序章 2010年9月7日 其壱
どうも、はじめまして・・・じゃない人もいるでしょうが、カトタクです。
ところどころおかしな記述があるかとおもいますが勘弁してください
更新は遅いですが、よろしくお願いします。
ではどうぞ!!
2010年9月7日AM10:00 尖閣諸島沖
この日、第11管区海上保安部所属の巡視船『みずき』は久場島付近の海域をパトロールしていた。
「良い風ですね。船長」
この船の副長である小野間修司三等海上保安正は隣に立つ男・・・この船の船長である浜嶋海治三等海上保安監に話しかける。
「こんな日に限って、密漁船やらなんやらが出てくるんだがな」
「前回もそうでしたからね・・・」
前回というのは尖閣諸島で密漁をしていた小型ボートの事だ。その時は数回の警告だけでその場を退散したのだが。
「南南東の方角、尖閣諸島近くに船影あり!!」
見張り員が報告する。
「またか。該船までの距離は?」
「約5キロです」
「すぐ近くじゃないか!! 該船に向けて警告無線準備!! ただちに対処を開始する!!」
「「了解!」」
「全乗組員に通達。本船は、尖閣諸島付近の不審船対処に向かう。心してかかれ。以上」
「進路、南南東。距離、4.7キロ。全速前進!!」
搭載された3基のディーゼルエンジンが船体を12ノットから35ノットにまで押し上げる。
『此方第11管区海上保安部所属、『みずき』。パトロール中にて不審船を発見。これより接触を行うが万が一のため応援を求める』
『了解。『よなくに』と『はてるま』が今そちらに向かっている。到着するまではそちらで対処せよ』
『了解』
「該船識別圏まであと2分です!!」
「警告無線発信開始!!」
『警告する。貴船は日本国の領海を侵犯している。ただちに作業を中止し、現海域から離脱せよ。繰り返す――――。』
中国語、韓国語で呼びかけるが密漁を続けている。
ようやく到着した『よなくに』と『はてるま』も警告を続けているが、『はてるま』は少し離れてこの様子を撮影している。
「機関砲用意!!」
「撃つんですか!?」
「いや。動かすだけだ」
「機関砲用意!」
『みずき』が船首にある唯一の武装、JM61 20ミリ多銃身機関砲を動かそうとしたその時、漁船の様子に動きがあった。
漁船は速力を上げ、巡視船から離れるような動きをしたのだ。
「機関砲用意中止!! 見張り員は漁船から目を離すな!!」
言われなくても見張り員は漁船の様子を注視している。
漁船は一旦左に舵を切り巡視船から離れると、一気に右に舵を切った。
右? そう。巡視船の真横に向かってである。
「該船突っ込んできます!!」
「取り舵一杯!! 船を傷つけられてたまるか!!」
『みずき』が左に舵を切ると、漁船もそれに食いついてくる。巡視船のなかでは小型とはいえ民間の漁船と比べれば十分『みずき』のが大きいため、漁船より若干旋回が大周りになる。
そして小回りがきく漁船はやや傾きながら『みずき』の船腹にその船首を向けるとためらいなく排水量数十トンの体躯をぶち当てた。
「該船衝突!! 午前10時15分!! 右舷船腹に該船衝突!!」
「けが人はいないか!!」
「けが人なし!! 機関以下設備も損傷軽微です!! 漁船が離れて―――『よなくに』に突っ込みます!!」
衝突した『みずき』から離れた漁船はあろうことかそばにいた『よなくに』にまで衝突したのだ。
「このまま横暴を見逃すわけにはいかない!! 機関砲用意!!」
「撃ちますか?」
「俺が許可したらな」
「本部の許可は取らなくていいんですか?」
「現場の判断、正当防衛、緊急避難だ・・・」
「いささか説得性に欠けるとは思いますが。まあいいでしょう」
「機関砲用意!! 但し許可があるまで発砲はするな!!」
今度こそ機関砲が動くと思いきや、
「該船、停止します!!」
見張り員からの報告が入る。まあ報告が入らなくても漁船が減速しているのは船内からでも見えたのだが・・・。
「該船を確保する! 『よなくに』とで挟み込む!! いつでも発砲出来るようにしておけ!!」
『みずき』と『よなくに』が漁船に近づき、両側から挟みこむ。
3隻が固定されると、『みずき』、『よなくに』両船で待機していた臨検隊10名が突入し、不審船対処の要領に沿って、船内各所を制圧していった。制圧を終えた隊員たちが船室から出てくると、それについて男たちが出てきた。乗っていたのは8人ほどだった。
その間も『みずき』と『よなくに』の機関砲は漁船に向けられている。
先ほどから言っているJM61 20ミリ多銃身機関砲は、最大で毎分7200発を発射することが出来るバルカン砲であり、本来対空兵装であるのだが、海上保安庁では毎分600発程度に抑えられたものに改造され、対船艇火器として使用しているものである。
20ミリという口径のため、軍艦を撃沈するまでには至らないが、民間の小型から中型の漁船を轟沈させる事は造作もなく可能である。実際、行動不能に陥れることは十分に可能である。ちなみに〈よなくに〉にはこれとは別の30ミリ機関砲が搭載されている。
さて、漁船から出てきた男たちがの中から船長格らしき男が進み出ると、中国語で何か話し始めた。修司が通訳してみると、彼らは
「尖閣諸島は我々中国の領土である。したがって我々は日本の指示に従う義理はない」
ということを言っているらしかった。
日本としてはそんなことを「はいそうですか」と認めるわけにはいかず・・・。
「あなた方は条約によって認められている日本の領域に侵入し、密漁を行った。そして我々海上保安庁の巡視船に明確な攻撃を与えた。よってあなた方を領海侵犯、及び公務執行妨害の現行犯として逮捕する。言い分は日本本土で言うように。なお、あなた方の船は日本まで曳航させていただく」
浜嶋船長は、それだけを告げると有無を言わさず背をむけ、漁船の燃料を抜くように命じる。
そして『みずき』と『よなくに』、そして『はてるま』は中国漁船の拿捕を終わらせると石垣島へと船首を向ける。
こうして中国との関係の軋みが生まれたのである。
そして中国との戦争への第1歩となったのである。
第1話なので、少し短めです。
次回は、政治的な話・・・になるのかな?分からないですが。
ご意見、ご感想お待ちしています。
ではまた!!