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平成日中戦争 ~日本のみらい~  作者: カトタク
全面戦闘勃発編(但しあくまで地域的紛争)
14/19

本編 2012年10月10日・11日

いやはや、クリスマス二日間はあまりに暇だったものでバイトをフルで入れてしまっていました・・・。結構つらいですはい。某セブンですけども。

とはいえ次話投稿です。

どうぞ!!

2012年10月10日

第2艦隊旗艦『武蔵』の三式弾斉射により中国艦の戦闘能力を喪失させ、艦内の制圧を始めたころ、航空自衛隊のF-2戦闘機部隊と海上自衛隊のF-3戦闘機部隊は中国空軍戦闘機部隊を駆逐しつつあった。

戦闘初期にF-2E/F、F-3のレーダーではるか彼方にいるうちに捉えられた中国機編隊先頭機Mig-21の内12機はまずF-3の搭載する試験搭載の長距離空対空誘導弾(AAM-6X)によって瞬時に撃墜され、次にF-2、同じくF-3の搭載する中距離空対空誘導弾(AAM-4)によって20機が撃墜された。だがこの時点で中国空軍の戦闘機レーダーに自衛隊機が認識され始め、中国軍もAAMを発射した。自衛隊機は発射されたAAMのほとんどをかわしたがF-2A/B各1機の2機が撃墜されてしまっていた。だがパイロットは全員脱出している。機体はいつか補充ができるのだ。落ち込むことはない。編隊の内1機がもう十分近づいたと判断し、格闘戦に持ち込むため翼を翻す。ここからは短距離空対空誘導弾(AAM-3)と機首の20mm機関砲の応酬である。こうなればあとはパイロット個人の力量と運にかかっている。自衛隊側58機、中国軍側49機の戦闘機は近接格闘戦に突入した。


「くそ!! なんて数だ!!」

『そう言う我々もかなりの大所帯です。棚に上げないでください川口2佐・・・いえ海自ベンジャー』

「それにしても日本がこれだけの戦闘機を集めるとは壮観だな。もうこれっきり無いぞ。こんな機会は。なあ海自キール」

戦闘前にのんびりと話す川口の声には緊張は感じられない。

『以前は空自だけで360機、現在は空海あわせて1240機ですからね。4倍近く増加しているんです。まるで泡のようにね』

そういう彼は川口と同期の海自F-2Eパイロット、溝内2佐である。べンジャーとキールとは二人の作戦行動中のコールサインである。

「そりゃバブルがはじけたら大変だな」

『そうならないように、我々がやらなきゃいけない事があるんですよ』

「なら行くぜ!! 舌噛むなよ!!」

F-2Eは一度バンクを振ってから敵機の密度が一番高い高度3000まで急上昇し、4機を同時にロックすると、両翼に残った4発のAAM-3を切り離し、直後すれ違ったSu-27に20mm弾を浴びせた。一気に5機を葬ったのだ。

『こちら空自グレイ!! 後ろに付かれた!! 誰か援護を!!』

それを聞いて20mm弾の残りを確認し、あと3、4機は倒せると一瞬で判断した川口は、全ての警戒を後ろの溝内に任せて空自グレイの援護に向かった。

「射線から退け!! グレイ!!」

僅かに反応して空自のF-2が機首を上げた時を見計らい、バルカン砲の射撃スイッチを押し、毎分6000発の勢いで百数十発の20mm弾を撃ち放し、目の前のSu-30MKKを粉砕した。

「後方にSu-27!! 撃たれたくなきゃ上昇しな!!」

溝内の指示にとっさに反応し、機体をほぼ90度に立てて上昇、そのまま背面を海に見せながら一回転し、一瞬で敵機の後ろを取ると、再びバルカン砲を撃ち出した。

その機体が黒煙を噴きながら墜落すると、辺りがずいぶん落ち着いたことに気付いた。堕ちた機体から噴き出す黒煙が空に幾筋も立ち上っているが、コックピットの多目的ディスプレイに映るIFF(敵味方識別装置)途絶機の情報は最初の2機を除いて無いため、奇跡の完全勝利をつかんだことが分かった。

『こちら航空自衛隊早期警戒管制機(AWACS)。到着が遅くなってしまったが、状況の確認が終わった。諸君らの奮戦により、敵機の75%の撃破に成功。残りは後退し始めた。よって周囲に敵機体及び敵艦は無い。戦闘状況は終了だ!! 直ちに基地及び空母に帰還し、次の出撃に備えてくれ。御苦労だった』

しかしようやく終わったかと安心する前に次の困難が待ち受けていた。

『こちら空自パンツァー!! 燃料タンクに穴があいています!! 基地までとても持ちません!!』

「パンツァー!! 脱出しろ!!」

『脱出装置が作動しないんだ!!』

せっかく犠牲者無しで戦闘を乗り越えたのに脱出不可能で殉職では笑えない。何か策はないものか・・・。頭を働かせた川口にある考えが浮かんだ。だがそれには・・・。レーダーを見ると、空自パンツァーはF-2Aである。C/D/E/F型が配備されてから新人はA型のパイロットになってはいないので飛行経験豊富なベテランパイロットが乗っているはずである。これなら可能かもしれないとあるところへ無線をつないだ。

「こちらべンジャー!! 『天城』へ!! パンツァーを着艦させて下さい!! 失敗した場合でも我々海自機はそのまま陸の飛行場まで飛行できます!」

『な!? パンツァーは空自機ですよ!? 450mしかない空母に着艦できる訳ないです!!』

「どっちにしろ道は無い!! このまま海に落ちるのを黙って見ているしかできないのか!?」

『・・・君は空母を道連れに大勢の人間が犠牲になる可能性を踏まえて物を言っているのか?』

「当たり前だ。っだが防衛大臣はこの戦いを犠牲者ゼロで乗り越えると約束したはずだ。少しでも可能性のあるほうへ懸けるしかないだろう!! それに海自クルーはそこまであきらめムードじゃないはずだ!! もうすでに受け入れ態勢の準備を始めてるんだろ?」

『・・・フッ、分かっていたか。了解だ。着艦を受け付ける!!』

「ありがとよ、管制官!! パンツァーへ!! 進路はそのまま!! 仕方がないから侵入手順は陸上と同じで構わない。風と艦の上下運動に気をつけろ!! 着艦直前にエンジンを停止! あとは運に任せて脚をつけろ!! 空自の意地を見せてみるんだ!!」

『りょ、了解!!』

『天城』の飛行甲板でも急ピッチで緊急着艦の用意が整えられていた。艦後部から中央部に配置されたナイロンバリケードが幾重にも張られた。アレスティング・ワイヤーは艦載機特有のフックが無ければ意味が無く、張られていた場合間違って車輪を絡め取られ、バランスを崩して墜落・・・という可能性も考えられるため展開されなかった。

『海自『天城』より空自パンツァーへ。着艦許可を与える。受け止めてやるから安心して堕ちてこい!!』

甲板上の危険物は全て収容され、外に出ていた隊員は艦内に避難し、入口で消火ホースを握りしめて待機している。

とある人物はこう言った。「着艦とはコントロールされた墜落だ」と。逆に考えれば「墜落でもおk」なのだ。

『着艦進路確保。エアブレーキ全開!! 相対高度30...20...10...エンジン停止!! 突っ込みます!!』

エアブレーキの空気抵抗による甲高い音を立てて空母に迫ったF-2Aは推力装置を全カットしたうえで、空母にドスンと音を立てて落下し、とっさに車輪のブレーキをかけてエネルギーが落ちたところに待ちかまえていたナイロンバリケードによる最後の干渉・・・数枚のバリケードを破りながらも最後のバリケードによってようやく停止した。

「「「・・・・・」」」

「ふう」

「着艦成功!! 飛行甲板損害軽微!!」

「「「「よっしゃァ!!」」」」

『海自機は空自機を格納庫内に入れたあと着艦して下さい。燃料に余裕はありますか?』

その問いに皆大丈夫と答えると、ようやく安心できる状態になったことにほっと息をついた。

「帰ろう」

そう呟くと、川口は着艦許可のランプが灯った飛行甲板に機体を滑りこませた。

30分後、全ての作戦機を収容した『天城』と第2艦隊の構成艦は一時休息を取るため、尖閣沖に投錨したのだった。また、F-2Aが着艦する時、そのパイロットは最後の一枚のナイロンバリケードを必至で支える少女を見たとか見なかったとか・・・。




10日から11日へと移り変わって久しい深夜3時、厚木街道を突き進む車列があった。ただの車列では無い。戦車や装甲戦闘車、装輪装甲車を伴った陸上自衛隊中央即応集団である。街道は人っ子一人居ず・・・とは言い難く、一部の政党政治家や左翼人員である自称市民団体が両脇をじんどって自衛隊車輌の移動に抗議している。

「戦争はするなー!!」

「即刻中国に謝罪し降伏しろー!!」

「憲法9条を守れー!!」

まるで犯罪者に対する扱いである。

『車道に出ている民間人にくれぐれも気をつけて走行しろ。後でどうなるか知れたもんじゃない』

「了解! 操縦手は要注意! 砲手も周囲を良く警戒しろ!」

「はぁ・・・。息子が入ったのが左翼団体で無いだけまだマシだよ」

車列の中間を走る89式装甲戦闘車(FV)の車長、須谷総一郎(すやそういちろう)3佐がそうぼやいた。

「・・・息子さん、今はここら一帯の族の頭でしたっけ?」

「いや、頭補佐だ。夜になるとあちこち走りまわってるよ」

「でも11年の震災の時には現地で自衛隊と共同作業に当たってたじゃないですか」

「ハハッ。わざわざネットで買った陸自の戦闘服のレプリカまで着てな。ありゃ紛らわしい」

その時、それまで部隊長車輌の話声が聞こえていただけだった無線から悲鳴のような声で連絡が入ってきた。

『こちら最後尾高機動車(HMV)!! 後方より多数のバイクを確認!! 高速で接近しています!!』

『な!? 全車緊急警戒態勢!! 実力行使された場合でも銃器の使用は許可できない。全ハッチ閉鎖!! 緊急事態に備えろ!! 暴走族だ!!』

たまに地域に密着した暴力団や暴走族が移動中の自衛隊車輌を襲うことがあるのだ。全て左翼団体の差し金である。

だが今回は少しばかり勝手が違った。

『あれ? あいつら手に掲げてるの、陸自の八条旭日旗じゃねえか?』

『バイクの大集団から発火信号!! ・・・誰か分かるか!?』

『発、須谷拓真(すやたくま)。宛、陸自派遣部隊。ワレ、リクジョウジエイタイノコウウンヲイノル。だってよ!! いいやつらじゃねえか!! ってか発火信号って・・・』

「バカ息子が。泣かせることするじゃねぇか」

今では車列の周りに40輌以上のバイクが徐行し、手に手に八条旭日旗や日本国旗を掲げ、中には

《陸上自衛隊離島派遣部隊を応援!!》

《頑張れ自衛官!! 幸運を祈る!!》

《左翼に負けるな!!》

《東北の共同戦線を思い出せ!!》

などと書いた横断幕をバイクの後ろにはためかせながら走る者もあった。

「父さん!! 頑張ってくれよー!!」

オリーブドラブに塗装されたバイクに跨る青年が総一郎の乗る89式装甲戦闘車に大きく手を振った。

『できる者は車外に顔を出し敬礼!! 須谷3佐も手ェ振ってやれ!!』

総一郎はその声で我に帰るとハッチから身を乗り出して並走する息子に手を振った。

「絶対に帰るから!! それまで母さんを頼んだぞ!!」

「任せとけ!!」

総一郎はニッと笑うと手をこめかみにかざし族全体にむけ敬礼した。他の車輌からも身を乗り出した隊員らが笑って敬礼していた。

そのまま速度をあげた部隊はバイクを追い越して闇へと進んでいった。

隊員らの顔は左翼から批判を受けている時とは違い、どこか清々しい顔だった。


早朝5時、無事に横須賀港へ到着した部隊、10式戦車(10TK)5両、90式戦車(90TK)2両、89式装甲戦闘車(89FV)5両、96式装輪装甲車(96WAPC)4両、軽装甲機動車(LAV)3両、高機動車(HMV)4両、74式各種トラック22両が戦闘輸送艦『伊豆』『能登』に積載され、尖閣諸島へと向かった。


天城「何かあれば感想をくださいね? 私も子供たち(戦闘機)も喜びますわ」

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