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召喚  作者: 黒龍藤
第一章   望む道
21/239

21 三人のご褒美

 

 年寄りの朝は早い。

 まだ日の登らぬ時間だとて変わる事なく目が覚める。年を経た男は寝床の中で今日も変わらぬ時間に目が覚めた。しかし、起きる気になれない。寝床の中でごろりと寝返りを打って何を考えるでもなく、ぼうっとしていた。二度寝の気配も訪れない。

 

 程なくして今日の予定を思い出す。


 そうじゃった、今日は三人で会う日であったわ。あの一件の話をするのじゃったわ。今、思い出せば、あれはあれでなかなか楽しかったのぅ。

 今日は宴会ではないから、土産に酒は持っていかんでかまわんか? 手ぶらというのもなんじゃが〜  ふむ、無くてもよいかのぅ…


 寝床の中で、のそのそしていれば階下から匂いが立ちのぼってくる。



 臭い。

 焦げたような、鼻を刺激するような、妙な気配を感じる異臭だ。



 嫌な予感を覚えて身を起こし、しかめた顔を部屋の入り口に向ける。


 向けたとたんに音がした。




  ボッ…  


  ガラガッッシャン!!      …ガランッッ !  


 


       ぎゃああああああああ!    やっちまったあああああ!!






 朝っぱらから景気のいい音と少年の声が響いた。


 年を経た男は思う。 

 またか。また失敗したのか、あの馬鹿は。





       どーして、こうなるんだよ! 俺はちゃんと手順を踏んでやってんのに! 

           …じゃからどこかで抜かしたんじゃろ



       きちんとやってんのにおかしい! これどっか書き抜かりがあるんじゃねーのか! 

           …お前の手抜きが問題なんじゃ



       これモノが悪いんじゃねえの!? 古くなっていかれてんだろ!?  

           …お前の失敗で大方、新しいわ  お前の腕が足りんだけじゃい





 階下から聞こえる孫の声に心中で突っ込みを入れ続ける。


 これが儂の孫かと思う。


 孫は可愛いと思うが疲れる。偽らざる本音だ。ここしばらくは気力も体力も衰えたとは思わないが、何かしら疲れる。疲れる要素が違うのか? それともやはり年を食ったということか?


 朝早くから頑張っていることは認めよう、やる気を出しているのも認めよう。

 要領が悪いというか、手際が悪いというか。いや違うか、問題は把握する前に思い込んでそのまま突っ走るところか。走りながらも考えられればいいが、そんな器用なことができていればこうはならないはずだ。 

 あと、物に当たるな。ごまかしていけしゃぁしゃぁと嘘をつくのを止めんかい。こっちから見ていれば丸わかりで虚しいわ。なーんであれでバレないと思うのか? 口で言ってもわからんならやはり拳骨がいるか? 人様に迷惑かけるくらいなら拳骨強制したがましかぁ?

 


 目を天井に向け悶々(もんもん)と考えてみる。が、適当に切り上げる。



 …うむ、自主性を尊重するぞ。儂は遊びに行ってくる。

 可愛い孫を手伝ってくれてもいいじゃないかとか甘ったれたこというんじゃないぞ? 儂は一人でやってきたわい。むしろ、儂の孫なら一人で成し遂げる気概をみせい。


 希望的観測に託して寝床を出た。

 


 失敗してギリギリと髪を掻きむしる孫と朝飯を食ってから出掛ける。

 出掛けにあんまりいうので見てやった。 …じゃから、初っ端の手順を簡略すなっちゅーに。

 一つだけ手掛かりを与える。 …儂、甘いかのぅ?




 しかし、何かの拍子に面影をみる。



       ぐぁああああ。


 総てとは言わん。絶対に言わんが、どこか昔の儂に似たとこがある。その時は頭を抱えるほどにそう思う。 


       やはり、これ、儂の孫じゃわぁ…  

       なぁんで、いらんとこばっかり似るんじゃぁ?

       頼むから取るんならええとこだけにせぇ…



 孫が自分と似た様な失敗を繰り返す。正に歴史は繰り返す。己の黒い歴史等と言う生易しいものではない。真実目の前で繰り返される遺伝が織りなす悲喜劇に、どこかで正しく泣きが入りそうな心境である。しかし、泣きそうな心境とは別に口から出るのは乾いた笑いだ。最終、力強く笑うだろう。ヤケでもなんでも笑った方が勝ちなのだ。勝ちの意味が不明なことを追求するのは野暮というのだ!








 いつもの場所に行けば男が先にいた。女が来るのを待って話をする。ついで孫の話もした。

 話せば、男が笑いながら労ってくれたわ。

 

 「ちゃんと話したのかぁ?」

 「以前にきっちり話したわ」



 「あ〜 」


 男が天を仰いで苦笑する。


 「しつこく言えば逆だろなぁ。しっかし、ガキの内に仕込まんと面倒かろうな」



 その言葉に同意して儂は深く頷いた。全く解決せんが喋るだけでも落ち着くの。



 「お待たせしましたか?」


 そうこうしていれば女も手を振ってやって来た。



 さてさて、肝心な話し合いじゃ。





 「今回はあの賭けの一件だが、各自の結果はどうだった?」


 女が男の質問に重々しく首肯した。

 「あの一件は無効ですわ」


 儂も肯定する。

 「あれは無しじゃ」


 男も是認した。 

 「あの件は皆、外れだったな。勝者と呼ぶなら、それはあの喚ばれた側だな」



 あのあと揉めに揉めた儂らは事態をきっちりと見直した。そこで気付いた事態を各自精査で持ち帰った。その場でやっても良かったんじゃがな。一息ついて頭を冷やす為と各々予定は一応あるでなぁ。遊びは遊びなんじゃ〜



 判定。ほぼ自力帰還じゃったわ、あれ。

 着いた時点で即行防御張っとったし、細糸繋げとるし。喚んだ側の誓約も確かにあったが、よー考えたらあやつの質は極上じゃが量はちっとじゃ。かかったとはいえあの手の術は割り合い力を食う。ほんと〜にあやつだけの力で維持しとるんかいな?と見直せば、ああ、あれもう、ほとんど坊の自力じゃわ。

 あやつの力に坊の力。それにおまけについた力じゃわ〜 下手すりゃ、おまけの方がどんと来いじゃ。

 

 儂らが見た時はあの坊に力はあったが、あっただけで使用形跡等がなーんもなかったから頭から除外したんじゃわ。最後の最後に思いっきり頑張っとったんで、そこで初めて発揮出来たと思ったんじゃ。なんせ命かかっとたしの。よーお考えるに儂らが場に引き寄せ見ていたことが、坊にとっては力に触れる事となり目が覚める状態に繋がったな。

 おそらく、着いた時を基点に坊の水面下では目まぐるしい勢いでもって力の覚醒が促されたんじゃろな。それに場所が場所じゃ。常とは違うこの場所でなら力の目覚めもすべらかじゃったろ。


 あと最初の感情が恐怖であったことが、無意識にも真っ先に防御と帰還手段を模索したということであろ。あの坊は喚んだ相手と会話することを良しとして動いとったが、会話を拒否し喚んだ相手を無視し帰還だけを願って内に籠ったならば召喚契約なんぞならずに何事も無く帰還して、『なんか恐怖な夢みた!』で終わっとったんじゃろうなぁ。

 いや、夢自体流しそうじゃのぅ…


 同じ結論に至ったのか、顔を見合わせて三人で生温ーく笑うたわ。



 「なんともまぁ、笑える楽しい結末だ。最後に至って、もう終わったと流し見した事が誤算になったか。ははははは」

 「そうですわね… 推移に気を取られてしまって滅多に無いことを致しましたわ」

 「儂らが抜かったのは間違いないがの。うむ、以前言っておったが、ほれ、上手じゃったと誉めてやるべきじゃろう?」



 儂の一言で、三人でうんうんと機嫌良く笑う。

 にしても、やはり誉めて伸ばすが肝心か。しかし、調子にのって転けるのもよくあるんじゃが。うーむ、匙加減かのぅ。いや、そこまで悩む必要もないか。アレはアレでやっておるんじゃ、手を掛け過ぎるのも良くないの。



 「そうだな。目覚めで実に良くやったと誉めてやるか」

 「ええ、頑張ったと祝ってあげるが良いでしょう。そうですわ、ちょうど良いですわ。ご褒美に祝いを兼て、あの子を喚んだあの子の元へ連れて行ってあげたいのですわぁ〜」


 「「 あ? 」」

 


 さらっと言う女に、儂ら男二人は開いた口が塞がらなかった。

 

 「待て、どうしてそうなる。それは祝いに思えんぞ? まず、なにがちょうど良い?」

 「連れて行く? その後どうするんじゃ? 彼方此方と連れ回すなどできんじゃろが? 連れて行くも何も… そりゃ、あやつの所へ置いてそのまんまじゃないんか?」


 女の返答はまた違っていた。


 「あの子、いつか自力で出来るようにならないものかしらぁ?」


 明後日の方角を向いて言う女に呆れた口調で男が返す。


 「無理だな。今回は運が良かったと判じるべきだ。お前も最初に見ただろうに。あれは弱い、体が先に参ってしまう。自力でなんぞさせたら負荷に耐えきれずに命が尽き果てるぞ」

 「儂もそう思う。なぁんでまたあそこへ連れて行こうなどと思うんじゃ?」


 「だって、喚んだあの子がしょぼくれているんですもの。見ていてとっても不憫なのですわぁ…」



 両手を重ね合わせた手を右の頬に当て、首を軽く傾げて憂い顔をする女の姿があった。




 「「 はぁぁ? 」」  


 儂と男の声は完全に重なったわ。

 

 「…ちょっと待て、お前はあの後もずっと見ていたのか? いや、それはどうでもいいことか。俺は俺で見ていたしな。お前、喚んであっさり終了したあいつが不憫だから連れて行こうとしてるのか?」

 「そうですの。ええ、ここしばらく、ずう〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っと見ていましたけど可哀想でなりませんのよ…」



 肺活量が続くまで頑張るその言葉の思い入れの長さに儂、びびったわ。引いたわ〜


 「いやいや、それじゃ坊の方が可哀想じゃわ」

 「…お前なぁ、喚んだあいつが自分の当たり馬で贔屓にしているからって、それじゃ誘拐同然だろが。止めんかい」

 「お前さん、返す気ないな? そりゃ、幾らなんでもあんまりじゃろぅ?」



 明後日の方角に向き直し、首を傾げて何かに浸っている女を余所に男二人でボソボソ話す。



 「なに考えてんだ? そんなにあの喚んだ奴、気にいってたか?」

 「案外、自分のつばめに思っとったんかいのぅ」

 「あ? あーいったのが好みだったのか? ああ、そういう考えは有りか〜 しかし、基本『見ているだけ』の姿勢を崩せるほどに本気とも思えんが色事は分からんしなぁ」


 儂と男でニヤニヤしながら言っておったら、真後ろに女がいた。



 「聞こえてましてよ。つばめにするんならもっと良いのを選びますわよ」

 


 なぁんで儂らが氷点下の眼差しで見られとるんじゃろうの〜?

 気にいっとるがつばめじゃないんか。もっと良いのっていうほど良くもないんか。そらまた難しいの。 

 

 

 言ってしまえば、つばめじゃなくて子供じゃと。

 あんまり失敗を繰り返すのを見ている内に、本人も気付かぬまま情を育てていたらしいわ。

 それがあの一件の後もひじょ〜うに気になって様子を見ていれば、泣いていたと。それを見てなんとかしてやりたいと母性愛が生じたらしい。賭けの対象にして遊んでいた時もお気に入りではあったが… それも考慮すべきなんじゃろうが、馬鹿な子ほど可愛いともいうが母性愛が生じるとはの。

 …女の情が真実、母性愛なのかは儂には難しいのぅ。


 しかし、泣いてるから与えてやるじゃ駄目にならんのか? 



 「ええ、それはそうですが。でも喚ばれたあの子も縁があってきたのですし、いつかはきっと適応できますでしょう。何より応じる事ができるのですわ。力を保有する子ですもの。それに、あの子は魔力水を飲みました。あの子の場所では無い物です。時間が経って薄れたとしても、逆から言えば馴染む素養が出来たと言えます。あの手の力は存外残るものですわ」


 胸の前で両手を組んで微笑み話す女に、男が手を振って却下する。


 「おいおい、本人が帰ったもんをわざわざ連れて来てやんなよ。力の保有といえば確かにそうだ。あれには力がある。それでもあれは強くない。まして前回の一件で消耗した。帰還したあの世界での密度を考えれば再度の目覚めは薄かろうし、あの身に過度は良くない。

 お前の思い入れは分かったが、それで無理やり連れて来るというのなら俺は喚ばれた側に肩入れするぞ。ただの遊びの延長で、まかり間違ってあれが目の前で果ててみろ、俺は許せんぞ。お前とてそんなことを望んでいるわけじゃないだろ? 単に目新しい感情が楽しくなって動いているだけの事だろうが」


 あ〜〜  儂、それ言っちゃなんねぇ言い方だと思うんじゃが。


 「 …なんですって? わたくしが、ころころと気分だけで動いているとおっしゃるの?」

 「ああ? 違うのか?」

 

 儂、修羅場見るの平気じゃが、うるさ過ぎるのは嫌じゃな。ん? これ修羅場かぁ? …ど〜考えても違うか。



 「片方の子供の言い分しか聞かぬのじゃったら、母親としても失格じゃろうが。ん? それとも何か、自分が可愛い方しかどうでもええんか?」


 苛めるように女に言ってやれば、嫌な顔をしおった。

 そうじゃの、女とて本気で言っておらなんだと思うが、もちっと言っとくか? 女が子を生しておるかは知らんが、あれに過去の誰かを重ねて見ておるんじゃろうかのぅ? 女の情は重いのかいなぁ…



 「…わたくしは、別に神でもなんでもありませんもの。普通なら持ち得ない力を少しばかり有しているだけですわ。神でもなんでもない一人の女が、一人の子供に思い入れたとして一体なにが悪いと言いまして…? 」


 不貞腐れたような、開き直ったような、苦渋を飲んだような顔でどこかを見上げる顔をした。

 男二人で顔を見合わせて肩を竦め合ったわ。これ以上つつくとお涙頂戴というより女の癇癪が出そうじゃなぁ。

 



 「それとも何ですの? いつもにこにこ笑ってお飾りでいろとでも? わたくしが愛でることは贔屓になるから言われたことだけしていろと? 自分達の望むことだけしてくれればそれで良いとでも?」



 口元に猛悪な笑みを浮かべて愚痴が出たわ。 恨み節じゃわ。

 

 しもたわ〜  普段内輪話はせんから出てくるとは思わなんだ〜 やってしもたか〜…

 男とどうするかのぅと、女からちぃっと距離とって相談したわ…  酒盛りでもして気分変えるか? いや、絡み酒の方がよほど面倒じゃとコソコソ言い合い、落ち着くまで放置したわ。

 女の愚痴は下手に触らんのが一番じゃ〜



 そこからは、女が延々と虚空に向かって愚痴り続けるのを聞いとった。

 理想と現実がどうのこうの、自分の都合だけを考えるなんたらかんたら、それが出来なければどうたらこうたら、出来ることと出来ないことの見切りがうんたらかんたら、名目が上がったとしても成すことを右から左へ流すだけで全く内容を把握してないのならなんのかの、最後の後始末を一体誰がしてやったとうがぁぁぁああああ!



 いやもう、そらもう、(笑いそうで)聞きとうもなかったんじゃが、おるから聞こえるわ。

 嬌笑にも似た甲高い高笑いを響かせ女が力を振るった時には、男と二人して静かにそっと移動したわ。


 おお、怖や、怖や〜




 最後に


 「ええ、ええ、わかっていましてよ。無理やり連れてこられたあの子が泣くかもしれないことも! 喚んだあの子がそのことで困惑するであろうことも! 来てすぐに帰ったりした場合、喚んだあの子が嬉しくとも、その後どんな想いをすることかということも! わたくしとてきちんとわかっておりましてよ!!  わたくしは、可愛いと思う子供の願いすら叶えることが出来ないというのですか!?   一度くらい、 わたくしが、 ちゃんと…  ちゃんと!    あああああ!    …っ!   夢くらい、見たって、いいじゃありませんのよぉぉぉぉ!!!!! 」




 そりゃあもう思う様、力をかまして終わったのぉ。


 溜めに溜めた力が、バシャアアアアンと水飛沫あげて底を抉り、樹々をメリメリなぎ倒し、最後に突き抜けてドドドーンじゃ。 

 いや〜、巻き込まれたら飛び抜ける見事な一撃じゃったわ。

 



 終わると手を一振りして椅子を作り出し、静かな動作で座って椅子の肘掛けに頬杖をついて明後日の方角を眺め続けとった。


 あーあーあーあー、へたれたか思うて見とったわ。


 見とれば、空間復元力が自動的に稼働して女が力任せに壊した総てを最初の姿に戻して、女の成した行為を無かった事にしてしもうた。うーむ、さすがじゃの。見事な追い打ちじゃ。


 暇つぶし同然に男が儂の分の椅子も作り出してくれたから、ありがた〜く座ったわ。

 顔を背けた女にも聞こえるようにして、なーんも穿り返さんと話を進めることにした。

 女の目がうっすら涙目な気がするがあれが本物か演技なのか、儂、微妙過ぎて読み切れんわ。半々かの? 男はしれっとしとるしの〜

 




 意見を取りまとめると、女としては喚んだあやつの望みを叶えたい。せめて今一度会わせてやりたいの一点張りじゃ。男は身体の弱さを考えるとめるべきだと。後で必ず反動が出るだろうと。儂は坊の意見を聞くが良かろうと。

 三人で頑張った褒美はやっても良いかと言ったんじゃ。あの頑張りなら一等賞に輝くわ。




 褒美の話を詰めて時間を区切った。

 もし会えるとしても、あんまり遅くなってから会っても微妙じゃろ? 二十年、三十年経ってからでは、会えてもいまいちじゃろ〜? 



 区切る時は三年。

 その間に坊が心底願った時に一度だけ手を差し伸べると。その折りに、今一度喚んだあやつに会ってみんかと聞くとした。後は坊の返事によりけりじゃ。



 まー、覚えてないんじゃから会ってみんか?と聞くのも、これまた微妙な話じゃがな。

 しかし、褒美という名で祝いは決まった。三年過ぎれば無しじゃが、それはそれでいいじゃろ。この場に本人居らんし。




 これより坊の時間で三年間じゃ。

 願う事があるかどうかも不明じゃし、褒美を貰っとることも知らんのじゃから何もないかもしれん。

 しかしじゃ、叶えて貰えるとわかっているよりも、思いがけず願いが叶った方が喜びもひとしおじゃろ〜? 驚いた後に喜ぶ顔へ「え? ほんと? ほんとに叶った!?  うれし〜 」の方が叶えるにしてもええわ〜 後から後から願いを変えて欲の皮突っ張った望みは聞きたないわぁ。


 

 女は会わせてやりたいと思っておるから、気持ちは複雑じゃろうが変に手出しなんぞせんよ。自身の力も把握しておる女じゃ。なんとゆーても女の心の中ではあやつの方にちいっ〜〜とばっかし比重が片寄っておるのは間違いないが、まぁ… 最初の言動も坊へ祝いとは違っとったが…  なに、大丈夫じゃ。坊のこともちゃーんと好いておるでな。  


 三年の間に会えるとよいの。 ではの。





 儂、女の前で孫の話せんで良かったわ… いやもう時期が悪過ぎるわ〜




異世界渡航チケット付きの願い事叶えてあげるよ・お祝いでーす。有効期限は三年でーす。 

チケット使用は本人の意志にまかされまーす。 


覚醒に一歩踏み出した所で、かんばってこーいと送られたその2。

大変大きな力に刺激を受けて覚醒が始まった。逆説的に言えば、三人との接触が無ければ速やかな覚醒は無い。突き詰めるとアレな話。


年を経た男の思考で『え〜』と思う箇所がある方は、ご自身で適切思考に切り替えた上でお流し下さい。


次は閑話です。色々書き残してますので書いとかんと。



















では、クエスチョン。

年を経た男の孫は一体何をしていたのでしょう?


1 数種類の薬草に自分の魔力を込めて煎じていたら、煮詰まり過ぎたあげくみょ〜な反応を生み出し、異臭を発して容器の中でぼっといっちゃった。中味が周囲に勢いよく飛び散り容器もいっちゃって周りの機材がなだれて倒れた。  ←目指すは完全正統派の自分の魔力も使って調合精製可能なできる薬剤師。なろうと思っても、まずはなれない医薬界の最高峰。



2 取り扱いの難しい食材を煮込んでいたら、食材が熱膨張によって膨らんだところでヤバい感じに異臭を発した。慌てて火を消しに走り止めることは成功したが、ぼっといっちゃた。走った際に手に持っていた調理中の食材入りのボウルを台に置いたはいいが、勢いよくボウルが滑って他のもんに当たって時間差で違うもんがなだれて倒れた。  ←自分の舌には自信があるぜ。どんな食材でも最高に調理して食わせてやるぜ。ワイルドにして繊細な味付け、飾り付け。食わせる奴も選ぼうか? 数える星は八つ星、超天才料理人。



3 魔力式を数種類組み合わせる難易度の高い術に取り組んだが、上手くいかずに式と力が暴走した。抑える為に前もって準備しておいた魔具を使用したら、直後に強すぎる力の摩擦にぶち壊れたあげく摩擦で有り得ない異臭までも発生させた。抑えることには成功したので、ぼっで済んだが、ぼっがマズかった。室内の結界陣に使用したブツがなだれて倒れた。  ←使えない術なんて有りはしない。初めての術も一発成功。新たな術式も生み出せる、素養こそが最大の武器。素質こそが最強の罠。天才なんて言葉じゃ足りない、至高の魔導士。





ど〜れだ?













いや〜、つい書いたけどさ〜 今のところ孫の出番は予定してないんだ。 

予定のない奴で遊び書きするのもどうかと思ったが、予定してないから遊んでいいだろ〜と。それに後書きだからいいかと考えた。  


楽しく書いてみただけだから〜 正解は決めてないんだわ(笑)

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