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第十話 恭介と奴隷と奴隷商の話

奴隷商の建物は驚いたことに街の御踊りに面した一等地にあった


「へぇ、結構綺麗な店構えだな…」


「いらっしゃいませ、本日はどのようなご用件でしょうか?」


パイインと二人で店を見ていると、中から少し恰幅の良い中年の男が声をかけてきた


「当商会に御用ですかな?」


「あぁ、ちょっと奴隷を見せてもらおうかと思ってね」


「左様で御座いますか、どうぞご案内いたします…こちらへどうぞ」


そう言って中年の男に誘導され恭介達は奴隷商会に入っていく


店内は想像していたものと違い、ある程度清潔で奴隷と思われる者たちも鎖でつながれている感じではなかった


「どうかなさいましたか?」


「いや、何かイメージしてたのと違ったもので…」


歴史上の奴隷と言えば不潔で満足に食事も与えられず、衣服すらまともに着ていないと言うイメージが先行していた為、本当に奴隷商なのかといぶかしんでしまったのだ


「ここで扱っている奴隷は金銭奴隷と強制奴隷…私たちは契約奴隷と言っていますが、奴隷は商品です、お客様も販売する商品をあえて汚したり壊したりはされぬでしょう?」


と、そう笑いながら話してくれた


確かにその通りだと思う、商品なのだから高く売りたい、高く売りたいなら汚らしいイメージはマイナスにしかならない


地球の奴隷制度はまず人=商品として扱っていなかった、安くそれも強制的に入手が可能なのだからあのような劣悪な環境で売られてきたのだ


「確かにその通りですね」


「さて、こちらのお部屋にどうぞ…商談を始めましょう」


通されたのは、応接室だろうか、華美では無いが基本を感じさせられる室内で、進められた席につく


パイインは俺の後ろに立ち控えていた


「では、改めましてこのアーデルト奴隷商会を取り仕切っております、ロイス・アーデルトと申します」


「こちらこそ、私の名前はざ「財前恭介様ですな」いぜ…私をご存知で?」


「はい、ゼム宰相閣下からお話を伺っております、それに失礼ですが財前様の容姿をお聞きしておりましたのですぐ気が付きましたよ」


腹の底が見えないおっさんだと思いながらも、嫌悪感はそれほど感じなかった、これもこの人の雰囲気や話し方のせいなんだろう


「なるほど、ちなみにどのぐらい俺の事を知っているのか教えて頂いても?」


俺も負けじと微笑みながらロイスに回答を迫るが…


「そうですな、敵に回してはいけない人…でしょかな?黒目黒髪の人種は数が少ない、そしてその何で作られているか全くわからない衣服など逆に色々お聞きしたいですな」


こいつ話をはぐらかしやがった…がまあ良いか…


「わかりました、では早速奴隷の事を詳しく知りたいのですが教えて頂けますか?」


「ふむ、どのような事がお知りになりたいので?」


「そうですね、購入方法、金銭奴隷やその契約奴隷?ですか、奴隷の契約や出来る事、してはいけない事などですね」


「畏まりました、まず購入に関する事ですが金額はその奴隷の能力・容姿・従事させる仕事の能力などにより売主が査定いたします、商会は奴隷を維持する為に適度な食事を与えておりますので維持費と言う事で一定の金額が別途請求されます


奴隷に対して給金を支払う義務はありませんが、奴隷が抱えている負債がこれに加味されます


此処まではよろしいですか?」


奴隷って言うか救済制度みたいなもんか、えっとまず奴隷本体の価格と今までの維持費が一定金額、それと元々あった税の負債が加味された金額が取引金額になるって事だな


「はい、大丈夫です」


「では、奴隷に関してですが経歴をお渡しし得意不得意事をお伝えします、嫌がらせのように不得意な事を押し付けるのは出来る限りしないようにして下さい


以前男色家の貴族が気に入った奴隷に夜伽をさせようとして問題がおこりました、女性の場合も愛玩奴隷にはしないようにおねがいします


まぁ、常識内の事ですので金銭で解決する場合も多いようですが、奴隷の期間過ぎれば一般臣民に戻りますので、その後訴えられる場合があります。


奴隷の期限ですが、一日銅貨2枚が返済額に与えられ、奴隷主が支払われた金額の三倍の金額が保有期間となります」


「何故三倍なんです?」


「奴隷に対しても臣民税が徴収されます、銅貨1枚が支払できなかった税に、もう一枚がその時の税に充てられるからです


三倍なのは奴隷主の権利ですな


食事の回数は奴隷主が管理しますが、回数や内容に制限はありません」


「ん?さっき購入の時に支払うと言ってませんでしたっけ?」


「はい、遅延の罰金が発生しているので支払う必要があります」


あぁ、遅延延滞金って事かそれなら納得だわ


「はい、納得できました、話を続けて頂けますか」


「わかりました、では財前さまのご所望の奴隷はどのような者をお考えで、ご予算はお幾らぐらいでしょうか?」


「相場がわからないので、とりあえず持ってきたのはミダス白金貨10枚を持ってきました」


あれ?ロイスさんの表情が若干強張ったような…少なすぎたか?


でも王様からの報酬でもらった金額の半分だから少なくはないはずなんだけどなぁ


この世界の暦は12ヶ月で1年だから27年は生活できるぐらいの金額のはずだし…


実際、ロイスの顔が強張った原因は金額が凄すぎたからなので恭介の勘違いなだけなのだが、商人のプライドにかけてロイスが頑張っただけである


「何人ぐらい奴隷をご所望ですか?」


「えっと、女性を一人と男性を一人、それから4人家族までで一家族の方がいれば助かります、金額は足りますか?」


「はい、この白金貨1枚で事足りますな」


「そんなに安いんですか!?」


「はい、白金貨を複数枚支払って奴隷を手に入れると言うなら、闇商人で売買しているエルフ族の女性など他種族の奴隷だけでしょうな」


やっぱエルフとかいるんだ…


「と言っても、ラスタール王国では他種族の奴隷の売買は禁止されておりますので手に入れる事はできないでしょう…国際問題になりますしね


では、奴隷を確認しますので少々お待ちください」


そう言ってロイスは部屋を出ていった


さてさて、どんな人達に会えるんだろうねぇ~、ロイスさんも俺の計画に入るかな?

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