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召喚  作者: 黒龍藤
第三章   道行き  友達に会いに行こう
118/239

118 先生の出番です!

   


 どーすればってぇ  迷っても〜〜  どーしようもございません〜。


 何の為に来たんだ、お前?ってな話になってしまうではないか! んだけどさ、本気でどーにかなったら儲け物の心でいました。いやー、リアルの前では甘く甘いスイートな子供の考えでしたねー。 

 

 ですが、その前提があっての話なんです! 


 まぁねー、そんなん言い続ける度胸もないですけどねー。そこばっか言ってるダメな人って居ると思います。もうちょっと経験積めば、あれこれそれと上手に切り捨てられる大人に〜  ほんとなれますかねぇ?

 こっちに来たんで正確なトコが不明になりましたが、俺はもう大人の仲間入りでしょ。向こうではギリでも何でも未成年なら法的に守られたはずですが、こっちではそーはいきませんしね。いかないから、あの結果が出たんですし。


 でも、そーですねぇ…  もしも此処でも『しょーねん法』ってのがあって、適応どーこー言われてたら、どーなってたんでしょーねぇぇええ? 本当にカワイソーなのは、だぁれ〜?みたいなあ? そんな状況なるんかな?  どっかを味方につけりゃ〜 それでok?



 はーん、うざ。








 ですから、ですから〜  目指せ! 大人のクールドライ!


 

 …なんか酒のCMみたい。クリアなナンちゃらとか付けたら、もっとそうみたい。頭脳って、入れよーとしたんだけどねえ?



 本当に下へ落ちる思考は要らね。しかし、持ってないクールさを演出しようとするのも無駄。この先の事を考えれば、こんな機会ないと思う。


 はい、予定通り。お医者さんごっこしましょう!




 しますが、実に残念なお話です。

 俺には根拠のない自信も根拠ある自信もない、ないない尽くし。


 …だいじょーぶ、これは痛いマイナス思考じゃない。財布の中味を確認してるよーなもん。少ないお金にがっかりしても、それが現実。把握したら、そっから出発。


 前向き、前向き、落ちる暇なし! 



 恐る恐るやるのは良くないでしょーが、わからない以上は仕方ない。ないとは思うが、タトゥーがいきなり襲ってきたり、移ったりしたら怖いじゃんかぁああああ! 人はどーでも、『俺』を認識して『戻る』になったら怖いだろーがっ!



 「触ります」


 まずは指先で、ちょん。


 ちょんちょんちょん。



 …見た目通りの、ぷにぷにとは無縁の腹です。


 突っついた指先見ても何ともない。ので、三本の指全体で赤黒い臍の部分に触れてみる。



 あったかいです。

 ロイズさん、生きてます。 あれ、表現がどーもおかしくなって。



 触れてるそこを押してみる。

 グイッと押すのは怖いんで、そうっとします。



 「………あの、腹に力入れてます?」

 「いえ、少し押されたのはわかりますが…  特に痛みは」



 ナチュラルに筋肉? すごいなー。


 すごいロイズさんの体には傷跡があります。無遠慮に痛そうだの可哀想だの言いません、思いません。栄光の傷跡なら可哀想なんて失礼でしょーが。何でやられてでできた傷かわかりませんが、新しくないです。治療の遅い早いも関係あるのかもしれません…  残る跡は残るんですね、普通に。  ま、勝利の傷でもうっかりボケの傷でも、傷は傷だしなー。



 俺の手も。

 


 …しまった。要らん思考、ポイ。ロイズさんに失礼だ。  集中。





 思い切って、手のひら全体使って触れてみる。ゆっくり撫で擦るよーに動かすが、薄れそーにはない。手のひらを確認しても赤いナニかは移ってない。 …すいません、ちょっと安心しました。


 手を見て、腹を見て。



 とりあえず、指先で赤の跡をなぞってみる。

 真剣に触れるか触れないかの柔らかタッチで、つつつつ〜〜〜〜〜っと。


 ロイズさんの体が部分的にピクピクする。

 普通にくすぐったいよーで、あっはっは。今度は先端から腹に向かって、つつつつつ〜〜〜〜〜っとね!


 

 …どーも腹に力を入れたな。これで力抜けって言ったら、どーなんだろ?  にゃーはーはー。 でもまぁ、指の動きに合わせて伸び縮みしなかった。 されても怖いけど!




 「何かわかる?」

 「さっぱり」


 腹見ながら、はっきり否定しといた。



 「そうですか」

 

 意外と言えば失礼だが、落ちた声で返事をくれたのは医務官のレフティさんだった。思わず顔を上げたら、視線は腹に固定されてた。



 その顔をじっと見る。


 この人は普段からこんな感じでしょうか? あれはわざとではありませんよね? あーゆー顔してるのは自覚してではありませんよね? 俺に良心の呵責と呼ばれるプレッシャーを与えようと画策してではありませんよね? そーゆー方向に思考が回っちゃう俺がダメダメなんですか?  それとも俺の神経が勝手に尖って、そーゆー方向に変換してるんでしょうか?


 セイルさんに言われるなら〜〜 違うんですけどね?



 俺…  疑い深くなってんなぁ。でも、恐怖はない。上がってもいないし、上がり症でもない。これは対人…  恐怖でないから、疑惑症?不審症?  はうっ! 人から嫌われそーなタイプになれます!  やーだな〜〜 縮こまる気ないですが〜〜 どーしてしつこく思考がぐるぐるしてんでしょか?


 痛い経験食らっても、安全地帯で落ち着いたはずなのに。




 しかし、俺の返事に目を閉ざしたロイズさんには拙いと思う。そんで順番間違えたと思う! お医者さんごっこもまともにできてません! 触診の前に問診でしょう!! 



 「あの、ロイズさん!  コレは… えー、クロさんに踏まれた跡だと聞きましたが、踏まれた直後からなってたんですか?」



 目を閉ざしたロイズさんはピクリともしませんが…  ゆっくり、目を開けてくれました。良かったです。


 ふんふん、そーですか。直後ではなく、ステラさんもご一緒に確認済みでしたか。そーだよな〜、テーブル設置してくれてたもんなー。


 

 「じゃあ、何時できたかわからない?」

 「……それは、  あなた様の事を考えていた時でした」


 「へ?」


 「前以て段取りを組むのが仕事でして…  どうすれば最適であるかと、よく考えます。あなた様の事も…  どの様な形であれば、人に疑念を抱かれずに済むのだろうかと考えました。職務の一環にあると判断しましたので…   そして突き詰める様に思案していた折り、腹部に突然激痛が走り…  気付けば…  これがありました」



 大きな声ではありません。所々で間が空きます。

 それでも掠れる様な小さな声ではなく、ちゃんと聞き取れました。俺を見る目は真っ直ぐでしたが、話す内に視線は下がり、目蓋が落ちて閉ざされました。 ……感情を出さないよーに、閉ざされたよーな気がします。


 ですが、聞いた事の方がショックです。なにそれと思います。

 仕事で俺を案じてくれた、それは有り難うございます。でーすーが〜、なんでソレで激痛走んの?  走るよーな事を考えたってコトでは?  …クロさんの攻撃は、始めから安堵した所を狙う時間差攻撃で正解?

 


 「段取りの他にも、行う事は多々ございますが…  あなた様に関する事は判断待ちを致します。内容にもよりけりですが…  この身の裁量に余る身勝手な判断は、 致しません。   それを行うは越権行為」



 「え… 」



 静か〜な… お声が俺をかっちんさせました。


 頭の中では考える。でも、決定権ないから実行する前には承認を貰う。でないと怒られる。だから、それはしない。  考えるだけでアウト? でも、職務上考える。考えないとアウト。え、じゃあ仕事どーやんの?


 ギギギッてな感じでハージェストを見る。



 「俺はやるなと伝えといた、伝え損ねてもいない。意味を理解しない、受け取れない、使えない者を兄さんが調法しているとは思わない」


 

 …三段階否定か、すごいな! やっぱ、ロイズさんはできる秘書さんなんだな!



 続いてセイルさんを見れば、腕組みしてヌルい顔で『あ〜〜』みたいな。



 「あのな、誰しも腹の中で思う事はあるだろう。それを不敬と戒めさせる方法もあるが… それでは仕事ができん馬鹿に、 あ〜   確実に差し障りが出る。第一、これにソレは求めておらんのでな」



 視線は戻って、ロイズさんへ。




 ロイズさんは…    どうやら本当にハズレ運の持ち主っぽい。真実、誤解… なのかもわからんなったが、仕事でちょっと考えただけでこーゆー目に遭うってのは…   上手にハズレを引き当てる人?





 ちろりーとレフティさんを見て、これから先を考え 『えいっ!』 とな!


 

 「着替える」

 「あ、」


 ハージェストの返事を待たずに部屋の隅へgo!   へい、にゃんぐるみぃ!!







 「にゃあん」


 揺らす尻尾も可愛く、ラブリーキャッツの登場です!



 ととととっとレフティさんの元へ行く。ちび猫は、上目遣いから攻めるのだ!  …身長差あり過ぎで意味なさげー。



 しかし、口を開けて固まるレフティさんは間抜け面だ。その間抜け面は皆の意見を反映している。でも、それは後。



 「にゃあんっ!」


 ベッドに向かって、目測して〜〜  たたたたんっで、   ひとっ飛び!



 「ぎにゃーーーーーん(たぁすけるぅう)!」

 「あ。 はいはい、大丈夫」

 


 ぽすっ。


 ちび猫、自力でベッドに上がれませんでした。しくしく、しくしく。 絶対イケると思ったのにー! 踏み切りが早かったかあ!











 さ、腹を見せなさい。ちび猫先生の診察のお時間ですよ。


 キリッと猫手でエアーな眼鏡を押し上げる。 そこ!猫の顔洗いと同じとか言わない! ……この中で伊達眼鏡が似合いそーなのはロイズさんか? まぁいい、始めるか。


 にゃんこアイズ、さーち!




 気分の盛り上げに言ってみただけだが…   集中すれば本当に見えた。見え始めた。人の時は見えなかったものが、猫の時には見え始める…    やっぱこっちでは見えるんかい! なんて残念さ… くぅっ  いや、集中だ!



 赤の中にキラキラ光る粒がある。

 見覚えのある光の粒子が腹一面に散っている。人体で映像美ですよ!  すごいなー、綺麗。 じゃねえよ。


 そこを、んじぃぃいいい〜〜と見つめる。赤黒い、中心の黒。違う、その黒の中のもっと中心。大きくない、むしろ小さい。小さく点々と見えるこのカタチ、この跡は!


 間違いない!

 これは肉球押し(テガタ)です。 クロさんの肉球衝撃(にゃんぺっち)です!




 間違いなくロイズさんは、ぺちされてます。このぺちをどーにかすれば良いんですよ!


 ……その方法がわかりません。

 わからないので、ちび猫先生は思い付くままに行動してみましょう。


 まずはロイズさんにべったりします。俺の猫っ腹をロイズさんの脇腹にべったりとくっつけます。この素晴らしいにゃんぐるみの毛並みを腹で堪能するが良い。くすぐったくもないだろー? 


 その間に、ちび猫先生は猫手をあげて〜 振りおろす〜。


 へい!



 ぺっち、ぺっち、ぺっち、ぺっち、ぺっち、ぺすっ!




 …………最後手加減したから音がイマイチでした。もう一回してみましょう。




 ぺっち、ぺっち、ぺっち、ぺっち、ぺっち、ぺっち、ぺちんっ!




 今度は良い音が鳴りました。

 さすが太鼓腹です!  あれ? 違う、えーとえーと…  あれだ、あれ!腹鼓だ! いや〜、実に張りのあるぷにぷにとは無縁な腹ですな〜〜あ。今度は両手でしてみましょうか。



 「にゃーん」


 「……あのさ、聞いて良い?」

 「にゃ?」


 「べったり引っ付かなくても良いんじゃない?」

 「んにゃ?」



 待て、ハージェスト! ロイズさんの腹の上に乗れと言ってるのか!?  えー…   さすがにちょい怖いんだけど〜。だって、胸の方に座ったらあの蔦の先に触れるだろー? 腹の真ん中、臍に座ったら見え辛いしー。見えるよーに下へ座ったら、俺のにゃん尻がパンツ一丁のロイズさんのナニとモロに接触するじゃねーか。やだよ、それ。接触するなら猫足でナニを踏むって、そん時は爪を立てないよーに気を付けるけどさあ。  ……ナニを猫爪で蹴ったら、まじでヤバくて自分でも怖いな。


 他〜 他のやり方は〜〜   猫爪で赤の跡をなぞってみるとかあ〜? 手形のトコを猫爪で、ぷすうって刺してみたりとかあ〜? 


 この爪、実用してるんだよなー。さっきも、しがみついて活用したろ? ちょっとした流血沙汰は普通にできるんだって。先日、キラキラで研ぎしたよーなもんじゃない?

 ん〜、皮膚は裂ける。裂けて血が出る。でもそれで、あの蔦も一緒に裂けると思うか? 裂けたとして枯死するん? 分裂して生きてかない?  き、寄生植物… とは違うだろーけどさ、似たよーな気がしない〜?




 「……にゃあん」

 「えー」


 気にすんな。さ、続きしよ。つ・づ・き。




 にゃーんぺっち、にゃんぺっち、にゃんにゃんにゃんにゃん! ぺちぺちぺちぺち、ぺーちぺちっ。




 「うーむ、猫がこんな姿勢を取れるとは知らなかったな」

 「普通は無理ですって」


 「猫に腹を叩かれるかー。ふーん…  見ない構図だな」

 「下着姿で寝転がった大の男が、子猫に平手打ちされてる構図ですか? やだなぁ、そんなの普通に見ませんって」



 「……… 」


 何か言いたそうでも、何も言わない医務官が居た。




 「しかしだな、押された腹を猫手で叩けばどうにかなるのか?」

 「さぁ? 楽しそうだから良いんじゃないかと。  でも、あんなに張り付かなくてもいーと思うのになー」


 「お前がして欲しいだけだろ?」

 「そうですねー、俺だってやって貰ってないってのにさーあ」

 

 「…おい」

 「はい?」



 続く兄弟の会話に静かに耳を傾ける医務官は、受け止め難い現実をどう受け止めるか心の中で唸っていた。







 いえーい!


 猫リズムにノッて機嫌良く腹ドラムを叩いてたら、煌めきが増した。増量した。 …活性化したよーな感じします。全く消えそーにないです。 ……これは黙っていてイイもんでしょうか? それとも、馬鹿正直に話してがっかりさせる方が良いでしょうか?



 考えます、考えます、考えます。

 もっと考えまして、考えたちび猫先生は思い付きました!



 そうです、キラキラかピカピカに頼んでみましょう! きっと、そこら辺に浮遊してるはずですから! ……ふゆーれーとかじゃない、きっと違う。違う違うちーがーう〜〜〜〜〜っと。 よし!  んじゃ、にゃんさーちで〜〜  



  ぎゃーーーーーーーーーーっ!!!




 「うにゃあああああああああんっ!!」



 「どうした!?」

 「何だ!?」


 キツくキツく目を瞑る。浮遊感に襲われたが、直ぐ固定物に接触しました。べったりと引っ付きます。猫手で、ひしっと掻き付きます。



 「何? 何があった?」



 そこは、ハージェストの無い胸でした。

 両手でしっかり抱き抱えてくれてるんで落っこちませんが、服に爪を立ててしがみつきます。猫頭をグリグリ服に押し付けます。



 「何?  ね、大丈夫?」



 黙ったまま猫頭グリグリしてたら、手がにゃんぐるみの毛皮を上から下へと行き来した。ゆっくりペースで上から下へ。 落ち着きます。 上下に強くやられると、吐けって感じで最低ですよね。




 …………はあああ、目が潰れるかと思った。



 「どうしたんだ、一体?」




 セイルさんのお声に、そーっとそーっと振り向きます。 ……大丈夫ですね。




 「本当にどうしたの?」

 「に、ぁ〜〜〜」



 いやもう、ほんとに驚いた。最初はそんな事なかったんです。探そうと思った瞬間に、こう、びっかーーーん!と。キラキラピカピカなんて生温い。高出力ですよ!!


 今は用心を念頭において、猫目を絞ってるから大丈夫ですが…  セイルさん…   開いた口が塞がらない位、光ってます。綺麗です、綺麗です、綺麗です! セイルさんは輝ける光の人です!



 綺麗な光に見惚れます。これに見惚れずに、何時見惚れるんですかい!


 きっと、これが魔力の総量とか質とかを指すんでしょう。普通に考えたら、そーなりますもんね。あれ?   ……セイルさん、普段から適当に制御ってか抑制してるって言わんかった? それで、コレなんか!



 ため息出るわ〜。は〜〜〜〜   コレで自信無いなんて言ったら嘘だよ、謙遜か弄りだよ。


 

 「ほんと、大丈夫?」

 「に」


 抱き直してくれるハージェストを見上げた、ら。



 悲しいコトに、光ってるかどーかもよくわかりません。ので、綺麗かどーかも不明です。


 ロイズさんを見れば、全体うっすら光ってるんですが……  赤黒さが勝ってるんで何とも言えない。レフティさんはと見れば、そこそこに光ってます。そこそこに綺麗です。



 セイルさん見ちゃったら、もーどれ見てもそこそこか、それ以下じゃね? 基準間違った感じぃ〜  あーあ。




 それでも俺を支える手と体。

 これを光感度を上げて、じーーーーーーっと見た。


 ちょっとだけ、キラリ〜ンと光るのが見えた!



 見えた見えた見えました! セイルさんと似てる感じです! 似たよーな綺麗さだと思います! この綺麗さは絶対魔質! 家族で互換性がある、だから魔力に慣れようを頼める。うん、これで実感できた。かあ〜〜〜〜〜!



 でも、セイルジウスさんの方がね? だってねえ?







 あ、いかん。ロイズさん!

 そうだ! キラキラかピカピカを探さねば!!


 「に〜あ」

 「え? 窓?  窓の外?」



 不思議そうな顔のハージェストに、早く行ってくれ〜とお願いする。スッと動いて窓辺へ行く。うん、ちゃんと聞こえてる。理解してくれてる。わかってくれる相手が居るって良い。


 話が通じないってのは、本当に痛い。基本、動物は皆そーだけどさ〜  俺は人ですから! にゃんぐるみ着て、完璧な猫やってるだけの人ですから!



 ハージェストの腕の中から、窓の外を見て探す。


 探す、探す、探す。

 目を皿のよーにして真剣に探す、んだが…  全く見当たりません。どーしてでしょう?  さっきので目が痛かったから…  まだ目が眩んでるとか?  にゃんさーちがonになってない?


 

 「何か探してる?」


 ハージェストに視線を移しても、痛くもなんともない。腕から身を乗り出して後ろをちらり。




 見た。


 …そーですか、セイルさん。


 セイルさんの近くには、キラキラもピカピカも存在しないんですね?  なんつっても! セイルさんが光の人ですもんねーーーーーーっ!!   ぜ・ん・ぶ! セイルさんが吸収してんでしょーーーーー!! 吸収してなくても近寄らせてない!?  吸い寄せてないですかーーーっ!?



 セイルさん、自動制御装置オートメーション体内に置いてるでしょ? 絶対、そーでしょーーー!  適当な抑制とか、そーゆーので自然にやってんでしょーーー!  確証なんてないけど、そーゆー風に思えるんですよ!! 


 は、ダメだこりゃ。セイルさんの守備範囲が不明過ぎて、探すだけ無駄っぽい。やーめた。 ……セイルさんから貰うのもアリだろーけど、できるかどーかわからんし、無意識にやってるなら無意識にボコられそーで嫌だ。


 怖くてやだ。そう、やり方もわからんモノは無理しない。やるなら落ち着いて話してゆったりと。


 背水の陣とかその場の勢いとか、チラッと掠めますが〜〜 流しましょう。流れてしまえ、俺は倒れたくない。  床は…  床は寒かった…!   頑張っても頑張っても目の前だとゆーのに起き上がれず、目の前過ぎて口惜しく! でもその内、疲れて動けんなったー。 はぁ。





 うんにゃ、切り替えだ。

 凭れて楽な姿勢で考えよう!


 他に、ちび猫先生が取れる方法はですねぇ〜〜〜。






 「にあ」

 「ん? 戻る?」


 「にあ〜ん」

 「戻って降りる?  もう窓の外は良い?」



 再びベッドに、ぽすんとね! ハージェスト、ありがとな。


 「いや、何もしてないよ」

 「な〜あ」







 さて、ロイズさん。

 ちび猫先生による診断をお話しましょう。落ち着いて、聞いて下さい。


 そのお腹の痣は、にゃんぺっちで間違いありません。しかし残念ながら、ちび猫先生にはあなたの処置はできません。手の施し様がございません、加えて紹介状もお出しできません。


 あ、手遅れとは違います! 早まらないで下さい!!  …えー、言い直しますと〜〜    にゃは、ちび猫先生はごっこ先生ですから。見習いにも該当しませんから。



 む〜りむり、む〜りむり♪ ごっこのせんせー、む〜りです♪ でも診断までが〜 ごっこです〜〜〜♪  






 ん、全部見た。俺は俺なりにできる事をした。

 その結果は最良にもナンにも届かないモノだけど、最初から無意味とわかってても、俺なりにやったよ。だから、少しは、聞いて貰えるんじゃないかと思う。



 あの人は、最初から投げる事を疎んじてた。


 クロさんは、あの人がくれた。




 だから、行動でみせないと。お願いには行動を伴わないと。





 ……感傷は、あっちあっち。楽しんだしね。俺の事は後。







 それでは、お呼び出しのお時間です。




 へい! まいるーむ、かもーーーん! 


 ちび猫先生の手に負えない事は、大先生であるクロ先生にお願いするのです!



 先生、出番ですよーー!!





  


そうだ、分割してしまおう!そうしよう! 




あ、それと不要かと思いつつ国語辞典を。


調法 = 重宝 です。


便利の方の意を取ったものですが、『宝』の字を当て嵌めるよーりーは〜っと  字遊び選択です。




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