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13話

「・・・・・。」

「ふふ、そんな怖い顔しないで頂戴?可愛い顔が台無し。」

・・・どうしてこうなった。

―――來佳達の前に現れた品のある老婆。

「この人がボス?ボスは天皇ですばるという名の老翁じゃ・・・。」

テレビや雑誌で何度も見た、來佳の記憶に間違いはない。

「アレはただの影武者よ來佳ちゃん。」

「・・・っ。」

名を呼ばれた瞬間なぜか身体が震えた。

「ずっと・・・あなたに逢いたかったのよ?

  せっかく逢ったんだから、お茶でも飲みながらお話ししたいわね。」

「な・・・にを。」

何を言っているのだこの老婆は・・・。

「來佳ちゃんに1日でも早く逢いたかったのに・・・みんな役立たずで。」

「・・・・・。」

その言い方にだんだん腹が立ってくる。

「・・・愛良ちゃん。」

「・・・っ。」

愛良の肩が震えた瞬間、愛良は吹き飛んだ。

「愛良っ。」

來佳が動く前に直也の影が愛良を助けた。

「何で助けるのかしら?直ちゃん。」

老婆、昴の咎めるような声色・・・直也は愛良を抱える。

「ケガ人を助けるのが医者の役目でね。」

「その子は私の來佳ちゃんを殺そうとしたのよ?

  それ相応の罰を与えなきゃ・・・ねぇ?聖夜ちゃん。」

「・・・・・。」

昴の後ろに立つ聖夜、愛良を吹き飛ばしたのは聖夜の足。

「・・・聖夜、アンタ。」

「・・・・・。」

聖夜に向かっていこうとする來佳だが右近に止められる。

『來佳様、こんな奴らに構っていないでお早く・・・。』

「もうっ・・・來佳ちゃんと2人でゆっくり話したいのに・・・。

  來佳ちゃん私の屋敷に行きましょう、美味しいお茶菓子があるの。」

『そんなこと。』

『我らが許すと思うな。』

右近と左近が來佳を護るように前に出る・・・それに合わせて聖夜も昴の前に出た。

「・・・困ったわね、でも・・・これなら一緒に来てくれるわよね?」

「・・・っ。」

昴が手を挙げて合図すると、現れる黒ずくめの男達と・・・。

「・・・輝?」

気絶し黒ずくめの男に抱えられている輝。

「どうしてっ?」

「來佳ちゃんの1番大切な男の子だものね・・・来て、くれるわね?來佳ちゃん。」

「・・・・・っ、輝。」

今にも泣きそうな來佳の表情・・・輝を失いたくない。

「・・・俺は何も聞いていませんが?」

「言ってないもの・・・努ちゃんに頼んだのよ。」

どうやら聖夜も輝が人質になっていることは知らず・・・。

「俺はまだ貴方に信用されていないみたいですね。」

「ちゃんと″信頼″しているわよ?

  聖夜ちゃんは私の言うことを1番叶えてくれるから・・・でもね、

 ″ただ″のサイキッカーにこの2匹を倒すことは出来ないの・・・ねぇ?右近ちゃんに左近ちゃん?」

『『・・・・・。』』

右近と左近にも全く動じない昴。

「さぁ?来てくれるわよね、來佳ちゃん。」

來佳に選択肢などない・・・昴の元へと歩き出す來佳。

『『來佳様っ。』』

「ゴメンね、右近、左近・・・私には輝を見捨てることなんて出来ない、輝は・・・。」

來佳が初めて自分の居場所だと、心安らげる場所に出会わせてくれた人だから。

『來佳様・・・。』

『・・・行くぞ、右近。』

2匹はその場から姿を消した。

「・・・いや~さすが昴さん鬼畜ですねぇ~「貴方にも、もう逢わせないわよ?」・・・。」

「香織を連れ帰らず・・・來佳ちゃんと一緒にいる資格があなたに在ると思う?」

「・・・これは手厳しい・・・。」

直也は肩をすくめる・・・言い返す言葉がない。

「行きましょう、來佳ちゃん。」

「・・・・・。」

昴が差し伸べてきた手に來佳は己の手を重ねた。―――

 そして冒頭に戻る・・・。

「美味しいわね、來佳ちゃん。」

「・・・・・。」

「もう・・・そんなに睨まないで頂戴?

  貴方の敵のボスと言ってもただのおばあちゃんなんだから。」

昴の言うとおりである・・・が、ココが敵地ということを除いても、

 來佳はこの人の前では気を抜いてはいけないと感じていた・・・そしてもう1つ。

「輝はどこ?」

「丁重に扱っていますよ?來佳ちゃんの大切な″お友達″だもの。」

友達・・・その言葉が來佳の心に重く響く。

(拒絶した私を、傷つけた私を・・・輝は・・・。)

その頃別室では・・・。

(あの野郎・・・次会ったら1発殴る。)

後ろ手に縛られ身動きの取れない輝が暴れていた・・・これのどこが丁重なのか。

 廃工場に向かっている途中・・・黒ずくめに囲まれ、努に後ろからスタンガンで気絶させられたのだ。

「お目覚めかな?輝君。」

「ぬけぬけと言ってんじゃねぇ。」

部屋に努が入ってきたことにより、さらに暴れ出す輝。

「・・・來佳ちゃんに会わせてあげよう。」

「・・・っ。」

その言葉に輝は動きを止めた・・・。

 戻って來佳と昴・・・來佳の警戒心はいまだ揺るがず。

「・・・私にはね、跡取りがいたの。

  カリスマ性もあって昔の私に似て美人で強くて・・・自慢の子。」

敵の昔話など興味が無い・・・出された紅茶を飲む來佳。

「でももういないの、私の手の届かないところに逝ってしまった。」

「・・・・・。」

死んだのだろう・・・悲しい話だが敵の身内の話、

 同情するほど來佳は甘くはない・・・が非情でもない、警戒心が少し緩まる。

「そして私はその子が残してくれた次の跡取りを必死に探していたの。

  私の跡を継いでくれる次期天皇の座と、この地球を護ってくれるボスの役目を・・・貴方にね。」

「「・・・・・は?」」

來佳と、同時刻同じ話を努から聞いていた輝の声が重なった。

「來佳が・・・天皇の、政府側のボスの孫?」

さらにもう1カ所・・・デビル・フォレスト付近にあるシャルの家でも。

「・・・だから來佳は優先的に狙われていたのか。」

直也は愛良、家にいた琴音たちを連れシャルの元に行った。

 話は意識を取り戻した愛良が話していた。

「直也、お前知っていたなっ。」

「おじさんだけじゃないよ~シャルも知ってる。

  咲ちゃんも、シャルから全部聞いたんだろ?」

「・・・この戦いには終わりが無いってことも全部ね。」

「ちょっと待って・・・そんなのアタシ知らないっ。」

愛良は慌てる・・・そんな話、昴から聞かされていない。

「知らないのも当然でしょう・・・私が直也に真実を話し、

  直也はそれをボスに話した、彼女は誰にもこのことを言っていないでしょうから。」

シャルの言葉は事実、昴は秘密主義者だった。

 そしてその秘密はすべて金庫に保管されている・・・。

「・・・・・。」

その金庫を開け、知ってはいけない真実まで知った人物が1人・・・。

 そして、來佳に戻る。

「私が、アナタの孫?じゃあさっき話してた跡取りって・・・。」

「貴方の母であり私の娘、香織のことよ。」

鈍器で頭を殴られたような衝撃・・・。

「・・・なら、なぜ母をっ・・・母はやるべきことがあると政府のっ、お前のところに乗り込んだはずだっ。」

「可愛い娘に手を出すわけないでしょ?

  ・・・でもね、香織は開けてはならない″パンドラの箱″を開けてしまったの。」

「パンドラの箱?それっていったい・・・。」

來佳の言葉を遮るように扉が開かれた。

「來佳っ。」

「・・・っ、輝。」

入ってきたのは両手を縛られているが元気そうな輝と努。

「連れてきましたよ、ボス。」

「ありがとう努ちゃん。」

「・・・ひか、っ。」

輝の名を呼ぼうとする來佳だが唇を噛み締め留まり、昴に向き直った。

「まだ質問が残ってる・・・母はなぜそのパンドラの箱に手を出した?」

パンドラの箱とはギリシャ神話で災いを封じた箱のこと、どんな代物かは見当もつかないが危険なものということは分かる。

「・・・・・覇王を、″護る″ためよ。」

その場にいる全員、政府側の努や部屋の端にいる黒ずくめの男達も驚く。

 サイキッカーの天敵であるミュータントの王・覇王・・・ソレを倒すという目的は政府も反政府も同じはず・・・それなのに香織はなぜ。

(覇王を護ろうなどと・・・。)

香織の考えが分からない・・・。

 ずっと一緒にいた正輝にも真実を言わず、母に一体何があったのか。

「・・・っ。」

扉の向こうから感じた殺気・・・輝の前に立ち飛んできたものを蒸発させる・・・水の刃を。

「・・・どういうつもり?聖夜っ。」

「どけ、そいつを・・・殺す。」

聖夜の言うそいつとは輝・・・。

「なっ・・・輝は関係なっ「コイツは危険だ、今無害な内に始末する。」・・・っ。」

シャルと同じことを言う聖夜。

「あらあら、金庫の中身見ちゃったのね聖夜ちゃん。」

「・・・・・。」

見れるように机に金庫の開け方が書いてある紙を白々しく置いといてよく言ったものだ・・・昴を睨む聖夜。

「輝は殺させない、絶対にっ。」

「どけ。」

お互いに構える・・・一触即発の雰囲気。

「「・・・・・。」」

両者が動くその時・・・壁は盛大な音を立てながら粉々に砕けた。

「なっ・・・。」

「・・・っ。」

『・・・・・。』

そこにいたのは・・・”金色こんじきの毛”を持ったミュータント。

「まぁまぁっ、覇王自ら来るなんて・・・。」

「アレが・・・覇王・・・。」

右近、左近も他のミュータントと違っていたが、それとは次元が違う。

 言葉ではとても言い表せない存在。

『來佳、迎えに来た。』

「・・・・・え?」

覇王の金色と黒色の瞳と目があった瞬間、心が安堵した。

「來佳ちゃんは・・・渡さないわよ。」

昴の合図に四方八方現れる黒ずくめ、全員灰持ちだ。

『・・・我に勝てるとでも?』

「・・・っ、輝っ。」

悪寒が走り輝を引き寄せた來佳・・・と同時に辺りに聞き慣れた轟音と熱、男たちの悲鳴。

 それらがおさまり、目を開けた來佳・・・黒ずくめの男達はすべて灰と化していた。

『・・・・・。』

「なっ・・・・・ぜ?」

覇王の身体から出ているモノ・・・それは來佳と″同じ″雷だった。

 同じといっても威力は來佳の比ではない・・・敵う気がしない。

(なんで覇王が・・・?)

覇王は敵であるサイキッカーの超能力までも使うというのだろうか・・・。

『・・・しぶといな。』

「・・・?「努さんっ。」っ。」

輝の声に顔を向けると下半身を柱に潰された努の姿。

 今生きているのが不思議の状態・・・もう助からないのは素人目でも分かる。

「・・・輝、君っ・・・こんな私だがっ・・・、

  息子とはっ・・・ずっと、仲良くっ、してっ・・・やって、く・・・れ。」

「努さん・・・。」

努はそこで息絶えた・・・。

「・・・・・。」

『來佳、行くぞ。』

「・・・輝。」

「あぁ・・・。」

覇王に急かされ輝と共に背中に乗る來佳。

『行くぞ。』

「・・・っ、待って。」

『何だ?ココにはもう何も「彼を・・・。」・・・。』

灰の中に倒れている聖夜・・・特に外傷は無く気絶しているだけ。

『あの状況で我の攻撃に耐えたか・・・なかなか見所のありそうな奴だ。』

聖夜の服を咥え背中に投げ、覇王たちは今度こそ壊れた壁から屋敷を出た。

「・・・・・まったく。」

その屋敷に残ったのは無傷の昴1人・・・。

 男達を盾にし、さらに着ているドレスは雷を通さない生地で作られている。

「・・・アレを來佳ちゃんの手に渡すわけにはいかない。」

昴が向かったのはとある施設・・・施設というよりは大きな檻のような箱。

「・・・お行き。」

昴の声を合図に金属製の扉を貫通して箱から飛び出していった何か・・・。

「香織、ごめんなさい・・・私にはもう、來佳ちゃんだけなの。」

そこには気品溢れる姿はどこにもなく、愛に飢えた1人の人間がいた・・・。

 ・・・デビル・フォレスト付近。

「直也・・・帰ってきましたよ、來佳達と一緒にね・・・どうします?」

「・・・どうしようもできねぇだろ。」

直也とシャルはデビル・フォレストが見える丘で酒を飲んでいた。

「″あの時″と一緒だ、俺は・・・なにもできねぇ。」

あの時・・・血塗れになった香織と、その血に濡れる覇王の姿を見たときと・・・。

「・・・直也はパンドラの箱の中身を知っていますか?」

「神話の話か?それとも政府の隠してる施設の話か?

  ・・・施設の中身は知らねぇが、箱の中身は災厄だろ?」

酒を煽る直也を横目にシャルは笑う。

「災厄はミュータントたちですよ、既に外に出ています。

  知っていますか?直也、パンドラの箱には希望も入っているんですよ。」

シャルも酒を煽る。

(・・・ソレが我々にとって希望、とは言えないかもしれませんが・・・ね。)

「どうなるか・・・楽しみですね。」

シャルの呟きは直也に聞こえることなく、風に消された・・・。


久々の更新です!!

 こんな作品を読んでくれる皆々様ありがとうございます。

もう後数話となりました・・・最後まで読んでくださるよう精進いたします。

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