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7話

知り合いというにはよく話していた・・・友達というにはお互い素っ気なかった。

 そして・・・ライバルというには彼女は落ちこぼれで、彼は優等生だった。

―――第一印象はお互い最悪なものだった。

 彼が来たのは來佳が10歳で、彼が13歳の時。

「私の能力は雷なんだ、君の能力は?」

まだ明るく壁なんてなかった來佳は新しく来た彼に手を差し伸べた。

 しかしそんな來佳を彼は受け入れず・・・。

「・・・お前とは合わん。」

冷たい瞳で睨まれ來佳は大泣きしてしまった。

「・・・・・ちっ。」

彼の両親は普通の人間だった・・・そこから彼はサイキッカーに目覚めてしまい、両親、友達に恐れられ忌み嫌われた。

 それまでは優等生の彼を憧れ慕っていたというのに・・・。

彼は來佳の存在が気に喰わなかった。

 何でも1番だった彼の前に現れた″水″の自分と相性の悪い″雷″の來佳が・・・自分よりも大人たちに期待されていた來佳が・・・彼は気に入らなかった。

 そして初めての対決・・・勝敗は言うまでもなく彼の圧勝だった。

次もまたその次も・・・しかし彼はその勝敗に疑問を抱いた。

(アイツの敗けはほとんどアイツの自滅だ、その自滅が無かったら・・・?俺はアイツに勝てるのか?)

來佳と勝負して約50回・・・自分は異例の速さで成長している入学して3年経ったころには卒業試験の話を出されていたが彼は断り続けた。

 どうしても來佳と正々堂々戦いたかったからだ。

そうして迎えた卒業試験で、彼の待ちに待った戦いが出来たのだった。―――

 そんな來佳の濃い10年間の中でも思い出深い人物が今目の前にいる。

″水″のサイキッカー・・・水無月みなづき 聖夜せいや

「何で・・・ココにいるの?」

声が震える・・・彼、聖夜は昔と変わらず冷たい表情だった。

「変わらないな・・・鈴宮妹を抱えている時点で気づくだろう・・・。」

言われなくとも気づいている、そういうことなのだろう・・・でも。

「それとも・・・現実から目を背けているだけか?臆病者。」

「・・・っ、アンタも、ネムもっ何で政府側についてんのよっ。」

「・・・・・ん。」

「起きたか。」

來佳の叫びで起きたネム・・・顔色はだいぶ良くなっている。

「・・・來佳ちゃん、怒ってるの?」

「あぁ・・・俺にな。」

ネムを降ろす聖夜。

「離れてろ。」

聖夜はそう言ったがネムは離れない。

「戦っちゃダメ・・・來佳ちゃんも聖夜君も・・・。」

「・・・お前はもう能力を使うな。」

無理やり離れさせる聖夜・・・しびれを切らした來佳は。

「勝手に・・・。」

「・・・・・。」

その場から消えた來佳・・・聖夜は特に驚きもしない。

「話進めないでくれる?」

聖夜の前に現れた來佳は拳を叩きつける。

「・・・っ。」

足場が揺れる・・・ネムは誰かに抱えられその場から離れる。

「來佳ちゃん・・・っ。」

ネムはその威力に恐怖する。

 雷の力で身体能力を上げた來佳の拳でさっきまでいたコンテナが粉々になっていた。

アレがもし当たっていたらサイキッカーとてただではすまない。

「今のはネムと離れさせるためだけの攻撃・・・こんな攻撃、アンタなら当たらないよね、聖夜。」

背後を振り向くと表情1つ変えず、ホコリ1つ付けずに聖夜が立っていた。

「ネムッ、アンタは琴音に会いなっ。」

「・・・何であの人になんて・・・。」

「アンタも・・・ずっと会いたかったんでしょ?このぬいぐるみ、今も大切に持ってるじゃない。」

さっきベットの上で見つけた兎のぬいぐるみ・・・これは來佳達が卒業する前琴音がネムに贈ったモノ。

「ネムのそばにいるのは他の誰でもない・・・琴音でしょ?」

「來佳ちゃん・・・。」

ぬいぐるみを受け取り大切そうに抱きしめるネム。

「・・・・・。」

飛んできたのは水の弾丸、來佳は雷で瞬時に蒸発させた。

「そいつを誑かそうとするな、そいつにはまだ使い道がある。」

「・・・使い道?」

「デビル・フォレストに行って覇王の行動を予知する。

  そのためだけにコイツは能力を上げていた・・・。」

來佳の瞳が驚きと怒りに満ちる。

「バカッ、言わないでよ・・・デビル・フォレストはミュータントの巣窟。

  近づいただけでサイキッカーがどうなるかなんて・・・。」

「誰が死のうが俺には関係のないことだ。」

「関係ない?アンタは親が政府の実験で殺されたから政府に抗ったんでしょ?なのにどうして政府の犬にっ。」

「親か、ただ血が繋がっているだけで・・・所詮は赤の他人だ。」

「・・・・・っ。」

唇を噛み締める來佳。

「政府に入らなかったのは俺の目的を果たすためだ・・・最も政府に入った方がその目的は早く現実になったが・・・それも今日叶う。」

手をかざし、水の球体を作る。

「・・・目的?」

「お前と戦い、摂理を覆すこと。」

球体が來佳に向かって飛んでくる。

「・・・・・ぐっ。」

「來佳ちゃんっ。」

ネムの澄んだ声が響く・・・來佳は球体を避けずお腹に直撃した。

 骨の折れる音、口から零れた血・・・しかし來佳は1歩もその場から動かなかった。

「呆っ、れた・・・私に会って戦うためだけに政府の犬になったわけ?バッカみたい。」

気でも狂ったかのように笑いだす來佳。

「自分の人生棒に振って、政府の汚れ仕事も全部やって・・・目的がたったのソレ?」

「あぁ。」

「政府の実験体にもなってるの?」

「あぁ。」

「私と戦うためだけに・・・人を殺してるわけ?」

「あぁ。」

聖夜から返ってくる答えは「あぁ。」という肯定の言葉だけ。

「何、それ・・・聖夜の人生はすべて私が中心じゃない?」

「そうだな。」

「・・・学校でもそうだった、アンタだけは落ちこぼれの私をどうしてっ。」

それは傍から見れば異常な執着だった・・・。

 しかし聖夜が持っているのは恋愛感情でも嫌悪感でもない・・・あるのはただの。

「お前が俺の″天敵″だからだ。」

摂理を覆したいというただの好奇心に似た感情だけ・・・。

「・・・・・そう。」

來佳は聖夜に1直線に向かっていく・・・拳を振るうが簡単に受け止められる。

「「・・・・・。」」

お互い無言で見つめ合う・・・聖夜は來佳を蹴り飛ばした。

「・・・・・っ。」

來佳は壁に激突・・・壁はヘコみ、頭から血を流す。

「・・・身体が丈夫なのも困りもんだわ、気絶も・・・死ねもしない。」

視界が血で赤く染まっていく中、聖夜の表情が少しだけ変わった。

「・・・なぜ能力を使わない?」

その声には怒りが孕まれていた。

「アンタさ・・・私に勝ったらどうするの?」

「・・・・・。」

「新しい目的探す?できないよね?アンタ無駄に純粋だからさ・・・昔から。」

「黙れ。」

來佳は止めない。

「私に勝っても・・・殺したって、何も変わらない。」

「何が言いたい?」

「私を殺した後、死なれても困るのよ・・・アンタと心中なんてゴメンだわ。」

「・・・・・。」

聖夜は今までよりも巨大な球体を作り來佳に飛ばした、が球体は來佳に当たる前に何かと衝突し水しぶきが飛び散る。

「・・・鈴宮姉の方か。」

「水無月・・・。」

琴音の風だった・・・追いついてきたのだろうか。

「琴音・・・何でこの場所「オレを忘れんなよ。」・・・映ちゃん、輝。」

來佳のそばには映男と輝、輝は來佳の頭に包帯を巻いていく。

「よりによって水無月かよ。」

「アイツも同期のサイキッカーなのか?」

「一応・・・な、学校始まって以来の天才と呼ばれてた・・・オレからにしてみればただの変わり者だが・・・。」

自ら孤独を望んでいるくせに、來佳には執着していた。

「まだ來佳に固執していたのか?主席卒業生様はずいぶんと女々しい性格らしい。」

「お前に用はない。」

風と水がぶつかり合う・・・。

「來佳、大丈夫か?」

視界がはっきりしてきた・・・琴音と聖夜を見る。

(・・・憧れてた・・・1人でも平気だった聖夜に。)

学校に入ったのも母のような立派なサイキッカーになりたかったから、

 しかし超能力を上手く使えず諦めかけようとしたとき政府の人間が拷問のような修行を進めてきたから続けた。

來佳はいい意味でも悪い意味でも1人では何もできない人間だった。

(嬉しかった、誰にも認められなかった私を天敵と呼んでくれて認めてくれた気がした。)

学校時代で1番期待してくれたのは他の誰でもない聖夜だった。

「なぜそこまで、來佳に何を求めるっ。」

激しい攻防の中、琴音は問うた・・・聖夜の執着はいったい何なのか、琴音には理解できない。

「俺とアイツは同じ穴のムジナだ。」

「・・・っ、お前みたいな薄汚れた奴と來佳を一緒にするな。」

「薄汚れた俺と何が違う?」

聖夜の視線が來佳に向けられる。

「自分の目的のために政府に入った俺と母親の仇をとるという目的のために反政府に入ったそいつと、何が違う?」

「・・・・・。」

聖夜の言葉に誰も何も言えない。

(聖夜と私が同じ?)

落ちこぼれと優等生、孤独になりたくない者となりたい者。

「くっ。」

均衡していた両者だが、琴音が押され始める。

「お前に興味ないといったはずだ。」

「・・・・・ぐっ。」

琴音の前に現れ、來佳達とは反対方向に蹴り飛ばす。

「身動き取れない奴が簡単に懐に入れさせるな。」

簡単に、と言っているが実際は簡単ではない。

 確かに琴音の反動は自分の周りの風を使うため身動きが取れないこと・・・だが琴音は強い。

肉弾戦が強く、自分の身を護る術がある聖夜だから懐に入れたのだ。

 風は空気の塊・・・來佳ではできない芸当。

琴音は壁に寄りかかったまま気絶する。

「お姉ちゃん・・・。」

今まで傍観、手が出せなかったネムは自分の大好きな姉に近寄ろうとするが・・・。

「どこに行くんだい?私の可愛い娘ネム?」

「あ・・・。」

肩を掴まれ足を止めさせられるネム・・・肩を掴んだ人物は。

「努・・・さん?」

「やぁ輝君、君のお父さんが反政府の幹部だとは思わなかったよ。

  よりにもよって香織さんの娘を手懐けているなんて・・・残念だ。」

「・・・・・。」

その言葉に來佳が反応する。

「反乱したサイキッカーがこんなにいるとは・・・全員捕らえ「待って。」ん?」

「ネムが協力したらお姉ちゃんには手を出さないって・・・。」

「・・・ネム。」

口ではあぁ言っていたがずっと琴音を想っていたのだ。

「私は″姉″には手を出していないよ、私たちは″侵入者″を捕らえようとしているんだよ。」

「・・・っ。」

ネムの目から涙が落ちる。

「さぁココにいては風邪をひいてしまう・・・部屋に戻ろっ・・・。」

ネムに近づこうとする努の鼻スレスレにネジが飛んできて壁を貫通させた。

「・・・・・。」 

飛んできた方向に目を向ければ犯人は言わずもがな指でネジを弾いた後の來佳。

「それ以上ネムに近づくと穴が開くぞ、ゲス野郎。」

その目には完璧な殺意が込められていた。

「おっかないね・・・まぁいいさ、水無月君にすべて任せるよ。

  侵入者の確保とネムの奪還・・・特に、來佳君は何が何でも捕らえるんだよ?」

「・・・お前たち政府は私たち(サイキッカー)を何だと思っている?」

「もちろん、人類の希望・・・そう思っているよ?」

その笑顔は清々しいほど悪役染みていた。

「私たちはっ、兵器なんかじゃないっ。」

來佳の叫びは聞き流され、努は工場から去って行った。

「・・・映ちゃん、輝・・・2人のことお願い。」

2人はネムを連れて琴音の所へ向かった。

「・・・戦う覚悟はできたか?」

「まぁね、私は心中するつもりもないしアンタの目的を果たさせるつもりもない。」

「・・・・・。」

「私が″また″勝ってそれで終わり。」

「・・・フッ。」

聖夜は手を頭上に掲げる・・・室内だというのに雨雲が出来、雨が降り始める。

「・・・どういうつもり?」

今の聖夜はわざわざ雨を降らせなくても、空気中の水分で戦っていた・・・それなのになぜ?

 体力を浪費してまで雨雲を作る必要があるのか。

「″あの時″の再現だ・・・最も、次に勝つのは俺だがな。」

あの時の再現とは、卒業試験の時・・・。

―――「次っ、水無月 聖夜と枢木 來佳。」

「なぁ、どっちが勝つと思う?」

「言うまでもねぇよ、水無月の奴敗けなしだぞ?」

誰もが來佳に期待をする者はいない、1人を除いて・・・。

「「・・・・・。」」

当時の聖夜は雨雲を呼び出しその雨の水を使っていた。

 聖夜は雨雲を呼び出し、來佳はその間屈伸など準備運動をしていた。

降り始める雨・・・その場にいる全員が濡れる。

「来い、全力でな。」

「・・・言われなくても。」

聖夜だけが自分を期待してくれていた・・・その期待に応えたいと來佳は強く願った・・・そうしたら。

「おっ、おいアレッ。」

「らっ、落雷っ。」

聖夜の作った雨雲から雷が來佳に落ちる・・・そして。―――

 來佳は落ちこぼれから卒業し、卒業試験も無事合格した。

「來佳はその日、レベル3に到達して聖夜に勝ったんだ。」

学園始まっての在学中のレベル3は來佳が初めてで・・・

政府は香織の娘とその力の強大さから他のサイキッカーよりも來佳を優先的に捕まえようとしている。

(・・・どうやら理由はそれだけじゃないみたいだけどな。)

政府の執着も異常だった。

「止めっ・・・ろっ、來佳。」

「お姉ちゃんっ。」

目を覚ました琴音、どうやら話を聞いていたらしい。

「・・・卒業試験のあの後自分がどうなったか覚えてるんだろっ?」

「・・・・・。」

聖夜はあの時軽い火傷で済んだが、その分來佳にダメージがいき・・・來佳は全治1週間の火傷を負った。

「琴音・・・ごめん。」

來佳が呟いたと同時、落雷が來佳に落ちた。

 來佳の身体は青白く光り、帯電していた・・・。

「あの時はコントロールもできなかったし、聖夜に気を遣ってた。

  でも、今日は違う・・・手加減なんてしない。」

來佳は足に力を溜め、地を蹴る。

 この技は速さよりも威力を優先している技で、速さはレベル2よりも遅いが威力はその何十倍・・・その気になればすべてを黒コゲ、灰にすることもできる。

「はぁっ。」

避けなければサイキッカーでも即死であろう攻撃に、聖夜は口角を上げるだけで動かない。

「・・・・・嘘。」

聖夜は避けようとせず來佳の拳を受け止めた。

 來佳のこの技は触れるだけで高電圧を喰らわせる技なのだが・・・。

「・・・・・何で?」

「來佳っ。」

驚きで放心する來佳だが琴音の声で我に返り、離れると同時、ネジを弾く・・・が。

「・・・・・っ。」

ネジは何かに包まれ威力を失くし、聖夜の前で地面に落ちた。

「アレは・・・水あめ?」

ただの水が一瞬のうちに水あめに変わった・・・水あめがネジを包み威力を殺したのだ。

「お前だけがレベル3に到達できると過信するな。

  俺のこの能力は水の材質を変える・・・水あめや、真水にな。」

「・・・そういうこと。」

來佳は顔を歪めながら納得した。

「真水って純粋な水のことだろ?それが何だっていうんだよ?」

「正確には塩分などが含まれていない水のことだ。」

「水は電気を通すというが真水は別だ。」

「へぇ~物知りだなお前ら。」

感心する輝。

「・・・來佳ちゃんと一緒にいるんだったらもっと勉強した方がいい。

  ネムでもこれぐらいのことちゃんと知ってる。」

「・・・スミマセン。」

12歳に注意される16歳・・・かなり落ち込む。

「さすが水無月だな、天才のなせる技か・・・。」

來佳を水の球体で攻撃する聖夜・・・もちろんその水は真水、來佳は蒸発させることは出来ず、避けるしかできない。

 來佳は避ける際、ネジを何度か弾いているが水あめが威力を殺し聖夜に当たることは無い。

(あ~髪の毛が纏わりついて気持ちわっ・・・?)

雨はすべて水あめに変わっているはず・・・水あめならばもっとベタベタにななっているはずだが・・・?

 聖夜の方を見ても顔が良いだけに水も滴る良い男・・・は置いといて、來佳と同じ状態。

(もしかして・・・。)

再びネジを弾く來佳。

「何度やっても無駄・・・っ。」

それまで当たることがなかったネジが聖夜の頬にかする。

(やっぱり・・・物に触ると材質は元に戻ってる、だから雨を降らせたんだ。)

自分や聖夜、琴音たちの身体や地面にある水溜まりの水が來佳の推論を決定づける。

(・・・でも。)

ネジでは聖夜に致命傷を与えることは出来ない・・・何としても接近戦に持ち込む必要があるが問題はもう1つ。

(聖夜はおそらく体内に真水を持ってる。)

聖夜は空気中の水分だけでなく体内に水を取り込み、いつでも取り出せることで水が無くても問題ないようにしている。

 もし近づけたとしても真水を体内から出されては・・・雷を纏っても意味がない。

(・・・っ、コレなら攻撃は確実に当たる・・・でも。)

自分にもかなりリスクのある手段・・・。

「終わりだ。」

聖夜は巨大な真水の球体を飛ばした・・・その威力は砲弾より強い。

(・・・迷ってる暇なんてないっ。)

來佳は球体に突っ込んだ・・・。

「「・・・・・・っ。」」

辺りが一気に曇る・・・水蒸気だ。

「・・・來佳っ。」

視界は塞がれた・・・耳が頼りなこの状況で、聞こえたのは水の跳ねる音・・・どうやら誰かが走っているみたいだ。

 次の瞬間、ものすごい音がしたと思ったら水蒸気から何かが飛び出てコンテナに激突した。

「・・・どっちだっ?」

「・・・っ、水無月の方だ。」

映男は感知で激突したのは聖夜の方だと分かった。

 水蒸気が少しずつ晴れ・・・肩で息をしている來佳の顔が見える。

「はぁ・・・はぁ。」

來佳は聖夜が飛んでいった方を見つめる。

「水無月は?」

「來佳の攻撃はサイキッカーでも危険なものだからな、

  まともに喰らっていれば死んでいるだろうが・・・。」

「でも今の水音聞いてれば直撃はしな「聞こえないの。」・・・え?」

「聖夜君の反動は水に入った時みたいに耳が聞こえないことだから。」

だから來佳は水蒸気で視界を防いだ。

「死んで・・・ないよ。」

來佳の声を合図のように聖夜は動いた。

「・・・とっさに水を集めてクッションにしたのか・・・だが。」

聖夜の天才的な反射でも、聖夜の両腕は折れていた。

 クッションだけでなく体内の水をすべて放出して背後に噴射して壁の激突の威力を防いだのだが・・・それでも今の状態。

聖夜も來佳も体力を使い果たした・・・その証拠に今まで降っていた雨は止み、雨雲が消えた。

「相当なダメージを負ったみたいだな、水無月は。」

「・・・痛み、っわけだ。」

「ぐっ・・・・・つうっ。」

聖夜の言葉に輝たちは來佳を見る・・・來佳の両腕は黒コゲだった。

「まさか・・・自分の腕を犠牲にして真水を蒸発させるとはな・・・。」

自分の腕を金属の代わりに熱伝導させ、真水を蒸発させたのだ・・・その代償はあまりにも酷く、重いものだった。

「水無月、どうする?今のお前なら一般人にもやられそうだが?」

「させないわよっ。」

「・・・っ。」

聖夜に近づこうとする琴音の前に壁のように燃え上がる炎。

「お前はっ・・・。」

聖夜に寄り添うのは赤目のツインテールの少女。

「・・・愛良?」

またもや同期のサイキッカーの登場。

「引きますっ。」

「・・・まだ鈴宮妹が「後でアタシが絶対に連れ戻しますっ、だから今はっ。」・・・。」

最後に少女は來佳を睨みつけ聖夜を連れてこの場を去っていく。

「待てっ「琴音早まるなっ、相手は玖城だぞっ。」・・・っ。」

映男の静止で琴音は踏み止まる。

「・・・・・。」

「・・・っ、來佳っ。」

聖夜たちが去って、來佳は糸が切れた人形のように倒れた。

 ・・・・・その時すでに、両腕の感覚は無かった・・・・・。


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