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平成日中戦争 ~日本のみらい~  作者: カトタク
停戦〜本格戦争準備編
19/19

本編 2012年10月20日~11月21日

2012年10月20日

「帰港した艦艇から順に補給を済ませ、再出撃の用意を整えています」

「弾薬の在庫はどの程度残っている?」

「今年度の防衛予算で大量に納入しましたので弾薬類は心配ありません。また建造中の強襲揚陸艦に搭載するAV-7『震電』も低率初期生産を開始しています。2014年には配備が完了するでしょう」

「ある程度の準備は整ったということか」

「はい。あとは訓練を重ねて完熟させればいいだけです。それと現在の陸自の配備状況がこちらの資料に示されています。海兵隊の創設についてもその資料の中にあります」

「創設は可能なのか」

「はい。憲法改正が大前提ですが。海兵隊は海外での武力行使が任務の大半ですからね。それさえ解決できれば陸海空や民間軍事会社(PMC)から人員を引き抜いて2万人ほどの戦力を整えることができます」

「わかった。憲法改正案は内閣からの提出で国会の議題にあげてもらう」

「・・・では計画を始動させてもよろしいですね?」

「ああ。存分にやってくれ」



憲法修正第9条草案

一項:日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、これを永久に放棄する。ただし、他国からの理不尽な侵略、攻撃、及び我が国の威信を損なう侮辱を受けた場合、即時に前文を撤回し、国民は必要に応じたあらゆる対抗手段をとることに協力することを義務とする。

二項:前項の目的を達するため、日本国は常時国土の安全を確保できる員数を揃えた陸海空国防軍、及びそれらを円滑に行動させるために必要なあらゆる組織、及び戦力を保有する。



『ついに憲法改正!! 国民投票は2日後に』

『核武装も視野に入れた改正か?』

『自衛隊の国軍改編は決定的に』

翌日の新聞は大手・地方問わずこのような見出しとなった。



結果的に憲法修正はつつがなく、比較的円滑に進んだ。

平和主義、原則的専守防衛は残すことになったが、これによって日本は主権維持のためのほぼすべての行動を許されることになった。明日の0時丁度をもって施行される国防法とともに自衛隊は陸上国防軍(JGDF)海上国防軍(JMDF)航空国防軍(JADF)と改称され、駐屯地、基地に訂正された看板が立ちあがるだろう。各種装備への書き直しも急ピッチで進められている。ただ、これまでの呼称で変わるのは自衛隊という組織名だけであり、階級や兵科の呼称はそのままということが決まっている。

そして新しく組織されたものもある。日本国警戒強襲軍(JEAF)サイバー空間防衛隊(SSDF)だ。前者は他国で言う海兵隊のことで、国会の承認の必要なしに動かすことのできる唯一の戦力である。新造された7万トン級の強襲揚陸艦を海軍に配備することで余剰となった『おおすみ』改型輸送艦を3隻、航空機を200以上、護衛駆逐艦4隻、各種戦闘車両、2012年現在総員1万4000人を保有する軍事組織である。いずれも陸自、空自、海自の募集人数を大幅に増やし、養成した隊員を引き抜いて構成させているため、錬度も申し分ない。今後4万人規模にまで拡大する計画である。後者はその名のとおり、ネットワーク空間での攻撃から機密情報及び国民情報の保護を守るために設立された部隊である。スーパーコンピュータ『垓』を中核に、1000人規模の情報技官で構成されている。ハッカーやクラッカーとして起訴、懲役刑を受けていた者たちも雇用され、防衛に役立てるとともに、次世代のハッカーを養成することに取り組んでいる。またコンピュータウイルスの開発も行われ、北朝鮮の拉致被害者捜索の名で臨床試験を始めている。


だがそれらの組織改変、憲法改正によって国内ではとんでもない事態に発展していた。


憲法改正翌日 2012年11月21日―――

防衛省地下NCCS中央管制室

今現在、この部屋は赤い非常用照明が輝く戦場へと一変していた。

『沖縄県警021から沖縄本部へ、県庁前大規模デモ隊が接近!! 暴動です!!』

『本日はどこにもデモの許可は出されていない。無許可である。直ちに県庁到達を阻止せよ』

『現在本部より機動隊が出動!! 各員乱闘準備!!』

非常時に警察無線なども統括して管理できるおなじみのこの施設だが、今は半年前とは別の状況に騒然としていた。

『航空国防軍普天間基地よりNCCS。デモ隊が営門を突破!! 基地内が占拠されます!!』

「何をしている!! 非殺傷兵器を使用を許可、ヘリ及び装甲車にて追い払え!!」

『既に建物内に侵入しています!! くそ!! なんて奴らだ!! 総員退避!!』

「緊急措置として全航空機を岩国へ回せ!! 基地要員は全て搭乗、基地機能は放棄する!!」

「補佐官!! 沖縄各陸軍駐屯地からも緊急電です!!」

「・・・どうなっている!?」

「敵は国民か!? それとも在日外国人か!?」

「攻撃許可は下ろせない!! 装備防衛の限られた範囲のみでしか攻撃は許されない!!」

「これでは・・・国家防衛どころではなくなる・・・!!」

便宜的に敵勢力に占拠されたとみなした基地は沖縄を中心に増えるばかりだ。中央にあるモニターでは占拠された沖縄の基地、駐屯地が赤く表示されている。また一つ増えた。

「・・・一時的に沖縄県の防衛を放棄、全部隊に本土へ撤退を命令しろ」

「総理!?」

衝撃的なことを命令しながら入室したのは内閣総理大臣、赤城だった。

「しかし、それでは一瞬のうちに中国に占拠されてしまいます!!」

「・・・一度国民は理解した方がいい。軍が無ければ国家がどうなるのかということをな。3日後、沖縄を非武装地域とすることを発表する。この際だ。在日外国人は全て沖縄県へ強制移住、左翼主義は自主的に移動するだろう」

「しかしそれでは・・・」

「それでいい。俺はこの国を立ち直らせるためなら独裁者だろうとなんだろうとなってやる」


三日後・・・

「今回会見を開いたのはほかでもありません。沖縄県の暴動に対しての対処を発表するためです。現在、隊員の生命が危険と判断されたため沖縄県に駐屯する全国防軍を撤退しておりますが海上には軽空母を含む1個艦隊が展開しております。ですが今回の件によって開かれた閣議で、沖縄県を一時、非武装地帯とすることを決定いたしました。さらに自治能力を強化し、県は外交を話し合いだけでしてもらうことになります。つまり我が国の国防軍は、沖縄の防衛に一切関与しないということです。この決定をもちまして、国内の在日外国人のうち、朝鮮系・中国系は速やかに移住を開始していただく上、非武装化に賛成される方で移住を希望する方は国から1000万円を上限とした支援金を給付いたします。後ほど発表します方法に従って応募していただきたい」

首相官邸の二階、記者会見場に姿を見せた赤城は記者に邪魔されないよう一気に重要なことを話終えた。一瞬、理解できていない空気が流れたが事態を飲み込んだ記者は慌て始めた。

「質問の方はどうぞ。ではあなた」

「あ、朝日新聞です。これは、事実上沖縄の放棄と考えてもよろしいのですか?」

「いいえ。沖縄県やそのほか非武装化を望む国民の要望に応えたまでです」

「首相、それはあんまりです。国民を守るのが政府の務めではないのですか?」

「では朝日記者さん、村上さんでしたね? あなたの新聞社はこれまで沖縄の普天間基地問題や自衛隊のあり方など、批判を繰り返して来たじゃありませんか。今回の9条改正の国民投票だって社を上げて妨害しましたよね? 今更国防が国の務め? ふざけないでいただきたい。心配せずとも今、福島みずほ社民党党首を現地の責任者として派遣することが決まりました。詳しいことは彼女に聞いてください」

「いや、あの・・・」

「では次の質問者・・・あなた」

「はい。V速ニュースの吉岡です。現在待機中の第6艦隊は今後どこを拠点に活動するのでしょうか。また、この件について反対の県民はどうするおつもりでしょうか」

「第6艦隊はしばらく長崎の軍艦島に投錨します。今年に入ってから整備を進めてきましたのである程度の長期滞在が可能になりました」

実は外観をそのままに、内部はNCCSの予備基地となっているのは機密である。

「二つ目の質問ですが、こればかりはどうしようもありません。県外移住を望む方には原則2000万円を上限に費用を全額負担いたしますが、軍への抗議は禁じます」

これは違憲なんじゃ・・・というつぶやきがポツリと聞こえたので訂正をする。

「これは公共の福祉のため、仕方ない措置であります。皆様のご理解をいただけるよう、お願い申し上げたい」

その日は赤城のその言葉で会見が終わった。


「海上保安部より緊急接続です!!」

「分かった。こちら市ヶ谷中央管制室。海上保安部、何があった?」

『函館、横須賀、舞鶴、佐世保、呉、那覇の港湾で平和団体を名乗る団体が埠頭を占拠、無許可デモを始めました!! デモ隊はさらに前進し、職員の静止を聞きません!!』

「海上保安部全巡視艦及び海上自衛隊全艦艇は緊急出港!! 艦内に入れるな!!」

「全艦艇を基地ごとに一時無人の洋上プラントに集結させます!!」

「これより有事即応体制に入る。海上プラントを稼働させ、基地機能の移転を急げ!!」

自衛隊時代から、有事の際、最悪国民に作戦を邪魔される可能性を考えていた防衛省は、海上自衛隊各司令部沖合約140キロの地点に航空離発着設備を備えた洋上プラントを計6箇所建設していた。そこには長期作戦に必要な燃料、弾薬類が備蓄され、乗員の厚生設備まで整備された巨大な洋上基地なのである。

「第1から第6海上プラント、問題無く起動しました。小松基地より基地要員の移送をC-2にて開始、全国から約4万人が移動を開始します」

「軍艦島も稼働を開始、すべての情報をリンクします」

「各省庁に通達、陸軍一個小隊もしくは機動隊を警備に!!」

「サーバーシステムダウン!! 情報リンクが途絶えていきます!!」

「一体なにがどうなっているんだ!?」

「在日工作員による破壊工作だと思われます!!」

「重要データのバックアップと送信を急げ!! データはNCCS-2のサーバーにC4Iを通じてアップしろ。間違えてもインターネットは使うなよ。すぐに奪われるからな」

NCCS-2の本拠地は軍艦島、正しくは端島と呼ばれる無人島にある。かつて炭鉱で採炭作業をする労働者とその家族によって栄えた島であるが、エネルギー源が石炭から石油へと移行する中で衰退した島でもある。

「栗原三佐!! 竹島沖にイージス艦を含む艦隊が接近中!! 海上保安部巡視艦が確認!! 韓国軍です!!」

「・・・どさくさに紛れて何やってるんだあの国は」

「現在佐世保に待機中の第3艦隊を回します。攻撃については・・・」

「いや。艦隊は回さないでいい。第3艦隊の『妙高』に回線をつなげ」

「は、はい」

「こちら市ヶ谷NCCS。『妙高』和泉一佐、聞こえますか?」

『こちら『妙高』。どうぞ』

「竹島沖に韓国海軍が展開している。しかし現在無駄な戦闘で艦を失うことはできない状況にある。そのため緊急処置として12式艦載電磁誘導弾の発射準備を命令する。首相の許可は直接受け取るように」

『了解』

「韓国軍が展開している海域から半径40キロを立ち入り禁止に、巡視艦は圏外ギリギリで待機させろ。それと曳航船を大量にかき集めろ」

「り、了解です」



第3艦隊巡洋護衛艦『妙高』

『対空ゥ戦闘ォ用ォ意!! これは演習ではない、繰り返す、これは演習ではない!!』

「EM-1発射スタンバイ!! 搭載されているのは何発だ?」

「4発です」

「よろしい。発射弾数は2発、目標は竹島近海の韓国海軍全12隻」

「レーダーにて確認、警戒監視管制衛星『長門』『朝比奈』の座標固定完了。誘導経路通じました」

「首相官邸より命令を受信、アクセスコードNS817を受理しました」

一国の首都機能や経済基盤を一瞬にして破壊してしまう電磁パルス攻撃兵器は防衛省の意見により、アメリカの核管理に準じた攻撃体制が敷かれている。攻撃を可能とするパスワードは艦内の金庫の中にプラスチックケースに収められて厳重に保管されている。その金庫の鍵は艦長だけが持っているのだ。

「・・・総司令官より発射命令を確認した。制御装置解除、電子活性化開始」

「電子活性化開始、発射まで20秒、誤差許容範囲コンマ02秒です」

「随分余裕だな。前部VLS第12、13番開放。発射最終チェック」

「発射7秒前」

「システムオールグリーン、活性化良好」

「3・・・2・・・1・・・攻撃始め(コメンス・ファイア)、撃てぇ!!」

SM-3の弾体を利用したEM-1はオレンジ色の炎と二条の白煙を吹きあげ高度3万メートルをマッハ9で飛翔した。1発につき1基の衛星が誘導をし、100キロ以上離れた艦隊を戦闘不能に陥れるために襲いかかった。

「第1段バージ!! 爆発まで10秒です」

成層圏近くまで上昇した弾頭は内部のモーターを動かすことで活性化されたされた電子をさらに加速させ、中心の起爆装置により放射状に四散し、一瞬であらゆる電子機器に到達して内部の回路を焼き切ってしまう。

「起爆、今!!」

遠くの空で、眩い閃光が空に走った。


韓国海軍竹島上陸艦隊旗艦『世宗大王(セジョン・デワン)

「艦長、対空レーダーに何か写っています」

艦長のチョン・ガウルンは日本へ軍艦を進められる喜びで非常に上機嫌だった。

「進路は?」

「我々の直上を通過しますが降下する気配はありません。偵察機ですかね」

「攻撃されるおそれもある。全艦全速で独島へ展開しろ。本艦はこれより迎撃戦闘を開始する」

『こちら機関室、速力を上げるとエンジンが焼き付きます!! 25ノット以下で航行してください!!』

『こちら『独島』。追いつけない、速度を落としてくれ』

「どいつもこいつも自分勝手なやつらだ!! SM-2、発射用意!! 諸元入力!!」

「目標の速度が速すぎです!! これはミサイルかと!!」

「迎撃準備急げ!!」

「諸元入力よし、VLS開放、発射!!」

「発射!!」

アメリカ製のSM-2が三発撃ち上がり、艦隊直上へ接近するミサイルを迎撃にかかった。しかしそのうち一発が突如自爆し、他の二発もその破片に巻き込まれてみるみる進路を変えて行く・・・。

「迎撃失敗!! もう間に合いません!!」

「なんでこんな肝心な時に・・・!!」

「・・・あれ? 飛行物体が消滅しました。自爆?」

「そんな馬鹿な・・・。各艦状況を報告せよ」

『こちら・・・・』

「ん? どうした?」

バチンという音と共にCIC中央のレーダースクリーンがブラックアウトし、数秒後照明も落ちて真っ暗闇となった。

「全システムダウン!! 外の様子も全くわかりません!!」

「おい!! 電源室!! どうなっている!?」

『原因不明!! すべての回路が焼ききれています!!』

CICは騒然とした。

「日本の攻撃か!?」

「原因不明です!!」

艦内通信が生きてることが不思議に思えるだろうが、艦内では声の振動を微弱な電気に変換して通信する無電池電話と呼ばれるモノが使用されている。原理的に電源やコンピュータを含む複雑な電子機器が不要なのでこういった電磁攻撃の際も使用が可能になるのだ。

「CICより艦橋!! 何か見えるか!?」

『艦隊上空で何か炸裂しました!! 瞬間的に操艦システムがダウン!! リンクも不可能です!!』

『哨戒飛行中のリンクスが墜落した模様!! 肉眼で確認した』

「救助しろ!!」

『本艦のヘリも原因不明の故障!! レーダー、主機、すべてイカレています!!』

「手旗信号にて他艦と交信できるか?」

『・・・いえ、手旗信号のやり方がわからなくて』

「馬鹿者!! いいか、俺は艦橋へ移る。射撃長はCICの復旧を急げ」

「了解」

真っ赤な非常灯に照らされた艦内はそれぞれの部署が復旧を試しているため非常に騒々しく、そして暑かった。空調も止められているのだ。

数分後、ふと思い返して艦全体の様子がわかるシステム管理室へ寄ってみてチョンは愕然とした。ミサイル、レーダー、砲槇兵器のみならず機関、操舵、ソナー、発電、通信とほぼ全てのシステムが使用不能になっていたのだ。システム監視員によれば数分前に突然すべてが停止に至り、それからどこも復旧しないという。

「大変なことになった・・・!!」

状況の深刻度を理解したチョンは走って艦橋へと向かった。

「航海長!! 本艦の位置は日本領海内か?」

「いえ韓国の・・・」

「違う!! 日本が領有を宣言している海域かと聞いているんだ!!」

「独島ですからそれは当たり前ですが・・・」

「まずい・・・」

「一体なにが起こっているんです?」

「全艦より手旗信号を確認!! 機関及び兵装、電子設備全損!! 自力航行不能!!」

「左舷より不明艦接近!! 日本の沿岸警備艦です!!」

その時接近していた日本国海上国防軍海上保安部所属の巡視艦はチャチな軍艦より強力な武装を施した警備艦『しきしま』型巡視艦4隻であり、随伴していたのは軍艦を拿捕する気まんまんのサルベージ曳航船10隻、そして乗員を収容するための10万トン級の貨物船だったのである。

『こちら日本国海上国防軍。貴艦隊は我が国領海を著しく侵犯している。直ちに抵抗をやめ、各艦露天甲板へ乗員を集合させよ。繰り返す――』

127mm砲を向けた巡視艦から発せられた朝鮮語に逆らう者はほぼいなかった。

ほぼというからには抵抗した艦もあった。

『世宗大王』と同型の『栗谷李珥(ユルゴグ・イ・イ)』は艦載の兵装は断念し、武器庫に格納されていた携帯対戦車誘導弾を使おうとしていた。しかしそれらの誘導装置もEMPの影響を受け、使い物にならなくなっていたため、ただまっすぐ飛ぶだけのロケット弾と化してしまっていた。それに対し『あきつしま』は即座に反撃しようと2門の127mm砲を『栗谷李珥』へ向け、容赦なく弾雨を浴びせた。2門の砲を交互に撃ったため76mm速射砲に至るほどの発射速度で砲弾が降ってきたことになる。十数秒後には韓国海軍虎の子のイージス艦が強力な武装があったとはいえ巡視艦にあっけなく撃沈させられた。

まさに、韓国を相手に貴重な軍艦や時間を消費する余裕がない故の電撃戦であった。


巡視艦『あきつしま』艦橋

「拿捕した軍艦は曳航船にて竹島まで曳航せよ。乗員は同行してきた貨物船へ移乗、法務省へ身柄を移管する」

「必ず捕虜の身体検査をするように!!」

「時間は気にしなくていいからじっくりやるんだ!!」

「小野間艦長!! 『栗谷李珥』の生存者の救助、および『世宗大王』、『忠武公李舜臣』、『文武大王』の乗員移送が完了しました。現在他も同様、貨物船へ移送中です」

「ご苦労。『栗谷李珥』の生存者は何名だ?」

「全乗組員220名中114名、ほとんどが水兵、及び下士官です」

「ありがとう。仕事を続けたまえ」

「それとNCCSより要請がありました。揚陸艦『独島』だけは港に曳航して欲しいとのことです」

「鹵獲して使用するのか?」

「わかりません。しかしあんな欠陥艦を使うなんてとても・・・」

韓国海軍が本格的に配備した強襲揚陸艦『独島』級は『大隅』型輸送艦をふたまわり程大きくしたシルエットを持つが、甲板に自艦のレーダー波が反射して虚偽目標が映ったり、後部CIWSゴールキーパーの射線に艦載ヘリが入るとそれもろとも攻撃してしまうという欠陥をかかえていた。

「本部の考えていることはわかりません。とりあえず曳船の一隻をそれに当てましょう」

今回合流してきた曳船は沈没した客船や貨物船を一隻で引き上げ、港まで曳くことのできるサルベージ船である。1万トン級の輸送艦など造作もなく動かせるのである。

「よし。予定では帰港まであと何分かかる?」

「30分です」

「そうか。それまで実弾使用の書類でも書いてくるか・・・」

組織がどう改編されようと、武器使用に制限が荷されまくっているのはかわらないのであった。



今回は少し願望が入った寄り道になりました。

それとほぼ4ヶ月も放置してごめんなさい。

でもまたそうなると思います・・・

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