第二話 神様と恭介と異世界の話
あれ…たしか俺って暴漢に刺されて死んだよなぁ…何処だ此処?
「目が覚めましたか?財前恭介さん」
俺の目の前にはぶかぶかのローブに身を包んだ女性が佇んでいた
「えっと…あれ?さっき襲われてた女の人…ですよね?」
そう言うと、目の前の女性は深々と頭を下げてきた
「先ほどは危ない所を救って頂きありがとうございました…私のせいでごめんなさい…」
ずっと頭を下げながら謝る女性に俺は居たたまれなくなり
「あの、気にしないで……俺が俺の意思でやったことだから…」
気まずい…むっちゃ気まずいですセガ○ル先生!!
「あ…あの…」
一先ず聞かないといけない事を聞いてしまおう…そう思って俺は質問を始めた…
「あの、ここって一体何処なんですか?こんな場所全く想像できなんだけど」
そうなのだ、地平線が見えるほどの何もない空間、地面は白く何も無い場所なんで普通存在するか?
「あの、私は貴方達の言う所の神と呼ばれる存在です、ここは魂魄の地平と言う場所で転生する為の待合場所みたいな所ですね…財前恭介さん、貴方は私を助ける為に命を落とされました……本当にごめんなさい……残念ながら貴方の世界に生き返らせる事はできません…そういうルールなので……なので、もし…もし良ければ私の管理する世界で生き返りませんか?」
え~と……はい?
助けた女性は女神様って、なんてラノベっすか?
「って、いやいや……マジっすか!?」
「え、えぇ……本当です、ただ財前さんが生きていた現在と違い、そうですね所謂ファンタジーの世界ですが」
俺は前のめりになって女神様ににじり寄る
「こ…怖いですよ財前さん、目が血走ってます!!」
おっと、いかんいかん、落ち着くんだ俺よ……深呼吸深呼吸……
「えっと、わかりました女神様の世界に行かせてください!……ってファンタジーの世界って俺すぐ死んじゃわない?」
「大丈夫ですよ、私が干渉する事はできませんが、貴方には色々特典付けますから」
「それって所謂……」
「はい!!チートです!!」
「マジですか……」
まさかほんとにラノベ展開とは……女神様恐るべしだな……
「さすがに不老不死とかは無理ですが……」
「あ、そう言うのいらないっす……知り合いをずっと見送るなんて出来ませんから…」
「そうですか……では、何かご希望ありますか?」
そうだなぁ……正直戦闘ってあんまりする気ないんだよな…目的…目的かぁ…
「女神様、俺って向うに行って何したらいいんだろ?やっぱり魔王とか倒さないといけないのかな?」
「いえ、特にそのような目的はありませんよ、私のせいで終わらせてしまった人生を楽しんで頂けたら結構ですから」
う~ん、とは言ってもアバウトすぎて困ったな……
「すみません、先に異世界の事を教えてもらっても良いですか?」
「そうですね、わかりました……まず私の管理する世界の名はドレッドアと言います、貴方達の世界で言えば中世辺りの文化形態です、違うのは科学ではなく魔法が主である事、動物とは別に幻想世界の生き物が存在し魔獣と呼ばれています」
「魔獣って一括りなんですか?」
「基本的には一括りですね、ただドラゴンなどであれば竜種の魔獣で魔獣の名称……例えばフレイムドラゴンなら竜種の第一級魔獣フレイムドラゴンと呼ばれますね」
「なるほど、じゃ魔法について詳しく教えてほしいです」
「えっと、ちょっと待ってくださいね」
そう言うと女神は軽く目の前に手をかざした、すると俺の目の前に大型TVような画面が出現する
「すげぇ……」
もうびっくりである
「え~とですね、まずドレッドアには魔法が存在するのは言いましたよね」
「はい」
「魔法には階級があって第一種から第十種まで分けられています、第一種と第二種は初級魔法と呼ばれ、第三種から第五種までを中級魔法、第六種と第七種は上級魔法、第八種は戦術級魔法、第九種は戦略級魔法、第十種は神話魔法と呼ばれています、初級魔法を使えるものを魔法士、中級魔法を扱えるのなら魔術師、上級魔法を使えるなら魔導師と呼ばれ、戦術級を習得しているなら賢者、神話魔法を使えるなら神術師と呼ばれます、現状神術師は存在しませんし、賢者と呼ばれるのも数人ですね、ほとんどは魔法士になります。これが世界の国々が定めた魔法を使う者の説明です」
「お…OKです」
「もちろん、財前さんは第十種まで使えるようにしておきますよ」
そう言ってニッコリ微笑む女神様の言動に冷や汗が止まりません
「えっと……さすがにそれはどうかと……」
「私からのささやかなお礼ですから気にしないでください」
あかん……これあかんニッコリや……
「それから魔法には属性を持っていないと発動させることが出来ません、属性とは四大属性として火・水・風・土があり上級属性として光と闇があります、ほかにも希少属性があって時・空間が確認されていますが、財前さんには他にも無属性と聖属性、それと創造の属性をおまけしておきます」
ひぃぃぃどんどん人外になっていくぅぅぅ!!!
「魔法は向うに行った時点で使えるようにしておきますね!」
なんでこの方はこんなにテンションが上がっているんだろうか……
「あと、一部の人にはスキルが発現していますね」
「スキルですか?」
スキルってなんぞや?
「スキルと言うのは個人が持つ特殊な能力で先天的な才能です、狼人族の族長になる為に必要な大神化などがあります、もちろん財前さんにもスキルを付けておきますよ、えっと潜在能力鑑定・魔獣使役・思念言語・全魔法属性適正、あとスキルじゃありませんが習得の魔眼と解析の魔眼もおまけしておきます!!」
あぁ……俺の人外化が止まらない…
「ほかにもご希望はありませんか?」
いや……何を望めと?もう十分チートの気がするのは俺だけですか?
誰か教えて下さい……
「あ、向うで日本の知識とか知りたいときの為に愛用のタブレットって使えませんかね?」
「ごめんなさい…さすがに世界を隔てて配達はできないので閲覧だけなら…」
「十分です!!」
「それなら電力の代わりに財前さんの魔力で稼働するようにしておきますね、それからこれをどうぞ」
そう言って渡されたのは綺麗に装飾された一本の棍だった
「変幻自在棍と言います、財前さんなら使えると思います」
うわ!!持った瞬間に能力の使い方が頭の中にぃぃぃぃぃ!!!!
「ごめんなさい、ここら辺が限界になりそうです……」
「いやいや、もう十分です!!貰い過ぎな位ですから!!」
いや、マジで!!
「わかりました、では財前さん助けてくれて本当にありがとうございました、ドレッドアでの人生を楽しんでくださいね!」
「はい、女神様もお達者で…」
そう言って俺の意識は暗転した……