越えられるとその先には王都が国民がいる、勝てる見込みなど存在しない…

それでも勝たねばならない…その意思を胸に眼下に広がる王国兵に告げるのだ!!


「往くぞ!!我が兵たちよ!!


魔王に!!鬼どもに!!我らの心意気を見せてやれ!!


我らの後ろには護るべきものがある!!


往くぞ者ども!!


全軍!!進めぇぇぇぇぇぇ!!!」


破壊し、蹂躙する為に前進する魔王軍、それを迎え撃つ為進軍する王国軍


二つの軍勢が激突しようとした時、巨大な音と共にその門が開き始めた


「お、良かったまだ始まってないや…パイインちょっと元の大きさに戻ってれ」


「畏まりました!!」


返事と共に一気に元の大きさに戻る白龍パイイン

その大きさは全長30メートルはある巨大さだ


同時に恭介も抑えていた魔力を開放する、それは風を巻き起こしまるで魔力を纏った竜巻のようだ


「パイイン」


「雄雄雄雄ぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!」


恭介の命を受け、咆哮あげる白龍の姿に両軍の足が止まる


突如現れた異質な存在…静寂に包まれた伝説の幕が上がろうとしていた…


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