本編 2012年10月8日
お久しぶりです。
戦闘機の更新内容は全くの想像ですのでご容赦を。
また途中まで英語ですが途中から日本語に戻ってます。これは別にめんどくさかったからではありません。
ではどうぞ。
2012年10月8日 AM10:15 航空自衛隊嘉手納基地
海上自衛隊の大量艦艇進水・就役の次の日、航空自衛隊の嘉手納基地では、40機余りの新型国産戦闘機、F-3「心神」が納入されようとしていた。
もともと米軍基地であった嘉手納基地は、赤城が首相になった後すぐに行われた国会で集団的自衛権を認める旨と、自衛隊の増強を開始することを発表した直後、突然の米国国防省の会見で返還が発表された基地である。ちなみにこの時発表された返還基地は嘉手納のほかに、横須賀、那覇、厚木、横田、普天間がある。これら在日米軍主要基地の返還は、これから短期間での日本からの撤退を否が応でも考えられる内容であった。
・・・・・だが、飛行場を増やしても、日本の戦闘機は総数でも400に届かない。なのでこれを機に戦闘機を増やしてしまおうとする風潮が広まった。
そこで、前々から計画されていたF-XやF-XXの選定に急務がおかれたのであるが、F-Xの対象となるユーロファイターやF-35はF-4EJの耐用時間的問題から全却下され、F-2A/Bの緊急生産で乗り切ることに決定した。またF-15J/DJの後継を選定するF-XXでは近隣諸国の第5世代戦闘機の大量配備に影響され、日本でも第5世代戦闘機を導入しようとする動きもあったが、アメリカは依然としてF-22の輸出を拒んでいた。すると自然に日本が取るべき選択肢は1つにかたまっていき、最終的には先進技術実証機であるATD-X「心神」を戦闘機として開発することになったのだ。そのため、これまでチビチビと研究・開発しかできなかったATD-X転じてF-XX研究チームに、優先的に多額の開発費用が投入され、本格開発開始からわずか1年で、量産可能機にまで仕上げた、第5.5世代戦闘機XF-3「心神」が完成したのであった。
それから3カ月。
「来たぞ!!」
滑走路の脇で待機する航空訓練を終了したばかりのパイロット、約50人の内の1人が空を指差す。皆もつられてそちらを向くと、ジェットエンジンの轟音とともに、戦闘機の編隊が西からとんでくるのが見えた。
飛んでいる戦闘機はF-3甲1型・2型要撃制空戦闘機が計40機。念願の純国産戦闘機である。
甲は航空自衛隊機を表し、1型は単座、2型は複座を表している。
ATD-Xのころより2回りほど全長が大きくなっているが、全体的にF-22などよりも小型である。
だが、胴体内部にあるウェポン・ベイはF-22Aの約1.5倍相当に達し、F-15Eストライクイーグルと同程度の対地爆撃能力も有する。
さらにステルス性能・機動性能は両方ともF-22を凌駕し、特に機動性能では第二次大戦時中の零戦と真面目にドッグファイトができるほど。(あくまで理論上だが)
戦闘行動半径は、これまでの日本が保有する戦闘機より大幅に向上し、最大で中国の南京にまで侵攻することができる。
また戦闘機を開発する際必ずもめるエンジンはこれも純国産エンジン三菱RF-1000(推力15t)を使用し、これでアメリカに頼る部品が全くなくなった。
また今回納入される機体はF-15Jの後継などではなく、純粋な配備増に向けた戦闘機である
そうこうする内に40機のF-3は次々に滑走路へ近づき、着陸していく。
真黒に塗装されていながら、どこか輝きがあるその機体は、滑走路を500m進んだだけで停止した。短距離離着陸能力も付与されているのである。
今回嘉手納基地に配備された40機は高等練習機での訓練を終了したものに与えられる機体であるが、まだ実戦配備なわけではなく、機種転換訓練機や初任機訓練機である。だがその訓練に合格し卒業した訓練生には、実戦での操縦任務が与えられ、晴れて実戦配備の機体として嘉手納基地におかれることのなるのだ。
だから“少なくとも”実戦で活躍するまで1年はかかるのであった。
そんな初任機訓練生の中、1人の青年がF-3を見上げていた。
「これが俺達の機体か・・・。」
遠藤拓真。
先月練習生を卒業した3等空尉である。
航空自衛隊では(どこの国でもそうだが)漫画のように、1人1人に戦闘機が割り当てられているわけではなく、その日によって違う機体を使用している。もっとも、機付員(機体1つ1つに配置される整備士)は自分専用の整備機体があるが・・・。
だから“俺達の”なのである。
全機のF-3甲1型/2型が着陸すると、コックピットから納入のためにここまで操縦してきた三菱重工の社員が降りてきた。
この戦闘機を操縦できる社員はもともと航空自衛隊のパイロットだったんだとか・・・。
社員が滑走路に一列に並ぶと、訓練生は一斉に敬礼。
社員もきっちりした航空自衛隊の敬礼を返してくれた。やっぱり空自出身なのだろう。
彼らも航空自衛隊初の純国産戦闘機に乗ることができてうれしいのだろうか。配備されるだけで十分うれしいと思うが。
それから30分後、基地の中で話をしていたらしい社員たちは、迎えに来た本社のバスで、帰って行った。
明日からは厳しい実機による訓練が始まる。
絶対に脱落せずに実戦任務に就こう。そう改めて思う拓真だった。
同日 PM2:15 海上自衛隊厚木航空基地
航空自衛隊にF-3甲1型/2型「心神」の納入が終わった日の午後、約1カ月前に陸上訓練を終了した海上自衛隊の原子力空母「赤城」の第1空母戦闘航空団艦載機、F-3乙1型/2型/1E型「零」の最終着艦訓練が開始されようとしていた。
海上自衛隊の戦力を大きくさせたい意向を上層部が持っていたため、航空自衛隊より早く純国産戦闘機の配備が終了していたのである。単年度予算の戦闘機調達用予算の中に1度に600機分の予算が入れられているのだというのだからすごい。まあ裏でのお金の動きもあるのだろうが。そうでなければ今年度の予算は去年度の2倍以上になる。その半分が防衛関係の予算になって。
さて、最終訓練は洋上に待機する「赤城」と厚木基地の中間点に戦闘訓練空域を設定し、あらかじめ組んだペアでの2対2の戦闘訓練をしてからの着艦訓練である。
この訓練が終了すれば、パイロットたちは正式に海上自衛隊の戦闘機乗りとして赤城に配属されるのでみな少し緊張気味だ。。
そして訓練開始時刻になると、厚木基地の2438mの滑走路をほとんど使わず次々と洋上迷彩を施されたF-3戦闘機が離陸していく。航空自衛隊は真黒な塗装だったが、区別のためF-2とほぼ同色である。
53機のF-3と20機のF-35CJ、15機のF-2B改全てが離陸すると、先ほどまで三菱RF-1000のエンジン音に包まれていた厚木基地には静寂が戻り、時折離着陸するヘリコプターの音だけが聞こえていた。
同日 PM2:50 浦賀水道上空
『This is F-3 01. Fight on!!(こちらF-3、01号機。教練戦闘開始!!)』
『02 roger. Target α left 250. 700m! (02号機、了解。目標α、左250°距離700。)』
『01 roger. Target rock on. Fox1 AAM-5 fire!! (01号機、了解。目標ロックオン。フォックス1、AAM-5、発射!!)』
機内のウェポン・ベイに収納されたAAM-5(04式空対空誘導弾)が射出され、敵機役のF-3、03号機にまっすぐ飛んでいく・・・・という電気信号が03号機に送られる。もちろん信号だけであって実弾は発射していない。今頃03号機ではロックアラートが鳴り響いているだろう。
『AAM-5…….Target α kill!! ….Target β back 0!! 200m!! (AAM-5・・・目標α撃墜!! ・・・目標β、後ろ0°!! 距離200m!!)やばい! 後ろを取られた!!』
とたんにヘルメットからロックアラートが鳴り響き急上昇に転じる。ほぼ0距離移動で145°の急旋回をかけ、一気に04号機の後ろに回り込む。推力偏向パドルを装備するF-3でないとできない芸当だ。だが相手も同じ機体と同じぐらいの技量を持ち合わせているため、なかなかロックができない。すれ違いざまに20mmバルカン砲も撃った(もちろん電気信号)が撃墜に至らない。そして04号機は、後ろに01号機を貼りつかせたまま、急降下し、01号機の真下で1回転して01号機の真後ろに再び貼りつく。そして01号機のパイロットがしまったと思う間もなく、01号機は04号機の20mmバルカン砲によって撃墜判定が下された。
このような訓練を3、4ラウンドほど繰り返し、次に空母赤城への着艦訓練に移る。
『赤城へ。こちらF-3、01号機。着艦申請を行う。』
『F-3、01号機へ。こちら赤城。着艦許可を与える。方位080から角度30で侵入を開始せよ。風が少し強い。気をつけろ。』
『了解。方位080、高度800から角度30で侵入。』
キイィィィ―――――ン
空母との相対速度に気をつけながらゆっくり(実際にはマッハ0.7位だが)降下する。下に降りるごとに原子力空母赤城の広い飛行甲板が目の前に広がる。高尾型や日向型の2倍以上はあるのだから当たり前だが。
残り10mをきると、一気にエンジン出力を抑える。すると数秒後に車輪が甲板に接地する振動が機体を揺さぶり、機体下部に装備された強制停止用のフックが飛行甲板に展開されたワイヤーに引っ掛かる。そして機体は完全に停止した。
『機体チェック。・・・安全確認よし。』
最後にそういうとキャノピーを開放し、ヘルメットを脱ぐ。梯子を使わずに機体から飛び降りると01号機のパイロット、如月雄太2等海尉は艦右舷のエレベーターに運ばれていく自分が乗っていたF-3を眺めながら、続々と降りてくる戦闘機を見つめる。全部で90機にも及ぶ戦闘機を全部着艦させるには少なくともまだ30分はかかるだろう。
ふと今着艦体勢に入った1機のF-3を見据える。
04号機。
先ほどの戦闘訓練で完敗した相手だ。数分で着艦を終えると中からパイロットが出てくる。
ヘルメットを脱いで現れたのは黒く長い髪を持つ女性海上自衛官だった。
ちなみに結構な美人である。
あとで話しかけてみようと考えながら、航空要員作戦室へと向かった。
作戦室から出た雄太は説明された任務を頭で整理しながら、今後のことを考えていた。
明日から海上自衛隊の全艦艇が日本海に集まって11月中旬に行われる観艦式の予行演習が行われることになっている。そのため約1カ月は陸へ戻れないのだが、別にそれはいい。
そのあとに言われた中国の様子だが、アジア初の空母習得を目指していた中国は本当に突然就役した日本の世界最大の空母4隻を目の当たりにして怒り狂っているそうだ。その中国国内では地下ドックで2隻に大型空母を建造していると考えられているが、どちらも米軍にさえ匹敵するものではなく、そこそこの威容になると思われている。
そこへ中国間近の日本海に海上自衛隊の全艦艇(輸送艦等含む)が集まるのだから、もしかしたら戦闘が起こるかも知れないのだ。そこでなんと政府はその可能性を踏まえ、全艦艇に使用制限ぎりぎりの量のミサイル、弾薬を積み込み、演習を行うことを許可したのだ。
ほとんど戦場に派遣されるようなものである。もしかしたら政府はその偶発的な戦闘を望んでいるのかも知れない。観艦式は太平洋で行われるのだから、日本海で行う意味が全くないからだ。
まあ物騒なことは考えないでおこう。今回は初めて戦艦や空母が登場する観艦式なのだから、絶対に成功させなければ。と自分に言い聞かせ、雄太は航空要員居住区画へ向かった。
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