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平成日中戦争 ~日本のみらい~  作者: カトタク
停戦〜本格戦争準備編
15/19

本編 2012年10月11日

更新遅くなったことお詫びします。最近ネタ切れ始まってどうしようもない状況なので、『企業』を出してみました。

批判は甘んじて受け入れます。。。


ではどうぞ。

「いいか、たとえ協力しないといわれてもF-3の情報開示は認めるなよ。空母の設計も同じだ。電磁カタパルトの構造なんて知られてしまったらせっかくの輸出技術がただの紙切れになっちまうからな」

「米軍の協力はどの程度までを?」

「とりあえず朝鮮半島が加勢しないよう見張ってもらう位だ。大陸上陸作戦までは基本行わない予定だから兵力投射は最低限でいい」

首相官邸で明後日の安全保障会議の打ち合わせをしているのは赤城首相と外務大臣の佐々木芳野(ささきよしの)である。防衛大臣は市ヶ谷NCCSにかかりきりのためここには居ない。情報開示を認めないのは日米同盟はそのまま残っているとはいえ、ほとんど日本が戦闘を行うのに見返りを求められてはかなわないからだ。

「分かりました」

「それと・・・この書類を今から全日本空軍社(AJFAC)の社長に届けてくれ」

「え? ・・・ああ、あの民間航空会社ですか?」

「ああ。詳細は行ってみれば分かる。強力な味方だからな。丁重に心掛けろ」

「・・・了解です」

「迎えのヘリが中庭で待機している。すぐに行きなさい」

佐々木はすぐに中庭に出ると待機しているUH-60J(ブラックホーク)へと近づいた。だがこの時点で変な事に気付いた。見慣れたはずの洋上迷彩の施された航空自衛隊のUH-60Jに違和感があったのだ。その正体はすぐに判明する。

「お待ちしておりました。全日本空軍社(AJFAC)のブラックホークパイロット、間宮健太(まみやけんた)3等空佐です」

「空自じゃないのか?」

「いえ。民間航空会社のAJFACです。詳しい話は機内でうちの部長が話しますのでどうぞ」

外務大臣は進められるがままシートに腰をかけると、間宮からヘッドセットを渡され、外務大臣がそれを装着したのを確認した直後、ブラックホークはすぐさま離陸してしまった。

「お忙しいところどうも。AJFAC関東支部ヘリコプター隊部隊長の矢部正一(やべしょういち)です。わが社のブラックホークへようこそ」

ヘッドセットを介し、正面に座った男から自己紹介をされた。

「一体どういうことでしょうか。民間版のS-70なら分かるのですがこの機体はどう見ても空自の物です」

「そこからですか。まあいいでしょう。わが社の貨物機や輸送機の大半が自衛隊で採用された輸送機の民間機型と言うのはご存じですね?」

「はい。一部B-767やB-747を使っているらしいですが」

「その通りです。ですが我が社は有事の際協力するとの条件で軍用機をそのまま使用しています。C-2やC-1がそのいい例です。座席はオプションで取り付けられているだけですぐに取り外すことができますし後部ランプも使用可能です。またB-767はKC-767としての運用が可能でB-747にいたっては民間塗装でごまかしてはいますがB-52に次ぐ大型戦略爆撃機となっています。ちなみに爆撃機は我が社で管理していますが本来は自衛隊の装備品です」

外務大臣は矢部部長から手渡された資料を見て絶句する。海上戦力を重点的に拡充したため実現できなかった航空輸送機の目標定数を超える機数が、通常の戦術輸送機として使用可能な旨が記載されていたからだ。その数C-1輸送機3機、C-2輸送機15機、C-5輸送機5機、KC-767空中給油機25機、B-747戦略爆撃機3機、その他回転翼機(ヘリコプター)多数の計250機以上。いつの間に政府は軍事関連で民間と手を結んだのだろう。それにこれは・・・

「矢部さん。このF-15J戦闘機20機、F-4EJ改戦闘機5機、F-2D戦闘機25機というのは一体?」

「もちろん作戦投入可能な戦闘機の数です」

「いやそうじゃなくてどうして民間会社が戦闘機を?」

「あれ? 言っていませんでしたか? 我が社は全日本軍総合運用会社(AJF-C)の子会社でして、全日本海軍社(AJFMC)では海上輸送・海上(船舶)警備、全日本陸軍社(AJFGC)では陸上輸送・陸上(建物)警備、全日本空軍社(AJFAC)では航空輸送・航空(航空機)警備を行っているのです。ちなみにAJF-Cの社長は現空軍社の社長を兼任しています。戦闘機は警備用の物ですよ」

「細かいことは無視すれば理解しました。それで政府が提案した条件をのんだのはこの日本空軍社だけなのですか?」

「いえ。AJF-Cの全社が要求を認めています。現に海上輸送のための大型双胴船や警備艦が海軍社から引き抜かれています。陸軍社の場合も鉄道輸送のためにいくつかの車輌と警備用の90式戦車が引き抜かれているでしょう」

「そうだったんですか・・・。いや日本に民間軍事会社(PMC)があるとは知りませんでした」

「PMCではありませんが・・・。実際政府に協力している点では当たっているでしょう。即応予備自衛官も社員におりますので連携もある程度までは簡単にできると思われます」

第3世代の前主力戦車(MBT)の90式戦車や現役主力戦闘機を保有する会社がただの警備会社なわけがない。が首相に丁重に対応しろと言われていた。些細なことで驚きすぎてはいけない。

「そろそろヘリポートに降ります。衝撃に注意して下さい」

数秒後軽い衝撃とともに機体が接地し、スライディングドアが開けられた。

直後、頭上を4機のF-4EJ改が白い尾を引いて通り過ぎた。

「そう言えばF-4は寿命がもう無いんじゃないのか?」

「部品を一つ一つ再生産して組みなおしました。エンジンだけは小型ですがF-15のエンジンに相当する物に換装してあります」

「・・・それはまた予算なんて無視した手法だ・・・」

「世界展開しただけあって予算だけは潤沢です。あくまで一般企業と比べてですが。こちらへどうぞ。社長がお待ちです」

ヘリが着陸したのは地方空港規模の滑走路を4本備える敷地の中のビルの屋上だった。どうやらそこが本社のようだ。

数分後、矢部部長に連れられて佐々木は応接室にいた。壁には数カ国の連盟による賞詞や航空幕僚長からの賞状などが所狭しと掛けられている。


「お待たせしました。空軍社及び日本軍社社長の藤崎戦真(ふじさきせんま)です。佐々木外務大臣ですね?」

「はい。防衛大臣は現在紛争の指揮をしているため代わりに派遣されました」

「そうですか。矢部から事情はお聞きになられましたか?」

「はい。未だ驚いたままですが一応のみ込めました」

「では手短に纏めますと、本社の稼働戦力を人員含めできる限り派遣するということでよろしいですか? 人員はなるべく自衛隊出身者で固めます」

「お願いします。それとさっそくですが、この書類を見ていただけますか? 総理から預かりましたが、今後の作戦についてだそうです」

「わかりました」

藤崎社長は身を乗り出して机の上に置かれた書類を拾い上げると紙の束をめくって内容を確認する。

「ほう。これは面白い作戦だ。ウチの輸送機部隊も喜ぶでしょう。ではこれで政府への協力条件を履行します。提供内容は人員2万2000人、戦闘機50機、戦闘車輌250両、戦闘艦艇4隻、大型輸送機25機、輸送車輌3500両、回転翼機250機。戦況によって増員も承諾します。よろしければこちらに署名を」

あまりに破額の好条件に何か裏があるのかと疑ってしまうが赤城総理の協力相手だ。何かこれに見合う見返りがあるのだろう。部屋の賞詞をみてもこの社長が有能なのは目に見えている。佐々木は黙って署名をし、総理から預かった正式な印鑑を押印した。

「ご協力、感謝します」

藤崎社長とひとつ握手すると、戦闘訓練を見学してはとすすめる社長に次の予定が詰まっていると言い失礼して再び屋上からUH-60Jで送ってもらうことになった。


『なんですと!? 中国が停戦要求を!?』

「ああ。10分ほど前に中国大使館を介し官邸に連絡が入った。1年半の停戦の要求だとよ」

NCCSと官邸をつなぐ非常ラインを通じ、赤城首相が話しているのは防衛大臣だ。たったいま到着したばかりの敵艦救助者を収容している最中のはずだが、直接戦闘があるわけではないので、大臣の口調はいくらか柔らかい。

『いやしかし・・・』

「とりあえず今は攻撃を中止しろ。動向を見極めたうえで俺が判断する」

『わかりました』

「ああ、それと防衛技術研究本部から朗報だ。量産型の対電磁層攻撃(EMP)誘導弾の開発が完了したようだ。量産は三菱重工に発注済みだが初回生産品の納入は来月以降。停戦終了後には全国配備が完了してるはずだ。そう拗ねるな、停戦は国民にとっても納得できるだろう」

『いえ、すでに尖閣諸島にむけ、陸自1個連隊が戦闘輸送艦に積載されて揚陸待機しているのですが・・・』

「まじか・・・。でも一応警備部隊の駐屯を認めさせたからな。こちらでなんとかごまかしておこう。それと停戦中に憲法を変えたいと思う。9条廃止もしくは改正だ」

『できるのか?』

「やるまでだ。んじゃ海上自衛隊の艦艇は1個機動艦隊だけ尖閣沖に残して各基地に帰投させろ。一応全艦補給を済ませた上で乗員の休息をとらせ、空自には攻撃態勢の中止を徹底させてくれ。スクランブルは通常通り実施。ただし最大限の対空武装を施した上でだ。従わない場合は協定違反として容赦なく撃墜させろ。いいか?」

『了解です。こっちは任せて下さい。ところで今日新しく協力協定を結んだAJF-Cはどうするんです?』

「期限を延長して補助金を出す。それまで私が首相で居られるか分からんがな」

『分かりました。では後の閣議で』

そう言って切られた電話を置くと、目の前に立ったままの男に冷たく告げた。

「さて、駐日大使殿。私の話から聞かれていたように、我が国は貴国の停戦要求を受け入れます。ただし、これまでに拉致した日本人を全員返還すること、尖閣諸島に陸自混成1個連隊の駐屯を認めること、この二つを今すぐに飲んでもらいます」

「本国に連絡は・・・」

「しても良いですが妥協は一切しません。だからといって停戦を取り消すのも得策とは言えないと思いますが? わが国に停戦の意義など無いのです。海上自衛隊が最大限の実力を発揮してくれるでしょう」

実際には準備不足のためさまざまな物資が不足してきており、停戦大歓迎なのだが、ここは強がらないと良い条件は生み出せない。その結果、

「・・・わかりました。要求は飲ませていただきます」

「それと、1年半後に我が国に対抗できるよう軍備を整えるのは構わないですが、9条の改正された後の我が国を見くびらないでもらいたい」

「友好条約がこれからも続くといいですな。赤城首相。では」

足早に大使が官邸を出ていくと、赤城は一つつぶやいたのだった。

「戦争は疲れるもんだな」


『官邸より中継でお伝えします。昨日発表されました有事宣言ですが、たった今入りました情報によりますと、中国の停戦要求によって一時的に解除されたようです。これまでに起こった戦闘での被害は自衛隊がゼロ、中国軍側は約3000人と見積盛られており、政府は敵国犠牲者には哀悼の意を表するが、全ての原因は我が国の領土を侵範し続けた中国側にあると発表しており、それが分かっているから停戦要求を出してきたという見方が世論でも強まっています。我が国が仮初めの平和を謳歌していたことがはっきりした昨今、この国はどう変化していくのでしょうか。以上、中継を終わります』


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