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itukaanoumide

作者: sk
掲載日:2026/01/31

短編です。

艦これの潮のキャラクターとは性格にかなり乖離があります。

現実の艦艇に、艦娘が艦の魂兼兵隊妖精の指揮者として乗り込んでいる系の艦これ世界です。



海の夢を見た

ただ光の反射する水面を

淡く、誰かがいるような気がする。



潮!海に行こう


招集されて、覚悟していたけどここは何というか、平和な感じがする

毎日訓練は厳しいけど、たまに休みがあって

みんなと海に遊びに行って


田舎にはこんなのなかったな

入営してすぐはみんなぎこちなかったのがウソみたいに

なんだか、生きてるって感じがする






戦争だから、人が死ぬことはある

よく遊んだ友達が死ぬことだって、普通のことーー








何年も続けるともう分からなくなってきた

最初の頃は、大海原の各地に散っていった戦友が

何処かでやられたという話を聞くと驚いたけど


もう、残ってる人のほうが少ないもんね

たまにあの頃の数人で集まっても、なんだか辛気くさくなっちゃうし



たぶん、もうすぐ終わるんだろう

私も覚悟はできている。みんなと一緒に、この海で散っていく...



敵編隊、右40度、高度3000、距離14000、機種は重爆、およそ30機!

対空戦闘用意!


何日か前までは、覚悟して華々しく散れるかもと少し期待していたが

私たちは何をやっているのだろう

敵の跋扈する海域に損傷した阿武隈さんと二人きり。


目標敵重爆編隊

主砲打ち方始め!

対空機銃も最大射程に入り次第撃ち始めろ


我々第二遊撃部隊は、激烈な戦闘で壊滅したって訳でもなく

戦場ではよくあることだけど、よくわからない内に戦機を逸して後退している

ここで死ぬのはあんまり後味よくないな....


水平爆撃だ。狙いは阿武隈ッ!


阿武隈、回頭!!

老朽軽巡の周りに水柱が立ち上る。

緊張とやるせなさの入り混じった目線が、その水面を凝視する

水柱に隠された彼女が姿を現した。


被弾している...

かなりやられている。軍艦と鉄屑の境界にあるような姿

レイテへ進撃中に見かけた、炎上中の扶桑を思い出す。皆この海に散ってゆく


.....!

高空から爆弾落としてくだけかと思ったら、敵機が低空に降りて来ている

正念場だ。

意識が回ってなかった。私もみんなと同じだ...疲れてるのかな、それともーー


対空砲火密に撃て!

低空爆撃、狙いは本艦。

取り舵一杯。


敵機投弾!

未だに。爆弾が到達するまでの数秒が長く引き伸ばされて感じる。

水面が泡立ち、一瞬の時間をおいて水柱が出現する

最初の数発の水柱が立ち上りつつある瞬間、これは避けられると直感した

もうどのみち祈るしかないだけの時間で。

これだけ近くに水柱が連続する様は、壮観だ

何年か前、至近弾を初めてくらって水柱の立ち上った後、

降り落ちてくる飛沫を浴びたとき、内地でみんなと海で遊んだ時間を

思い出したな。あの時はまだ初々しく死に恐怖していた。


魚雷なんかにやられるより、あの水柱と一瞬の白亜の光景の中に散りたいーーー











あの戦争が終わって、私は田舎に戻った

ここはいい所だ。聳え立つ山脈に囲まれて、和やかな田園風景が広がっている


ここで生まれてずっとここで暮らしてきたのに、どこか虚ろで

あれからどれだけ経っただろうか


最近はあの頃のことをよく思い出す。


世界は少しだけ巻き戻ったように、昔の時代のような生活を送る

これも悪くない

ただ、もう生きているうちに海を見ることは叶わないだろうな


おそらく、私の余命は僅かだ

最近具合が悪い。当時のどんな修羅場よりも、確定した死を感じる。

これが定めだとも。


空はあの頃と何も変わらず

だから雲を見るとよく思い出す。



....いつか、あの海でーーーー











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