エピローグ
あの戦いから早10年の月日が流れた・・・それぞれの道を進んだ仲間たちは今どこでどうしているのか・・・。
この10年で世界は変わった・・・デビル・フォレストは消滅し聖域は機能を停止させ、ミュータントもこの世界から消えた。
(アイツは本当にやりやがった・・・。)
今では島に認定され有名な観光地に・・・ただの観光地ではなく、
森と祠が神秘的で結婚式を挙げる人が続出・・・そして今日もまた1人。
「・・・・・。」
今日祝言を挙げるのは神田 輝。
今や政治界に居なくてはならない存在の彼、そんな彼は高校から付き合っている彼女と結婚する。
結婚式にはかつての仲間たちも呼んだ・・・。
(10年経った今でも連絡とり合ってるけど・・・音信不通というか連絡が取れないのが2人、いるんだよな・・・。)
船で森に向かう輝の手には結婚式の招待状が2通・・・居場所が分からないのにどうやって送れるものか。
「・・・いったいどこで何をしてるのやら・・・。」
心配はしていない、が自分の晴れ舞台に1番来てほしい相手なのに・・・この10年間、彼女とは1度も会えていない。
「・・・デビル・フォレスト、か。」
「何か言った?輝。」
「いや、なんでもない。」
花嫁衣装に身を包んだ彼女、彼女は友達のところに(自慢しに)行ってしまった。
「・・・・・。」
「なぁ~~~んでお前が1番に結婚するのかな~?」
「わっ・・・直也さんっ。」
後ろからの衝撃に驚く輝、犯人は直也だった。
直也はブラック・カンパニーを仕切る中、表では世界的に有名な医者として世界中で活躍している・・・10年経っても変わらず女好きで、独身である。
「・・・相変わらずみたいね、あのヤブ医者は。」
「それが直也ですよ。」
「咲にシャルさんっ。」
咲とシャルは今でもあの家で仲良く暮らしている・・・その生活は親子の様に仲睦まじいものだった。
「輝君、おめでとう。」
「ありがとうございます。」
「可愛い嫁じゃない、輝にはもったいない位だわ。」
「・・・余計なお世話だ。」
「よぉ。」
聞き覚えのある声に振り向く輝。
「ほらよ。」
「・・・うわっ。」
花束をいきなり投げられるが、持ち前の運動神経と反射で受け取る。
「映っ。」
「おめでとう、輝。」
「・・・おめでとう、結婚できるなんて思わなかったけど。」
「琴音にネム・・・ネムは素直に祝えねぇのかよ。」
映男、琴音、ネムの3人。
映男はシャルの超能力により年齢どおりの姿になり、今や大手会社の若社長にまでのぼりつめていた。
琴音は芸能界にスカウトされ今ではテレビに出ない日は無い位の人気者に。
ネムも同じく芸能界にスカウトされタレントに・・・タレントと占い師も兼ねており、こちらも売れっ子。
「相変わらずの毒舌だね~ネムちゃん・・・おじさんと結婚しな「死ね。」そんなこと言わず~。」
10年経っても変わらない関係に輝は笑顔になる。
「・・・変わんないわね、アンタたちは。」
「「愛良っ。」」
ゴージャスなドレスに身を包んだ愛良・・・どうりで会場が騒がしかったはずだ。
政治家の輝の結婚ということで有名人は多数いるが愛良は別格。
愛良は海外でハリウッドデビューを果たし、1年も経たずセレブ入りをした超有名人。
「・・・で、聖夜さんは?いないの?」
「音信不通野郎のことなんて知るかよ。」
揃っていないのは後2人、この2人とは誰も会っていないらしい・・・。
「・・・・・。」
彼女に関してはココに来れば会えるんじゃないかと期待していたのだが・・・
彼女だって人間、1人ではないとはいえ森にずっと暮らしているとは思えない。
(また会おうって約束した人間が音信不通かよ・・・。)
「主役がなに不細工な面してんのよ。」
「愛良・・・お前は2人に会いたくないのかよ?」
「アタシは聖夜さんにしか会いたくないわよ、彼氏の1人もいないのよ?
アイツをバカにできないのに会ってもおもしろくも何ともないじゃないっ。」
相変わらずプライドが高く、真っ直ぐな奴である。
「・・・でも、アンタには会いに来るんじゃないの?
アンタ、アイツの友達で・・・家族なんだからさ。」
そう言って愛良は踵を返しシャンパンを取りに行った・・・耳が赤いのは黙っておこう。
「家族・・・か。」
いた時間は短かったが彼女の存在は輝には色濃いものだった、親友で家族・・・そんな関係。
「輝ーーーっ。」
妻になる彼女の自分を呼ぶ声、もうそろそろ始まるらしい・・・輝は彼女の元へ足を進めた。
輝の結婚式は有名人の結婚式としては些細だったが2人はとても幸せそうで何事もなく式は終わりそうだ。
「それでは最後に花嫁によるブーケトスを行います。」
司会者の言葉に女性陣が身を乗り出す。
「愛良ちゃんは参加しなくていいの~。」
「そんなもんに頼るほどアタシは乙女思考じゃないわ。」
「・・・本当は参加するのが恥ずかしいだけじゃ「ちっ、違うわよっ。」どうだかな~?」
愛良の荒い声と同時にブーケが投げられる・・・一斉に手を伸ばす女性たち、しかしブーケを手にしたのは・・・。
「も~らったぁ~。」
幼い少女・・・7、8歳くらいだろうか。
「綺麗なお花~。」
ブーケの花にとても満足にしている少女・・・その笑顔は誰かに似ていた。
結婚式は終わり花嫁のお色直しの後、街に戻って2次会。
その短い時間・・・祠の前に残るのは輝たちと少女。
少女の顔はこの場にいるみんなが知っている、彼女の面影があった。
「・・・ねっ、ねぇ君?」
「なぁ~に?お兄さん。」
輝の言葉に首を傾げる少女。
「・・・っ。」
「・・・何悶えてんの?変態。」
「イヤ・・・だって、な・・・可愛すぎてっ「今すぐ思考を閉じなさい変態。」・・・。」
直也のこの反応・・・この少女はまさか・・・。
「・・・シャルさん、何もしてませんよね?」
全員がシャルに目を向ける。
「失礼ですね・・・確かにしてみたら面白いでしょうが・・・。」
「師匠の超能力なら確かに姿は可能だが、瞳の色までは変えられないよ。」
少女の瞳は黒と金色ではなく、金色と青色のオッドアイだった。
「君はいったいどこから来たのかな?」
「あっち。」
少女が指差す方向・・・そこには。
(あっちの方向はあの2人の墓がある場所・・・やっぱり。)
この少女は彼女に関係がある、そう確信した輝。
考えてみれば、彼女が両親を置いてこの森から離れるはずがないのだ。
「君は來佳っていう人知ってっ「あっ、ママ~。」あっ・・・っ。」
輝の言葉を遮りとある人物に駆け寄り抱き付く少女。
「ママ見てっ?星羅自分で取ったんだよっ。」
「・・・ブーケ?星羅にはまだ早いってパパに怒られるよ?」
「えぇーーー?」
拗ねる少女を抱える女性・・・その声には聞き覚えがあった。
「誰の結婚式に行ったの?結婚式は招待された人しか行っちゃいけないのよ?」
「あのお兄ちゃんたちだよっ。」
女性はゆっくりと振り返った・・・黒髪を靡かせ、瞳は黒と金色のオッドアイ。
顔はずいぶんと大人びているがその笑顔は間違いなく・・・輝たちの知る人物。
「みんな・・・久しぶり。」
会うのは10年ぶり・・・枢木 來佳の姿。
「來佳っ。」
久しい仲間との再会・・・みんなの顔が綻ぶ。
「連絡1つ寄越さず何が久しぶりだバカ。」
「電気ないから携帯も必要ないからさ・・・って映ちゃんその姿どうしたのっ?」
10年経っても変わらない來佳、映男の今の姿にも驚きだが輝が結婚したことに1番驚いていた。
「輝も結婚できたんだ~。」
「來佳ちゃんもそう思うよね?」
「うるせぇっ、だいたい來佳その子はいったいっ「お前らは1つも変わらないな。」聖夜っ。」
來佳に続いて聖夜の登場・・・。
「聖夜さんっ。」
「久しぶりだな、玖城。」
10年経って大人の色香を放つ聖夜・・・そこらの男、俳優よりもカッコいい・・・目をハートにする愛良。
「今更来てもおせぇんだよ、音信不通共っ。」
「輝の結婚式なんて知らなかったもの・・・ココにだって星羅が急に行きたいって行っちゃったから追いかけて来ただけだし。」
「ねぇ?」「うんっ。」と顔を合わせる2人・・・見れば見る程そっくりだ。
「誰なんだよその子?來佳にすごく似てるけど。」
「似てて当然よ・・・はい星羅自己紹介は?」
來佳は少女・星羅を降ろすとみんなに向き直る。
「水無月 星羅、8歳ですっ。」
きちんと礼もしている礼儀正しい子だ。
「これはどうもご丁寧に・・・え?水無月?」
みんなが自分の耳を疑う・・・水無月といえば聖夜の名字。
その名字を持つ星羅は來佳のことをママと呼んだ、つまり・・・。
「ちょっと來佳っ、どういうことよっ?」
愛良はものすごい勢いで來佳に詰め寄った。
「この子は私と聖夜の子供ってこと。」
「はぁっ?」
「パパ抱っこして。」
「・・・あぁ。」
星羅を抱きかかえ、口角を緩めながら星羅の頭を優しくなでる聖夜の姿。
「・・・どこからどうみても。」
「父親だな・・・。」
「意外と似合ってる・・・。」
誰がどう見ても今の聖夜は父親だった。
「いっ、いつっ?いつ産んだのっ?」
「18の時かな?みんなと別れてすぐ聖夜が来てさ~。
それからずっと一緒に暮らしてたんだよね・・・右近と左近も一緒だったよ。」
2人も元気だよ。と続くが愛良の耳には入っていない・・・衝撃的過ぎる。
「聖夜~おじさんに抱かせっ「寄るな変態。」ケチ~。」
「・・・水無月の奴、過保護というより親バカだな。」
「そうね、表情も豊かになったし良い父親みたいじゃない。」
「聖夜さんといつそんな仲になったのよ來佳っ、アンタに先を越されるなんて冗談じゃないわっ。」
相変わらず來佳には敵対心というかライバル心が強い愛良。
「どうなってそんな仲になったんだ?」
あんなにライバル心、敵対心剥き出しだった2人がどうして夫婦になっていると誰が予想できようか・・・。
「・・・・・ノリ?一緒にいたからなんとなく、みたいな?」
「「はぁ~~~?」」
それから2人から解放されるのに数十分はかかった・・・。
「・・・・・。」
「すー・・・すぅ。」
「はぁ・・・疲れた・・・。」
聖夜に膝枕されて眠っている星羅。
「星羅、寝ちゃった?」
「來佳・・・もういいのか?」
聖夜の隣に腰かける來佳・・・輝たちは右近と左近に会いに森の奥に向かった、
いるのは來佳と聖夜、眠っている星羅の親子3人。
「さっき・・・何であんな風に答えた?」
「ノリって言ったこと?何拗ねてんのよ?」
「・・・別に。」
昔よりだいぶ分かりやすくなった聖夜、夫婦間は良好な2人。
來佳のあのセリフは聖夜のお気に召さなかったらしく・・・來佳の顔が緩む。
「言いたくなかったのよね・・・何か、さ。」
「・・・・・そうか。」
―――それは來佳が核の力を自在に操り、聖域の力を相殺させ少しずつだが変わってきた頃のこと。
「ねぇ・・・聖夜の両親はさ、どうやって結婚したの?」
「・・・急になんだ?」
「ちょっと気になっただけ。」
「・・・見合いらしいが詳しくは知らない。」
聖夜がちゃんと答えてくれたことに少し驚く來佳。
「・・・不安って、なかったのかな?」
「・・・・・。」
それはどっちの両親の話なのか・・・來佳の言い方からすると両方だろう・・・。
お見合いは出逢ってみるまで顔しか分からない、
來佳の両親は覇王の子供など前例がない・・・両方とも不安で仕方なかったはずだ。
「不安以上に・・・何かあったから結婚したのかな?」
「・・・試してみるか?」
來佳の目の前には聖夜の顔・・・鼻と鼻が触れそうな距離・・・。
「ちょっ、ちょっと・・・「俺は・・・。」・・・?」
至近距離で見つめ合う2人。
「俺はお前と、來佳となら・・・俺やお前の両親みたいな結末にはならないと思うが・・・。」
「聖夜・・・・・そう、かもね。」
笑い合う2人・・・そしてどちらからともなく距離を縮め・・・。―――
「んっ・・・っ。」
「・・・何を考えてた?」
唇を手の甲で塞ぐ來佳・・・頬は真っ赤に染まっている。
「ククッ。」
「バッ・・・っ。」
不敵に笑う聖夜に何も言い返せない來佳。
「ラブラブだ~。」
「なっ・・・。」
「・・・起きたのか?」
反応する來佳とは大違い、寝起きの星羅の頭を優しくなでる聖夜。
「來佳ぁ~聖夜~。」
「星羅もっ、一緒に2次会行こうぜ?」
森から返ってきた、成長したが変わらない仲間たち。
「・・・たまには付き合うのも悪くない。」
「星羅も行く~。」
隣には成長したかつてのライバル・・・その人は現在自分の夫となり、2人の間には愛しき娘の存在・・・來佳はとても″幸せ″だった。
「聖夜・・・ずっと一緒に居てね?」
「・・・当たり前のことを聞くな。」
「星羅も一緒~~~。」
3人で手を繋ぎ、みんなの所に向かった・・・。
(″約束″・・・ちゃんと守ったからね。)
浮かぶのは両親や仲間たちの笑顔・・・その笑顔は1つの約束から始まった・・・。
完結しました!!
読んでくださった皆さん、ありがとうございました。
もう1つの連載、BF(BloodFlower)も引き続きよろしくお願いします。




