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第五話


立ち上がったその男子は先ほどまで彰先輩達が立っていた前に行く。

さほど目立つ容姿ではないけど、育ちが良さそう…なんか、いいとこのお坊ちゃん。そんな感じ。

「俺から、始めるね。えーと、経済学部経営学科の名塚拓海です。あまり役には立たないかもしれませんが、頑張ります。じゃあ、次の人。」

名塚君(名前で呼ばなきゃだから拓海君かな…)は名塚君が座っていた席の後ろに座る人を見た。

えっ!超かわいい!

色素の薄い色をしたサラサラの髪に、パッチリ大きい目に、女子顔負けな整った顔…の男子。

私より絶対かわいい!

かわいい男子は私のターゲット外だけどかわいい!

テンションの上がる私を見て、友里恵と綾子は顔を見合わせてるけど気にしない。

「理工学部機械工業学科の指原湊です。よろしくね♪」

ニッコリ笑うその顔は、思わず彼の性別を忘れてしまいそうな程。

湊君と代わって、今度は女子が立つ。

艶のある黒髪で顎の辺りで綺麗に切りそろえているおかっぱ頭。だけど妙にそれが似合ってる。

日本人形みたいな感じ。

「望月美由紀です☆文学部史学科です。趣味っていうのとも違うけど〜イケメンが並んでるとテンション上がりますv!」

私と同じイケメン好き?

いや、この言葉の裏には何かありそうな気もするけど……

「木藤潤、理工学部化学学科です。このサークルには大して興味はありませんでしたが、先輩方に強引に誘われたのと、何かを企画してそれを実行するというプロセスは僕の今後にとても役に立つと思ったので入ることにしました、よろしく。」

私の思考は木藤潤のせいで遮られた。

それはいい。それはいいんだけど、なんかこいつ腹立つ!なんか偉そう何だけど!?

櫻井幸也とはまた別の腹立たしさ…!

「んーと、桐谷芽依です♪家政学部の食物栄養科でーす。早くみんなと仲良くなれたらいいなって思います!」

やっと普通の人のターンに戻った…と思いきや、最後のにっこりは明らかに櫻井幸也に対するもの。

趣味が悪い…。

櫻井幸也はといえばその視線は前に立つ芽依に注がれず、窓の外に向けられていた。

が、ふっとこちらを見たので思わず目が合ってしまい、慌てて私は前を向く。

「高山郁恵です。学部も学科も芽依と同じです。よろしく〜」

「千葉愛美です!私も二人と同じ学部学科です!好きなのはジャニーズですv」

今時、と評するのが一番な茶髪でメイクバッチリな二人が芽依に続いて自己紹介をしだした。

「平川真子でーす。社会学部の福祉学科です。お願いしま〜す。」

のんびりと、先程のお菓子少女が言う。やっと名前がわかった。

次に立ち上がったのは、いかにも気の弱そうな細身の男の子。

「せ、瀬川…陽太、です。文学部日本文学科です…よ、よろしくお願い、します。」

こちらの方が大丈夫なのかと心配になるようないで立ち……。

ほんとに大丈夫かな…

「経済学部経済学科の山辺武です。頑張るんで、よろしく。」

確かこの人、櫻井幸也とよく一緒にいる……でも、櫻井幸也よりずっと性格の良さそうな人だ。

「武と同じ、経済学部経済学科の櫻井幸也です。」

櫻井幸也が前に立った時、空気が変わった気がした。

オーラがある。人を引きつける。まるで、彰先輩のような。

その証拠に、今まで教室のあちらこちらを見ていた人達も櫻井幸也に視線を注いでいる。

私の周り、半径一メートルはまた違った意味で空気が変わったけど。

なんかやっぱり腹立つわ!理由なんてないけど!

悔しいほど、イケメンすぎる。顔だけなら私の中ではどストライク。けどっ!やっぱり性格って大事よね!

「高校の頃から先輩に誘われてたんで、入ってみました。これから、よろしく。」

うん、愛想もあまりないね。彰先輩みたいな悩殺級の笑顔でなくても、普通そこならはにかみ笑いくらい浮かべるでしょう。

いろいろ文句を付けながらブツブツ心の中で言っていたら、綾子に肩を叩かれた。

「次、華音だよ。」

「え!?あ、うん。」

いつの間にか綾子と友里恵も自己紹介を終えたらしく、私は慌てて前に出る。

「経済学部経済学科の島村華音です。難しい方の『はな』に『おと』で『かのん』です。一生懸命やるんでお願いしま〜す!」

華音って名前…気に入ってはいるんだけど、どうも私の外見にマッチしてない。

なんてことは今はいいか。

最後に残った一人は、櫻井幸也とはまた違った意味でオーラがあった。

いや、オーラというよりは威圧感?

短髪の金髪に吊り目で、目つきが悪くて耳にいくつもピアスつけてて。

チャラいんじゃなくて、恐い。

「長田貴広。理工学部建築学科。」

それだけ言うと、さっさと席に着いてしまった。やる気がないのか、なんなのか。

でも、こういう実行委員会に入ろうとするなら、もしかしたら見た目ほど悪い人じゃない…かもしれない。

けど、私達のほとんどの人は少し恐れる物を見る目で彼を見ていた。

「よし、じゃあこれで自己紹介は終わりだね。」

不安な空気の中、彰先輩はにっこりと微笑んで立ち上がった。

やっぱり、先輩を見ると目が落ち着く。

「今日はここまでにして。明後日に新入生歓迎会があるから、五限終わったらこの特別棟の前に集合してね。じゃ、解散!」


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